時間術

40代からは必要のない会議より学習時間を優先。第一人者が教えるリスキリングのコツ

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中高年のリスキリングに必要なのは、つまずいてもそこで立ち止まらず、誰かに助けてもらいながら、行動範囲を広げることと、リスキリングの専門家は言います。

わからないことがあったらスルーしていい

今、ビジネスパーソンの間で話題の「リスキリング」。ダボス会議でも取り上げられ、世界的に注目されたキーワードで、これは「新しいスキルを学び、新しい業務や職業に就くこと」を意味します。

言葉としてはよく知られていますが、「具体的に何から始めていいかわからない」人が多いのも事実。特に経営サイドの理解や関心が乏しい場合は、個人でリスキリングをする必要があり、なおさら大変です。

(一社)ジャパン・リスキリング・イニシアチブの代表・後藤宗明さんは、コンフォートゾーンから飛び出し、6割理解のままで突き進むマインドセットが大事と説きます。

「学びを続けていくと、同じつまずきに何回も突き当たるはずです。そのたびに、わからないからといって立ち止まってしまうのではなく、そこはスルーしていって、先に進んでいく。そのうち他のいろいろな周辺知識がついてきますが、それで過去にはわからなかったことが後からわかるようになってきます。なので、一部はわからないなりに進めたほうが、結果として成果が出るはずです」

こう語る後藤さんですが、さらにリスキリングのための時間の捻出にも言及。そのコツは、減らしていい時間の浪費は最大限減らし、学びのための時間は最大限増やすよう努めることだそうです。

無駄な会議より自分の学習時間を優先

例えば、自分が出席する必然性のない会議への参加を減らす。一方で、学習の時間割をしっかり作成して実行するというふうに。

ところで、個人のリスキリングは、「独学で頑張る」というイメージがあります。しかし後藤さんは、独学だけでは、社会で通用する新たなスキルを獲得するのは困難であると指摘します。モチベーション維持のためにも、志を同じくする人たちのコミュニティに参加し、さらにはコーチとなる人の支援を仰ぐ必要性にも言及。ときには金銭的コストがかかるでしょうが、スキルの獲得という大きな成果が得られます。

また後藤さんは、多くの日本人の行動量のなさも指摘。「健全な危機意識を持って行動量を圧倒的に広げ」なくてはいけないとも力説します。

「自分の今の行動範囲の外側で、どんなことが世の中で起きてるのかを、正しく知ることが必要です。そのために、とにかく新しい事柄に触れることを、圧倒的に増やすようにしましょう」

このようにリスキリングは、単にデスクにかじりついて達成できるものではありません。視野と見識を広げ、正しい方法でスキルを身につけるよう取り組んでみましょう。

後藤宗明

一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブの代表。早稲田大学政治経済学部卒業後、1995年に富士銀行(現みずほ銀行)入行。2002年、グローバル人材育成を行うスタートアップをNYにて起業、卒業生約2,000名を輩出。2008年に帰国し、米国の社会起業家支援NPOアショカの日本法人を2011年に設立後、米国フィンテック企業の日本法人代表、通信ベンチャーの国際部門取締役を経て、アクセンチュアにて人事領域のDXと採用戦略を担当。2021年、一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブを設立。著書に『自分のスキルをアップデートし続ける リスキリング』などがある。

この記事を書いた人

鈴木 拓也
鈴木 拓也
都内出版社などでの勤務を経て、北海道の老舗翻訳会社で15年間役員を務める。次期社長になるのが嫌だったのと、寒い土地が苦手で、スピンオフしてフリーランスライターに転向。最近は写真撮影に目覚め、そちらの道も模索する日々を送る。

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