何者でもなかった渡邊圭祐のいまを形作った、あの漫画のあのセリフ
12月23日から全国公開される映画「ブラックナイトパレード」で、イケメンサンタを演じている俳優の渡邊圭祐さんに「好きを仕事にし続けるために必要な5つの理由」について聞きました。
プロフィール
俳優渡邊圭祐
12月23日から全国公開される映画「ブラックナイトパレード」で、イケメンサンタを演じている俳優の渡邊圭祐さん。「銀魂」シリーズ、「今日から俺は!!」など数々のコメディを輩出してきた福田雄一監督作品への出演は「念願だった」と思いを込めて語ります。笑わない料理人・古平鉄平を演じ切り、「新しい笑いの形を生み出せたと思う」と自信。モデルから俳優へと活躍の幅を広げた渡邊さんに「好きを仕事にし続けるために必要な5つの理由」について聞きました。
目次
渡邊圭祐さんに聞いた、経験を実力に変えるための5つの方法
どんなことも何かに繋がっている
僕は大学の学園祭でコンテストの運営スタッフをしていたときに、スカウトされ22歳でモデルとして活動を始めました。演技にも興味がありましたが、役者としてデビューしたのは「仮面ライダージオウ」(2018年)のオーディションで、ウォズ役をいただいた25歳のとき。モデルとして仕事をしていた3年間に培った経験が、いまの僕を形作っていると感じているので、全てはムダじゃなかったと思っています。どんなことも何かに繋がっている。目の前にあることが、やりたいことに繋がっているのか先が見えなくても、いまやっていることを疑わないことが大切だと思います。
いま好きだと思うことをやり続けるしかない
若いときって、自分は何が得意なのか、何をしたいのか分からない時期もあると思うんです。目標や夢がいまはないという人は、自分が好きだと思うことをやり続けてほしい。これは自分の実体験でもあるのですが、目標を立てて頑張るのではなくて、自分が楽しいと思えることを続けてみる。そのうちに「これかな?」って目標みたいなものが見えてくるので、見えたら、頑張ればいいと思います。
俺の道は、今と地続きだということ―『REAL』真野朋美
僕はマンガ家の井上雄彦さんの作品が大好き。人生の格言が書いてあると『SLAM DUNK』なども繰り返し読みました。中でも『REAL』に登場する野宮朋美の「俺の道は、今と地続きだということ」という言葉を大切にしています。社長になりたい、野球選手になりたい。いろんな目標があると思うのですが、どんな経験もその目標に繋がっているはず。それも、「自分を信じる」ことにも繋がると思いますが、目の前のことに集中して、それを積み重ねていれば未来は開けると思います。
経験を積むことこそが、人としての成長につながる
僕が仕事にしている役者は、医者やスポーツ選手など、さまざまな人の人生になり切って表現をするもの。短い期間でも誰かの人生を自分の中に刻み込んでまるで自分の経験のように生きることができるところに魅力を感じています。ドラマや映画、舞台など作品ごとに、誰かの人生を疑似体験できるこの仕事は魅力的だなと感じます。人生を豊かにするものは、経験することだと思うので、色々な役に挑戦し自分自身も魅力的な人間になっていきたいですね。
あえて、目標を定めない
何歳までにこの作品に出演したいなど、自分に制限を設けないようにしています。目標を持って頑張るのも素敵ですが、自分が望むように進まなかったとき、挫折感にも繋がると思うので。モデルとして活動を始めてからこれまで、役者としてはアクションや恋愛ものなど幅広い作品に声を掛けていただくことができました。30歳までにこうしたい。来年はこうしたいなどの明確な目標はありませんが、歳を重ねるごとに求められる表現や仕事の内容が濃くなっていると思います。たくさんの現場を経験し、アイデアを持って現場に臨めるようにもなりました。来年もこれまでと同じように、呼んでいただいた現場で全力を注ぎ、次の現場に新しい武器を持って臨めるよう準備したいです。
<インタビュー>コメディの名手の新作・映画「ブラックナイトパレード」で“笑わない”料理人役を徹底
念願だった「福田組」参戦。なのに笑ってはいけない役作りとは?
――12月23日から公開される映画「ブラックナイトパレード」に出演しています。福田雄一監督作品への参加は初めてでしたね。
渡邊:福田組への参加は念願だったので、決まったときはうれしかったです。僕は「木更津キャッツアイ」が好きで、ドラマに出ていた佐藤隆太さん、岡田義徳さん、塚本高史さんが出演していた「THE3名様」をよく観ていました。福田監督はノンフィクションっぽいフィクションを生み出す天才だと思うので、声を掛けていただき光栄でした。
――映画は、「聖☆おにいさん」の作者・中村光の同名漫画を福田さんが実写化したものです。クリスマスムード一色で盛り上がる中、何をやってもダメな冴えない主人公・日野三春(吉沢亮)が、黒いサンタ服を着た謎の男に連れ去られ“ブラックサンタ”として働く姿を描いています。渡邊さんは全く笑わないイケメン料理長・古平鉄平役を務めました。
渡邊:三春役の吉沢亮さん、北条志乃役の橋本環奈さんは、福田組の常連。福田監督との関係が仕上がっていたので、リラックスして撮影をしていました。撮影の中では、吉沢さんたちが、ギアを入れ替えて勝負をする様子などを見て、勉強になりました。福田監督とは衣装合わせのときに、初めてお会いして、最初に言われたのは「細いね」と「前髪作っておこうか」でした。別の作品も並行して撮影していて、髪を切ることができなかったので、鉄平の前髪は“付け毛”なんです。
――三春がサンタクロースハウスにやってきた日。鉄平は得意料理をふるまい、三春に「嫁に出来る!」と太鼓判を押されます。プライベートではお料理をされたりしますか。
渡邊:全くしません。2022年に自宅のキッチンに立ったことは一度もありませんでした。
――福田監督は「作品の中には軸がぶれない人が必ず必要。渡邊くんは、安定した芝居ができるので信頼している」と話されていました。アドリブがさく裂する現場で、“イケメン”を貫く難しさはありましたか。
渡邊:「軸がぶれない人」として見ていただいたとは知りませんでした。ありがたいです。鉄平は感情を表に表すことが少ないので、顔を崩すことがほぼなくて。狭いラインの中での表情作りを求められました。監督からは鉄平を作る要素は「笑わないこと」と言われていましたが、思わず感情が出てしまったところもあって。そこも使われているのが、福田監督らしいなと思いました。
――鉄平の笑顔。必見ですね。映画を楽しみにされている方に、メッセージをお願いします。
渡邊:クスッとする場面。大笑いするところ。とにかく笑いどころがたくさんある作品です。その中で僕が演じる鉄平は第三者としての目線を持っている人物。三春や常にバグっている田中カイザー(中川大志)、志乃がめちゃくちゃにやり合っているのを、冷静に見つめている。笑わない鉄平を見て、みなさんが笑うという新しい笑い方で、楽しんでほしいです。
取材・文/翡翠
撮影/島田香(オフィシャルスチール)
スタイリスト/岡本健太郎
ヘアメイク:木内真奈美(OTIE)
編集/MARU
公開情報
2022年12月23日(金)より全国にて公開
脚本・監督:福田雄一
原作:中村光
出演:吉沢亮、橋本環奈、中川大志、渡邊圭祐ら
配給:東宝
公式HP https://bnp-movie.jp/
公式Twitter https://twitter.com/bnp_movie
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この記事を書いた人
- 音楽や映画、舞台などを中心にインタビュー取材や、レポート執筆をしています。強み:相手の良いところをみつけることができる。弱み:ネガティブなところ。