Interview
インタビュー

元雪組トップ娘役の咲妃みゆが初のストレートプレイに挑戦。身体の一部がガラスでできている少女を演じて感じた「生きたい」と思う力。

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ストレートプレイだけど歌唱も披露。知りたい欲望を多く抱える女性を熱演する咲妃みゆがヒロイン・雪子に対して似ていると感じた部分や共感する想いとは?

プロフィール

女優・歌手咲妃みゆ

1991年生まれ。宮崎県児湯郡高鍋町出身。2008年に宝塚音楽学校に入学し、2010年に宝塚歌劇団に入団し、月組に配属となる。2014年に雪組トップ娘役に。2017年に宝塚歌劇団を退団。宝塚卒業後は舞台や映像、歌など幅広いジャンルで活躍している。

2023年7月9日(日)から開催される新劇場「THEATER MILANO-Za」オープニングシリーズ『少女都市からの呼び声』に出演する咲妃みゆさんに演じる少女・雪子への想いや役作りについて伺いました。

咲妃みゆが念願のストレートプレイに初出演

――新宿・歌舞伎町に誕生した新劇場「THEATER MILANO-Za」のオープニングシリーズとして上演される『少女都市からの呼び声』に出演されます。咲妃さんにとっては、初のストレートプレイですね。

咲妃:「いつか」と夢見ていたストレートプレイの舞台。念願が叶いました。色々な作品を経験して満を持してのタイミングでしたので、最初は素直に「うれしい」という気持ちでした。お稽古を重ねて、本番をどう迎えられるのか。今はまだ分からないことだらけで、ドキドキしています。

挑戦を大切に「仕事には果敢に挑みたい」

――作品は唐十郎さんの傑作戯曲です。演出は唐十郎さんや蜷川幸雄さんを師とし、アンダーグラウンド演劇に取り組んできた金守珍さん。依頼を受けようと決意した決め手などはありましたか。

咲妃:所属している事務所の方々が、色々な挑戦をさせて下さっているのですが、「今回の作品も大いなる挑戦になると思うけれど、役者として力になる」と背中を押して下さったことが理由です。私生活もお仕事も果敢に挑みたいと思っているので、やれるだけのことをやろうという気持ちになりました。

――金さんとは、作品のビジュアル撮影(ポスターなどの撮影)の時にお会いしたそうですね。

咲妃:はい。数時間ご一緒しただけでしたが、役者の挑戦を全て受け止めてくださる演出家だということはすぐに感じられました。分からないことがあったら包み隠さず相談したいです。また、主演の安田章大さんは、安田さんを知る方々から「ストイックな方」とうかがっています。いつか共演したいと思っていたので、とてもうれしいです。舞台に臨む姿勢などを学びたいです。

――脚本を読んだ印象は。

咲妃:唐さんが選ぶ言葉の美しさに感激しました。ドキッとさせられる台詞も散りばめられているなと。現代にも通じるけれど、どこか古風な所があって。内容については、まだ理解が追いついていない状況です。先を見通すことができない作品には、戸惑いが付きまといます。でもそういう作品にとても惹かれるんです。焦っても仕方がないので、お稽古で洗礼を受ける覚悟でおります。

少女・雪子に感じた「自分と似た部分」

――演じる少女・雪子は謎が多い人物です。共感できるような部分などはありましたか。

咲妃:雪子はこの世に存在できなかった人物。「愛とは?」「生きるとは?」「現実世界はどんなところ?」など知りたい欲望をたくさん抱えている女性だと感じます。「知らないところに行ってみたい」など、雪子からは「生きたい」という生命力を感じますし、そこがとても魅力的だなと思います。生命力が強いところは私も同じ。感情をオブラートに包まずに伝えるところなども、自分と似ていると感じます。雪子のセリフを口にすることで、雪子という人物を身につけていきたいです。

――雪子は身体の一部がガラスでできているという設定ですね。

咲妃:ガラスの身体のイメージはまだつかめていないのですが、ガラスに対してのイメージはあります。それは歌劇団に入るために2年間通った音楽学校での話です。入学するとそれぞれお掃除をする場所を割り振られるのですが、私が任せていただいたバレエ教室は、(姿勢を見るために)大きな鏡があったんです。鏡はもちろん、部屋の窓もドアも指紋一つ、汗のしずく一つないよう磨き上げなければならない。ガラスは磨くことで輝き、美しさで応えてくれます。負荷をかけ過ぎれば壊れてしまいます。美しさ、繊細さなどを雪子に重ねられたらと思います。

一筋縄では行かないアンダーグラウンド演劇への挑戦

――アンダーグラウンド演劇には、どのような印象をお持ちでしたか。

咲妃:過去に1度、『泥人魚』を観劇したことがあります。美しさ、複雑さ、透明さと恐怖。色々なものが混ざり合っている作品。表現が合っているか分からないですが、まるで「この世のようだ」と感じました。

――歌劇団時代の咲妃さんは“歌姫”というイメージがありました。今作の中では、歌唱シーンもあるそうですね。

咲妃:はい。ストレートプレイといえど、歌わせていただきます。なので、私の歌声に注目して応援してくださっている方にも楽しんでいただけると思います。ファンの方からいただいたお手紙に「咲妃さんが様々なことにチャレンジすることによって、知らない世界に連れて行ってもらえた」と書いていただくことがあるのですが、そういうメッセージをいただくと、このお仕事をしていて良かったなと思いますし、私のモチベーションにもなっています。ストレートプレイはミュージカルよりも人間の生々しさがダイレクトに伝わるので、ハッとする部分も多いと思います。演じていながら自分の感情を容赦なく引っ張り出され、胸が痛くなる時間もあったりしますが、お客様にはお芝居に没入するひとときを楽しんでいただきたいです。

取材・執筆/翡翠
編集/MARU
ヘッダービジュアル/©️THEATER MILANO-Za オープニングシリーズ COCOON PRODUCTION 2023「少女都市からの呼び声」ビジュアル

公演情報

©️THEATER MILANO-Za オープニングシリーズ COCOON PRODUCTION 2023「少女都市からの呼び声」ビジュアル

THEATER MILANO-Zaオープニングシリーズ/COCOON PRODUCTION 2023 
『少女都市からの呼び声』 
【作】 唐十郎
【演出】 金守珍 
【出演】 安田章大、咲妃みゆ、三宅弘城、桑原裕子、小野ゆり子、細川岳
松田洋治、渡会久美子、藤田佳昭、出口稚子、板倉武志、米良まさひろ、 
宮澤寿、柴野航輝、荒澤守、山﨑真太、紅日毬子、染谷知里、諸治蘭、本間美彩、河西茉祐 
金守珍、肥後克広、六平直政、風間杜夫
【東京公演】2023年7月9日(日)~8月6日(日) THEATER MILANO-Za(東急歌舞伎町タワー6階)
【大阪公演】2023年8月15日(火)~22日(火) 東大阪市文化創造館Dream House 大ホール

この記事を書いた人

翡翠
翡翠執筆・写真
音楽や映画、舞台などを中心にインタビュー取材や、レポート執筆をしています。強み:相手の良いところをみつけることができる。弱み:ネガティブなところ。

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