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50代セカンドキャリアへの第一歩は「職場で好かれる人になること」 今すぐできる4つのポイント

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50代女性の多くが今後のキャリアについて不安や悩みを抱えているのではないでしょうか。キャリアアドバイザーの藤井佐和子さんは「まず今の職場での立ち位置を変えることが重要」と言います。今すぐ実践できる4つのポイントを聞きました。

セカンドキャリアに悩む50代女性への、人気キャリアアドバイザーの藤井佐和子さんからの応援のメッセージをお伝えします。新たな道に進めるよう、すぐにやるべき四つの準備をお伝えした前編に続き、後編では「当面は身を置く今の職場で、自分自身がどうあるべきか」を学びます。50代にとって大切なのは、実は「職場で好かれること」。今の職場での立ち位置が変われば、今後のキャリアの選び方も大きく変わってくるといいます。

50代は仕事の成果以上に「社内で好かれること」が重要

みなさんこんにちは。キャリアアドバイザーの藤井佐和子です。セカンドキャリアに悩む50代の働く女性が「今すぐやるべき4つのこと」を学んだ前編に続き、後編ではあなたがこれからのキャリアを築くための準備として「社内で好かれる人になるために必要な4つのポイント」をお伝えします。

突然ですが、質問です。今の職場は居心地がいいですか? 自分と一緒にいる人たちに笑顔が多く、好かれているなと感じられるでしょうか。

この「好かれている」が大切な理由をお伝えしますね。

会社では様々な世代の人が働いています。その中で、50代以上の社員が求められる役割は、40代までとは大きく異なります。40代までは、仕事で会社に貢献しているかどうかが最大の評価軸になります。つまり、「人に対する態度が多少問題があったとしても、自分は職場に必要な人材」「人間関係が上手く構築できていなくても、仕事ができるから認められている」という状態でも、突っ走れるのです。

でも、50代からはそれだけでは厳しくなっていきます。仕事ができることは必要条件。実はそれ以上に、「人柄」の部分が重視されるようになるのです。人柄といっても、にこにこしていればOKというわけではありません。50代の会社員に求められるのは、「あなたがその会社で得たこれまでの経験・知識・ノウハウを余さず後輩らに伝えること」だからです。

後輩だって、高圧的な先輩や、嫌な先輩から積極的に学ぼうとは思いません。周囲から好かれ、わからないことがあれば何でも聞いてもらえる存在であることが、50代にとって極めて重要な評価材料となります。

「仕事ができれば、別に周囲とのコミュニケーションに問題があってもチームプレイに難ありでも凌げる」のは40代まで。50代の存在意義はそこではありません。50代は周囲から好かれるのが大切になるということを、まずは意識しましょう。

ポイント① 「全体を見る」そして「自分を客観視する」

ここまで読んできて色々な思いが湧いた人もいるかもしれません。ちょっと人間関係にストレスがある、人間関係が嫌で会社を辞めたい……そういう思いのかたも、最後まで読んでみてもらえたらと思います。

好かれる人になる方法と言われると、今職場の人間関係がギクシャクしている場合などは特にハードルが高いと思われるかもしれませんが、実はシンプルで、「自分だけのことではなく、会社やチーム全体のことを考える」ということです。先ほども述べたように、50代の評価軸は「あなたがやった仕事の成果」だけではありません。

周りをよく見渡して、チームの人たちが気持ちよく働けているか、チームの雰囲気をよくするために何ができるかを考えてみましょう。たとえば、仕事が偏って処理しきれなくなっている人がいたら「大丈夫? 何かサポートは必要?」などと声をかけたり、誰かが手伝えるようこっそり上司に根回ししたり。体調が悪そうな人を見かけたら「具合悪いの? ちょっと休んだら?」とケアしたり。

「自分だけではなく、チーム全体」と意識を変えるだけで、見える景色も、行動も、まったく違うものになるはずです。

もう一つは「自分を客観的に見る」ということです。周囲から見て、話しかけやすい先輩でいることを意識するだけでも、状況が変わることも少なくありません。体調が大きく変化する50代の女性は感情の浮き沈みやイライラを抱えてしまうこともあります。自分ではどうしようもない心身の悩みは、婦人科や漢方など、さまざまな方法を模索してケアをすることも必要かもしれません。

また、メンタルマネジメントなどを学ぶことで、湧いてくる不安やイライラを上手にコントロールできるようになることもあります。まずは、今の自分に丁寧に向き合ってみましょう。無理は禁物ですが、自分のメンタルが安定してきたら、周囲に積極的に話しかけて、職場のコミュニケーションを活発にする役割を担ってみましょう。

ポイント② 50代が陥りがちな「巣作り症候群」に注意

「引き継ぎやマニュアルを作るの、面倒だなぁ」「後輩と一緒に仕事をしろと言われたけど、教えるよりも自分でやった方が早いし正確だし」。そんな心境になることもあるかもしれません。

会社という組織の中では、「これは私の仕事」と、抱え込んでしまいやすいものです。でも、50代になったらその感覚ごと手放してガラリと考えを変えてみること。例えば、その責任感の所在を「後任が育つこと」に据え変えて、後任の人のために仕事をマニュアル化したり、後輩に引き継いだりすることで、働きやすさが増して、仕事がしやすくなったり、やりがいや、幸福感が増すこともあります。

ここで、自分自身の存在価値がなくなってしまうような気がするーー。だから、やり方を誰にも教えたくない……という思いが湧いたかたもいるかもしれません。私はそんな状態を、「巣作り症候群」と呼んでいます。

私の経験上、「巣作り」をしてしまう女性の背景には、「この仕事を手放したら、職場で自分の居場所や役割がなくなってしまう」といった危機感があるようです。あるいは、「私がいなければこの職場は回らない」という責任感を抱いている面もあるかもしれません。

先ほども述べたように、50代のあなたに会社が期待しているのは、「会社を去るまでに、これまでの経験・知識・ノウハウを余さず後輩らに伝えてくれること」です。

一人きりで仕事を抱え込んでしまうと、第三者の目に触れないので改善や工夫が起こりにくくなってしまいます。仕事を抱え込まずに「見える化」し、自分がいなくても困らないようにする。周囲の意見も受け入れて、業務を効率化していく。そんな姿勢を持つ人は間違いなく、職場で自然と「好かれる人」「大切にされる人」になるでしょう。

ポイント③ 親切さと「こだわりの押しつけ」は紙一重

すでに、自分のノウハウを後進人に伝えているという人も、改めて自分の仕事の仕方を見直してみてください。

自分が経験してきた仕事を、今まさに後輩が手がけているとき。あなたがどんな態度を取れっていれば、後輩は安心してその仕事に取り組むことができるでしょうか。

その仕事を熟知しているあなたから見ると、手順が違ったり、手際が悪かったりすることもあるでしょう。ついつい、「違う違う、その仕事はこうするんだよ」なんて言ってしまいそうですよね。でも、一見親切そうなそのアドバイス、実は後輩の立場からみると「否定」に感じることもあります。後輩が新たに試行錯誤することで、もっと効率がいいやり方が見つかるかもしれません。

大切なのは、若い世代に任せてみることです。最初にやり方を伝えるのは本当に大切な部分だけにしたり、「私はこうやってたけど、○○さんの好きにやっていいよ」と伝えたり。あとは、質問されるまでグッと我慢。「これ、どうやればいいですか?」と聞かれたら、経験やノウハウを惜しまず伝えてあげましょう。

このさじ加減は、本当に難しいものです。大切なのは、先ほども述べたように「自分を客観的に見ること」。親切のつもりが、こだわりを押しつけていないか。自分自身をチェックしながら、「何でも聞きやすい、頼りになる先輩」を目指してみましょう。

ポイント④ 男性上司に「私には無理です」と言わない

最後にお伝えするのは、主に男性上司との関係で重要なこと。50代女性が新しい仕事を打診されたり、新たなスキルを身につけるよう言われたりしたときについ口にしてしまう「私には無理です」という言葉が、実は世の男性たちから大きく誤解されているという事実です。

これは女性活躍の面でも課題となっていますが、まず50代女性にはロールモデルが少ないこと、女性の方が自分ができていることに対しての自信を持ちづらい傾向があり、「やります!」「できます!」と手を挙げづらい状況があります。

「私には無理です」という言葉には、「私には自信がありません。失敗したら周囲に迷惑をかけてしまうので遠慮します」という奥ゆかしい気持ちであったり、「私よりも、若くて将来がある人がやったほうがいいのでは」と後輩を気遣う気持ちであったりしますよね。でもそれが上司に伝わっていないことがよくあるのです。

「私には無理です」という発言を聞いた上司は、「やりたくない、やる気がない」と受け取ってしまうことがあるのです。

もしもやってみたいと思うことがあるなら、「私には無理です」だけ伝えるのはNG。無理だという理由となる不安の気持ちをそのまま伝える方がうまくいくことが多いです。例えば「できるかどうか不安で、失敗したらご迷惑をおかけしてしまうかもしれません。でもやりたくないわけではないんです。全力で頑張りますが、もしもの場合はフォローしていただけますか?」と表現してみてください。

周囲を気遣い、後輩たちから好かれ、しかもやる気も向上心もある。そうなってくると、会社から頼りにされるのは当然です。会社での存在感が高まれば、自分に自信が持てるようになり、セカンドキャリアを考える時も前向きになれます。社内の誰かが独立したり、起業したりするときに、あなたに「一緒にやらない?」と声をかけることもあるかもしれません。

まずは、今の会社で「好かれる人」になり、自分の価値を高めること。それが今後の人生に向けた第一歩です。

取材・文/華太郎

藤井佐和子
株式会社キャリエーラ代表取締役。キャリアアドバイザー。1968年生まれ。大学卒業後、カメラメーカー海外営業部にて3年半従事、その後、インテリジェンス(現:パーソルキャリア)8年間派遣事業部と紹介事業部の立ち上げに携わる。2002年(株)キャリエーラを設立。日経課長塾はじめ企業研修や講演、日経×womanにてキャリアデザインに関する動画配信,個人向けに延べ17000人以上のカウンセリング実績。著書に『どんな職場でも求められる人になるために いますぐはじめる47のこと(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』などがある。

この記事を書いた人

華太郎
華太郎経済ライター
新聞社の経済記者や週刊誌の副編集長をやっていました。強み:好き嫌いがありません。弱み:節操がありません。

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