Interview
インタビュー

育児中とフリーランスの両立って?子育てをしながら「好きな仕事でフリーランス」は可能!?<エッセイマンガ家カワグチマサミさん/第 1 回>

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育児をしながらでも、好きを仕事にしたい! 会社に勤めずにフリーランスで働いてみたい! それを可能にする方法を見つけたエッセイマンガ家カワグチマサミさんに秘訣を聞いた。

プロフィール

イラストレーター川口真目

1984 年大阪生まれ。2010 年から漫画家・イラストレーターとして活動を始めフリーランスに。その後、結婚し2012 年に男の子を出産。育児とフリーランスを両立しながらコミックエッセイを描いたり、子育てフリーランスに向けた講演会に登壇したりしている。

デザイン事務所でデザイナーとして働いた後、イラストレーターになり、フリーランスへ。妊娠・出産しても変わらずに働きたいと思っていたが、それは至難の業だった。
紆余曲折しながらも、育児をしながら好きを仕事にし続けるために奔走したカワグチマサミさんが見つけた、育児と好きな仕事の良いバランスとは?
さらに、フリーランスとして働くために必要なこと、自己分析やスキルアップ、売り込みなどの方法なども、たっぷりと教えてもらいました。

第2話はこちらからどうぞ。

甘くなかった!育児と仕事の両立の現実

ライター顔写真

何よりも先に伺いますが、育児をしながらのフリーランスは可能か不可能か、どうでしょう?

インタビュアー顔写真

可能か不可能かで言うと、可能ですが、実際のところ、育児は 100 人 100 通りなので、人によると思います。むしろ、両立は不可能だと思って始めたほうがいいくらいです。

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両立は不可能だと思って始める方がいい?

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正確には完璧に両立しようとすると無理、ということです。両立、と言うと、育児も、仕事も、完璧にやることをイメージする方も多いのですが、それは不可能です。
子育ては特に予測がつかないので、自分で段取れないこともたくさん出てきます。

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カワグチさんは独身時代にフリーになられて、結婚、出産をされていますが、最初は出産後も両立できると思っていましたか?

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思っていました。周りの人たちの多くは、フリーランスだろうと会社員だろうと働きながら子育てをしていたので、当然のように「自分にもできるだろう」って思っていました。

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でも難しかった?

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実際は予想外なことばかりでした。著書『子育てしながらフリーランス』にも書きましたが、まず、妊娠中に安静令が出てしまい、軌道に乗っていた仕事も整理せざるを得ませんでした。出産後は、常に疲労困憊で、家事も全然できず、どう考えても仕事との両立なんてとても無理だと思いました。同時に、産前と同じように働けないことに焦燥感を覚えました。

https://note.com/kawaguchimasami/n/nf33572c17a1f?m agazine_key=m685c643e7e94

突発的な子どもの対応にどう備える?

ライター顔写真

特にお子さんが小さい頃は、保育園からの急な呼び出しなど、予期せぬ対応が多く発生しますよね。

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はい。子どもが小さいうちは思い通りに働けずに焦ることも多いと思いますが、子どもは必ず成長するものなので、フリーランスの仕事も子どもの成長とともに育つ、変化すると思って関わるといいと思います。

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具体的に子どもの年齢別に、働き方のアドバイスはありますか?

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あくまで私の場合、ということにはなりますが、誰もが皆、産後2ヶ月程度で復帰できるわけではありません。
実際私は産後無理をして仕事に復帰し、体調を壊しました。産後の体調や子どもの様子、パートナーの仕事によっても負担は変わってきますが、0 歳から 2 歳くらいまでは、仕事はほぼ無理だと考えて、フリーで働く準備期間として活用するのがいいと思います。

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2 歳以降はどうですか?

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保育園や幼稚園に通うようになるとぐっと働きやすくなるので、少し行動範囲を広げられる時期です。とは言え、子どもは急に体調を崩しやすく、容赦なく呼び出しがかかります。ですから、締め切りがタイトなものなどはできるだけ避けて、納期に余裕がある仕事を選ぶといいと思います。子どもが小学校に上がると本格的に活動していける時期に入ります。

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焦らずに、自分の環境やペース、子どもの様子に合わせて段階を踏んでいく方がよいということですね

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最初にもお伝えしましたが、育児中はとにかく「完璧」にこだわらないことです。特にクリエイティブ系のフリーランスで育児中に、完成度にこだわりすぎると納期が守れなくなりがち。納期イコール信頼ですから、最初から完璧を目指さないことが大切です。

家事は手抜きしてOK!全部自分でやらなくていい

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完璧を目指さないのであれば、どこか妥協ポイントや工夫が必要になりますね。

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子どもとの時間と仕事をする時間を死守するとしたら、家事で上手に手抜きをすること。私は特に家事が苦手。
時短のための家電やグッズに助けてもらいました。

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食器洗浄器やドラム式全自動洗濯機、自動調理器などをうまく活用するということですね。

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はい。ただ、ドラム式洗濯機は 10 万円を超えるものも多いので、私も買うのを躊躇しました。でも、使うようになってから、「早く買えばよかった」と思いましたね。あとは、妻が何でもやらなくてはならないという自分自身のバイアスから抜け出すことも結構大事です。

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毎日の食事も大変ですよね。

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はい。世のお母さんたちは「ご飯は、手作りで毎日作らなきゃいけない」という思いに潰されている人が多いように思います。私も最初は「ご飯は手作りじゃないと」と思っていましたが、もともと家事が得意ではなく、面倒でつらいという思いが日々募っていきました。そこで、農薬無添加食材を使っているような冷凍食品やレトルトなどを取り入れるようにしたらとても楽になりました。

夫婦関係の悪化は宿命?パートナーシップの秘訣って?

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夫との家事分担はどうされていましたか?

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夫が会社員だったこともあって、最初は私がワンオペで頑張っていたのですが、どんどん追い込まれていきました。私の仕事が軌道に乗れば乗るほど、夫婦間でのぶつかり合いが起こるようになり、家事のシェアについて話し合わざるを得なくなりました。

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家事は分担制にされたんですか?

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家事もスキルのうちなので、得意なことや向いていることが夫婦でも違います。だから、基本的には得意な方が担当するようにしましたが、きっちり分担はしないようにしています。

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分担を決めない理由は何ですか?

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はっきり決めてしまうと、相手がやっていない時、忘れている時にストレスが溜まりますし、やってもらって当たり前という気持ちになってしまう。やってくれたことに感謝することはとっても大切なことです。最近は夫が料理をしてくれることもあるのですが、慣れない頃は失敗も多かった。でも、やってくれたことに「ありがとう」と伝えていたら料理が上手になりました。

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家族内で得意なことを得意な方がやりながら、応援しあえるっていいですね。

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家族は生きるための最小単位のチームだと思うんです。だから、家族でどういう暮らしをし、どう働き、何を大切にしているのかをたくさん話し合って、理想の暮らし方に向かって力を合わせることが大切です。それができれば子育てと仕事、うまくバランスが取れるなら、フリーランスと子育ての相性は、実は非常にいいんですよ。

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育児とフリーランスの相性ですか!

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はい。特に、子どもが小さいうちは本当に寝る時間も取れません。それでも、会社員だと出勤しなくてはなりませんよね。でも、フリーランスなら眠れるときに寝て、子どもが寝ているときに仕事ができると言う利点があります。もちろん、子どもの性格などにもよりますし、ママのスキルにもよりますので、正直「みんな、育児しながらフリーランスで働いた方が絶対いいよ!」とはとても言えませんが、いい面もたくさんあります。

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夫と仕事の話も共有されるんですか?

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パートナーが会社員の場合は、在宅のフリー
ランスの実態を理解してもらうのが難しいです。だから、私がどんな仕事をしていて、どれくらい稼いでいるのかを具体的に伝えるようにしました。夫に対しても、私が働くことで家族にとってどれだけいいことがあるのかを伝えておくことで、応援が得られますし、家族皆で理想の人生を過ごすために同じチームとして頑張れますから。

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フリーランスで好きなことを仕事にできるのは本当に幸せなことですよね。それが家族の幸せにつながるのは素敵なことだと思います。

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はい。自分にとっても幸せなことですし、子どもに好きなことを仕事にしている姿を見せられるのもいいと思っています。親が楽しそうに働いているのを見ることで、子どもは働くことって楽しい、と思うようになります。「将来どんな仕事をしよう」とイメージできるようになるんです。

取材/I am 編集部
文/MARU
写真/本人提供

この記事を書いた人

MARU
MARU編集・ライティング
猫を愛する物書き。独立して20年。文章で大事にしているのはリズム感。人生の選択の基準は、楽しいか、面白いかどうか。強み:ノンジャンルで媒体を問わずに書けること、編集もできること。弱み:大雑把で細かい作業が苦手。

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