Know
リスキリング

リスキリングで「本当にやりたいこと」を見つけるには、行動範囲と行動量を広げること

ログインすると、この記事をストックできます。

日本のビジネスパーソンは安定志向に陥りがち。40代、50代のビジネスパーソンがリスキリングの途中で挫折しないために「行動範囲と行動量を圧倒的に広げる」ことが大切とリスキリングの専門家は言います。

日本人のパスポート取得率はたったの17%

リスキリングといってもその幅は広く多岐に渡り、何をリスキリングすればいいのかは悩ましいところ。実はリスキリングの道のりはそう簡単ではないため「本当にやりたいことを見つけるステップ」を踏むことが大事と一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ代表・後藤宗明さんには言います。

  * * *

「日本人は、いろいろな意味で行動量が少ないと感じます。これは国民性だと思います。一例ですが、日本人のパスポートの取得率は約17%。新型コロナの前でも23%でした。つまり、8割の人は海外に行くことを前提としていない、もしくは行ったことのない人生を送っているわけです。

一方で、同じ島国のイギリスは77%の取得率、大陸のアメリカでも44%なのです。もちろん、日本国内で各地に行っているとか、あまり遠出しないけれど、いろんなコミュニティに参加してるというかたちの行動量もいいと思います。

ただ、移動距離と発想力は比例するという表現があって、これは本当にそうだなと思います。今いる場所から離れれば離れるほど、全く違う文化に触れることができるので、学ぶことや刺激を受ける機会が、たくさんあるわけです。

ところが、多くの日本人ビジネスパーソンは、その行動範囲が狭い。毎日同じ通勤路で会社へ行き、同じメンバーと仕事をして、同じメンバーでご飯を食べ、また同じ道を帰ってくる…。これを繰り返しているだけだと、どうしても情報の均質性みたいなものが出てきます。その地域やメンバーの中だけで、同じ情報が流通してばかりということが起きるのです。

これは日本人の全体にも言えることです。他国の人たちと比べて、安定志向や現状維持バイアスが強いのは、よく実感されるところです。デジタル化の出遅れ、競争力の低下、階級社会化の素因もそこにありそうです。そしてそれが、子供のいる家庭の6世帯に1世帯の割合が相対的貧困になっているといった厳しい現実にもつながっています。

なので、健全な危機意識を持つことが大事。自分の今の行動範囲の外側で、どんなことが世の中で起きてるのかを、正しく知ることが必要です。そのために、とにかく新しい事柄に触れることを、圧倒的に増やすようにしましょう」

  * * *

会社と家の往復で一生を終える時代は終わったということでしょうか。外に出ることで自分の市場価値を客観的に見つめ直すことでリスキリングが続けられるメリットもあります。学びには行動力や人脈力も必要かのかもしれません。次回は究極のスキル「人から嫌われない」スキルについてお伝えします。


後藤宗明

一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブの代表。早稲田大学政治経済学部卒業後、1995年に富士銀行(現みずほ銀行)入行。2002年、グローバル人材育成を行うスタートアップをNYにて起業、卒業生約2,000名を輩出。2008年に帰国し、米国の社会起業家支援NPOアショカの日本法人を2011年に設立後、米国フィンテック企業の日本法人代表、通信ベンチャーの国際部門取締役を経て、アクセンチュアにて人事領域のDXと採用戦略を担当。2021年、一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブを設立。著書に『自分のスキルをアップデートし続ける リスキリング』などがある。

この記事を書いた人

鈴木 拓也
鈴木 拓也
都内出版社などでの勤務を経て、北海道の老舗翻訳会社で15年間役員を務める。次期社長になるのが嫌だったのと、寒い土地が苦手で、スピンオフしてフリーランスライターに転向。最近は写真撮影に目覚め、そちらの道も模索する日々を送る。

ログインすると、この記事をストックできます。

この記事をシェアする
  • LINEアイコン
  • Twitterアイコン
  • Facebookアイコン