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中小企業に介護離職が多い原因は? 50代女性の介護に対する意識は?

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介護離職の数は毎年10万人以上とも言われています。その多くは働き盛りの中小企業の50代の女性です。介護による突然の離職はその後の人生を大きく狂わせ、場合によっては貧困に陥ることもあります。

介護離職をする人が毎年10万人。さらに2017年以降は介護・看護が理由で離職する人は増加傾向にあります(総務省統計局 令和4年就業構想基本調査

その中でも離職者の多くは中小企業で働く50代の女性が多いと言われています。なぜ介護離職を選んでしまうのか? そこには介護休暇を取りづらい中小企業の問題と「親の面倒は自分が見るべき」という女性の使命感がありました。介護離職の問題について解説します。

介護離職してしまう原因とは?

【介護離職をする原因①】親の介護は自分でするものという価値観

I amではハローワーク立川に介護離職をしている人の実態について聞きました。ハローワーク立川によると介護離職をしている人は50代以上の女性が多いそうです。特に女性の場合、親の介護は自分がすべきという価値観が。介護で人を頼らず全てを抱え込んでしまう個人の価値観にも介護離職の原因があると考えられます。

また、地方によっては「親の介護は嫁がすべき」という地域的なプレッシャーもあるため、女性は仕事を辞めざるを得ない状況も未だに存在しています。

【介護離職をする原因②】介護は恥ずべきものという価値観

介護離職をしてしまう人は、介護は恥ずべきものという価値観を持っているそうです。そのような人は、介護していることを会社に打ち明けず、周りに助けを求めない傾向があります。

また、親が介護中であることは家族の名誉もあって言い出せません。その結果、介護休業を使わずに有給休暇を使ってしまうことが多くなります。有給休暇がなくなると会社を辞めざるを得なくなってしまうのです。

中小企業では介護休業制度があっても利用しづらい

そもそも会社に介護休業制度がない

家族に介護者がいる人は、誰にも相談しない傾向があります。そのため、会社に相談することなくなく辞める場合が多いそうです。また、介護保険サービスの利用方法がわからないと、従業員は介護保険サービスを利用できず、親の介護をひとりで抱え込んでしまうのです。

50代は既に管理職となっている人が多い

50代はキャリアを積んで管理職になっている場合が多いもの。とくに人材不足の中小企業では介護休業を取っても代替要員がいません。そのため、介護休業を言い出せず、介護と仕事の板挟みになって辞めるケースが多いのです。

介護休業を申し出ると不当な扱いを受ける場合がある

そもそも多くの中小企業では介護休業制度が整備されていないという実態があります。従業員が介護休業の取得を会社に申し出ても、「解雇する」「そんな制度はない」などの不当な対応をされるケースもあり、ますます従業員は申し出ることができません。

介護離職をすると再就職が難しく貧困になる可能性が

介護離職を選んだ人たちはその後どうなったのでしょうか?そうした人々は、ハローワークに登録し、これまでのキャリアを生かした仕事をしたいと考えているようです。しかし、年齢的な問題もあり、就職先が限定されてしまい、仕事探しが長期化するという実態があります。仕事が見つからないと、不安が募るだけではなく、経済的に困窮し貯金を切り崩すことで生活を立てることになってしまうでしょう。その結果、経済的に困窮し生活保護を受けることになるケースもあるといいます。

そのため、仕事はなるべく辞めない方向で続けていくことをおすすめします。

会社が介護休業を取得させてくれない場合どうするべきか?

会社に介護休業制度や介護休暇制度が整備されていない場合でも、法的要件を満たせば、介護休業や介護休暇を取得することができます。育児・介護休業法の第12条と第16条の6でも介護休業は当然の権利であると定義されています。もし、介護休業の取得申出を理由に「解雇する」など不当な扱いを受けた場合、下記の都道府県労働局雇用環境・均等部(室)へ相談しましょう。

全国の都道府県労働局雇用環境・均等部(室)の所在地はこちら

労働局は就業規則に介護休業制度がない企業については、就業規則に明記し、それを従業員に周知するように指導します。また、介護休業を巡る民事的な労働紛争があった場合でも、トラブルの解決をサポートします。

介護離職について情報収集する

介護離職を避けるには情報収集が重要です。離職した人に話を聞くと介護休業制度の取得が当然の権利であると知らなかったといいます。介護について国はさまざまな助成金を設けています。たとえば家を親の介護のためにバリアフリーリフォームをした場合は補助金がもらえます。また休業前の賃金の約67%をもらうことも可能です。

常に介護について情報収集し、離職せずに働きながら介護を続けていきましょう。

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