プロフィールを変えただけで集客が増える?! 自分が思うより、人はプロフィールで「信頼できるか?」をチェックしている
ビジネスでウェブサイトやSNSを活用するのは今や必須。事業やサービス紹介には力を入れても、プロフィールは「参考程度に」とおまけ程度の扱いになっている傾向が見受けられます。しかし、顧客は「どんな人」の事業・サービスかということを事業内容より気にしていることが多いのです。
最終判断は“人=プロフィール”
仮に、会社や自宅の整理収納サービスを利用したいとします。インターネットで検索して、同じ内容や条件&価格で提供している 2 者で迷った場合、どちらを選ぶか、最終的には何で判断しますか?
整理収納、ベビーシッター、ペットシッターなどを活用したいとき、インターネットで検索して比較検討することは多いのではないでしょうか。とはいっても、自宅に面識のない人を招き入れる場合、価格だけの比較では決められない。
最終的には「どんな人が来てくれる?」という人物=人柄が決め手になることも多い。どんな人かを知る手がかりの一つとなるのが、プロフィールです。想いや経歴といったバックボーン、スキルや強み、実績、そして人柄を伝えられる部分となります。
「プロフィール文や写真を変えたことで、ウェブサイト経由で仕事の依頼が入るようになった」という体験をしたお片付けアドバイザーの多田明美さん。
当初は「起業するにあたってウェブサイトを制作する時、そもそも『プロフィール文にはどんなことを書けばいいの?』と疑問だらけでした。しばらくは、プロフィール文はとりあえず形だけ書いたという状態になっていたんです」と振り返ります。
多田さんはプロフィール文をどう変えたことによって集客につながったのでしょうか
プロフィール写真は“秒”で第一印象を決定づける
メラビアンの法則「見た目の印象」が55%
プロフィールはプロフィール文とプロフィール写真からなります。一瞬で印象が決まるのがプロフィール写真。
心理学のコミュニケーション理論「メラビアンの法則」は何かを伝える時に、表情や身振りといった視覚情報からの非言語コミュニケーションが55%を占めるというものです。
多田さんも思い切って大人メイクを学んで、メイクも変えて、プロのカメラマンにプロフィール写真を撮影してもらいました。
「メイクは自分が好きな感じでできているからいいかなという感覚でいました。でも、年齢とともに、目と眉毛、頬の間が広くなるなど顔も変化しているんですよね。たとえば、もともとの眉毛の形を生かして眉山を上げていたところ、目と眉毛の間が余計に広く見えて間延びした印象になっていたり、眉毛だけが強調されて少しきつい印象になっていたり。それをまっすぐ太めの眉毛にしたら、目の周りが引き締まってすっきりと、やわらかな印象に変わったんです」
写真を見て、自分自身が「起業家としてやっていくぞ!」
以前もプロのフォトグラファーに撮影してもらった経験はあるものの、自宅などリラックスできる場所での撮影だったので、今回スタジオという非日常での撮影に「いい緊張感がありました」と振り返ります。
出来上がった写真を見て「自分で言うのもなんですが、プロっぽい! いい緊張感があったから、やわらかな印象に加えて、きちんと感も出せました。自分自身の気持ちとしても、起業家として頑張っていくぞという、いいプレッシャーになりました」と手応えを感じた多田さん。
もともとは自分に自信が持てず、写真撮影にも消極的だったそうです。「以前のプロフィール写真では、前髪でできるだけ顔を隠そうとしていました。それが、今の自分に合うメイク方法を教わり、実践したことによって、自分に自信を持てるようになり、自分の顔をちゃんと見てもらおうと前髪も分けるようになりました」
メイクや写真を通して、“こうありたい自分”をビジュアル化することによって、気持ちにも変化が訪れたと言います。その変化は顧客と接する時にも、いい影響として表れているのではないでしょうか。現に今回、Zoom 取材で初対面した時、プロフィール写真のイメージ通り、やわらかくあたたかく接していただいている印象とともに、しっかりと的確に対応していただけそうな安心感も持ちました。
プロフィール文の構成や言葉選びで印象が変わる
包容力と信頼感を受け取ってほしい
多田さんの顧客層は、「片付けが苦手でできない」「片付けのプロに依頼したが、いつも元に戻ってしまう」という人です。その人に向けてプロフィールで伝えたいことは、共感、希望、包容力、信頼感でした。
「私自身が直面した片付けの課題を共有することで、今まさに直面している方が『私も変われるかもしれない』と未来に明るい希望を持ってほしい。また、お客様の“自宅=プライベート”はもちろん、心の中にまで入り込んでいかなければ、本当の意味での片付けはできませんから。『この人になら何を言っても受け入れてもらえそう』という包容力と、『この人に聞いたら解決してもらえる』という信頼感を感じてもらいたいと考えていたんです」
プロフィール文の Before&After を読み比べてみましょう。
Before&After を読み比べてみみると、確かに読後感がことなります。
プロフィール文のポイントはストーリー&等身大
伝えたい思いが強すぎると陥る「独りよがり感」
多田さんが意識して書き直したポイントは大きく 2 つです。
1 つ目は、プロフィール文では“過去の自分”ではなく、“未来も見据えた現在の自分”を表す。そのために、履歴ではなく、“未来も見据えた現在の自分”になったストーリーとして書くこと。
「以前のプロフィール文は、自己紹介に近い感じで過去の経歴を時系列に並べて書いていました。そうではなく、“ミッション=想い、使命感”や“ありたい姿”をイメージし、そこにつながる自分が直面した疑問や課題といった体験を書くことで、『この人もこうだったんだ』と親近感からの共感を得られる内容になったと思います」
2 つ目は、等身大の自分を格好つけずに書くこと。
「横から見た自分の顔の輪郭を描くイメージで書きました。真正面から向き合う場合は構えてしまいますが、横から見られている場合は相手の視線が気にならず、ありのままでいやすいものです。構えず、飾らず、ありのままの自分を表現して伝えました」
Before は、多田さんが言うように、現在に至るまでのことが時系列で書かれています。1000 文字という長文ですから、最初のほうでどこが要点かがわからないと、読み進めるのが大変です。多田さんにもともと興味がないと、途中で離脱してしまう恐れがあるのではないでしょうか。
また、「私はできました!」にスポットを当てたエピソードが並んでいるので、どこか“成功者”というイメージを持ってしまい、「片づけができない」という悩みを持つ人にとっては「私とは違う、そもそもできる人の成功体験」と距離感を持ってしまうのではないでしょうか。
一方で After は、最初に何をしているのか、どんなことを大切に、どんなサービスを展開しているのかという要点がわかります。多田さんが言うように、1人の人間が悩んだりチャレンジしたりといったストーリーが見えてくるので、文章が長くてもストーリーをイメージしながら読み進めることができました。
また、「私はできました!」だけではなく、「こんなことで苦労した」「少しずつ変わってこられた」ことが書かれているので、同じ視点になって一緒に考えてくれそうという期待感が持てます。
多田さんは、プロフィール文を再考した気づきとして、「以前のプロフィール文は“相手目線”で考えていない、独りよがりな内容になっていたんです。『自分がいいと思えればいい』という内容では、相手の心には届かないということ。相手が何を知りたいのか、どう思うのか、“相手目線”で考えていくことが大切なんだと気づきました」と言います。
確かに、Beforeでは「私はこうでした、こうしてきました、こんなことができます」がベースにあるのに対して、Afterでは「こんな経験がある私だから、お客様にこんな未来をお見せできますよ」というスタンスが伝わってきます。書いているエピソードなどはほとんど同じでも、どんな視点から書くかによって、文章構成や言葉の選び方が変わってきて、相手にどう届くかがまったく異なるものになるのです。
プロフィールは“相手目線”を意識してつくる
「この人にお願いしたい」を思わせるプロフィール
プロフィール文とメイク、写真を変えたことで、お客様から具体的にはどんな反応があったのでしょうか。
「ウェブサイトからご依頼くださったお客様から『料金も判断する際の大きな材料となりますが、自宅に来てもらうので、この人なら安心と思えることが大切でした』『こうして顔が見える、人柄がわかることがいいですね』とおっしゃっていただきました。同じお片付け関連のお仕事でも、会社の場合は社員の誰が来るのかがわからない側面がありますが、個人の場合はプロフィール文を読んで『この人が来る』という安心感をもってもらえます。そこが強みになりますよね」
個人で顧客と直接接する仕事ほど、プロフィールが大切であることがわかります。プロフィールは、依頼する時に「この人にお願いしたい」と思ってもらえる大切な材料になっているのです。
多田さんがプロフィールの大切さを知ったきっかけは、web メディア I am が主催する「武器になるプロフィール講座」でした。本講座は、プロの講師から、自分に合うメイク方法や表情、ポージング、プロフィール文をアドバイス・提案してもらえ、学べる内容となっています。
また、多田さんは受講生同士で意見交換できたこともよかったと言います。「撮影したプロフィール写真について、自分がいいと思う 1 枚と、ほかの方がいいと思う 1 枚が違っていたんです。自分と、ほかの方がいいと思うものは違うということも発見でした」
講座を通して、さまざまな他者と交流しながら、プロフィールをつくり上げていく過程は、「相手からはこう見えるんだ」と客観視できる機会になったようです。
独立や起業などをする場合、自分の気持ちや思いが強い分、自分目線になりがちになるものです。しかし、相手にとってどうかという視点を見失わないこと。独りよがりになっていないかどうか、点検する意味でもセルフブランディングを見直す機会を持つことは有意義ではないでしょうか。
この記事はWeb メディア I am 主催「武器になるプロフィール講座」の参加者へ取材したものです。
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この記事を書いた人
- 「好きや得意」を仕事に――新しい働き方、自分らしい働き方を目指すバブル(の香りを少し知ってる)、ミレニアム、Z世代の女性3人の編集部です。これからは仕事の対価として給与をもらうだけでなく「自分の価値をお金に変える」という、「こんなことがあったらいいな!」を実現するためのナレッジを発信していきます。
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