Interview
インタビュー

ウエンツ瑛士のリベンジ? 「偽物」だと感じていたかつての自分。贋作に手を染めた画家を演じことで成長した自分をみせたい

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「共鳴」をテーマにしたミュージカル『アンドレ・デジール 最後の作品』に出演するウエンツ瑛士さん。支えてくれている人たちに成長した姿を見せたいと意気込む舞台への思いを語ってくれました。

プロフィール

俳優ウエンツ瑛士

ウエンツ瑛士 1985 年、東京都生まれ。4 歳より子役、モデルとして活動。小池徹平と結成した音楽グループ「WaT」では作詞・作曲を務めるなど多彩に活躍している。NHK 大河ドラマ『利家とまつ』、映画『ゲゲゲの鬼太郎』などの話題作に出演。

天才的な絵の才能を持ちながらも、贋作ビジネスに手を染めてしまった主人公。自分自身に偽物感を持っていたというウエンツ瑛士さんは、休業することで自分にとっての居場所を見つけられたといいます。

――脚本家の高橋亜子さんと、演出家の鈴木裕美さんが 6 年以上をかけて完成させたミュージカル『アンドレ・デジール 最後の作品』に主演します。俳優の上川一哉さんとのダブルキャストですね。

ウエンツ:はい。いつかオリジナル作品に出演したいと思っていたので、念願が叶いました。物語の舞台は 1960 年代のフランス・パリ。僕が演じるエミール・マルタンは、画家のアンドレ・デジールに憧れている青年です。将来を考えていたときに、デジールを信奉している青年・ジャンに出会い深く共鳴します。友を得たことは 1 人では到達できない芸術を生む力にもなりますが、画家として踏み入れてはいけない贋作づくりに手を染めてしまったことで、大きく運命が変化していきます。僕と上川さんは、エミールに対してのアプローチの仕方が違うので、全く別の作品になっていると思います。


――画家として犯してはいけないタブー。本物と贋作(偽物)には、どんな差があると考えていますか?

ウエンツ:素晴らしいものが評価されるとは限らない。視聴者や消費者が支持するものを「本物」と考えるなら、差なんてないんじゃないのかなって思います。ただ偽物なのに、祭り上げられて本物のようになってしまったものは、長く生き残ることができるかというところで変わって来ると思います。昔は僕自身も、自分を偽物のように感じていたこともありました。


――偽物?ですか。

ウエンツ:はい。今回演出を務められる(鈴木)裕美さんとは 2015 年に出演した『スコット&ゼルダ』以来 2 作目のタッグになります。僕が 30 歳のときに主演させていただきましたが、当時は歌、芝居、そしてダンスも何もできなくて…。それなのに舞台の真ん中に立たせてもらっている自分が悔しくて、情けなかった。新作の舞台では、支えてくれた人たちに成長した姿を見せたいです」


――2018 年 8 月に休業を宣言。10 月からイギリスに留学すると発表されました。語学と演技を学ばれ、その集大成として会場を貸し切って行った 2 人芝居は、親友の小栗旬さんが当時拠点を置いていたアメリカから駆け付けるなどして話題になりました。

ウエンツ:歌もお芝居も大好きで、裕美さんとの舞台のときは全力を出し切って稽古に臨みました。あまりにも疲れ切っていて、たどり着いた家の玄関で 2 度ほど眠り込んだ日もありました。4 歳から仕事をしていて、ありがたいことに音楽やお芝居、バラエティー番組の司会などに声を掛けていただいて、充実していましたが『このままで良いのかな』という思いを抱えていました。芸能界には優れた才能を持つ人が多くいて、みんな死力を尽くしています。その中で、仕事を置いて日本を出ることを選んだので、戻っても芸能界に自分の居場所なんてない、と考えていました。でも待っていてくれた人たちがいた。その気持ちに応えて行きたいという思いは、僕自身を動かすエネルギーになっています」


▼公演情報
ミュージカル『アンドレ・デジール 最後の作品』


【東京公演】 9 月 12 日(火)~23 日(土)
会場:よみうり大手町ホール


【大阪公演】9 月 29 日(金)~10 月 1 日(日)
会場:サンケイホールブリーゼ

この記事を書いた人

翡翠
翡翠執筆・写真
音楽や映画、舞台などを中心にインタビュー取材や、レポート執筆をしています。強み:相手の良いところをみつけることができる。弱み:ネガティブなところ。

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