タニタ研究員の「ダイエットで人生変える」授業淡色ビールと黒ビール、どっちを選ぶ?タニタ研究員が教える、ビールの種類別の栄養とおすすめの飲み方
夏に恋しくなるビール。アルコールの摂りすぎにはもちろん注意が必要ですが、ビールは適度な量を心掛ければ、からだにうれしい作用が期待できます。また、プリン体が気になる方へ、タニタ研究員の西澤美幸さんにビールの健康的な飲み方を教えてもらいました。
暑い、暑すぎる……。今年も連日のように35度を超える東京の気温。私が毎日チェックしている「ナミブ砂漠」のライブカメラ映像の気温よりはるかに高い!シマウマさんやダチョウさんたちがやってきてフリーダムに動き回るあの「野生の王国」な世界よりこっちのほうが暑いなんて……。まさに東京砂漠 !
そんなわけで、ビールです。暑さに耐えて頑張ったご褒美や、この時期盛り上がるスポーツ観戦、夏季休暇の帰省のおともに最適な、ぐいっと楽しむアレです。
アルコールの摂りすぎにはもちろん注意が必要ですが、“適度な量”を心がければ「からだにうれしい作用が期待できますよ」ということや「こんな飲み方をすればもっと健康的ですよ」ということを、この酷暑を乗り切り少しでも元気になっていただくために、暑さで沸騰しそうな思考を落ち着かせつつ……ご紹介します。
目次
ビールの種類別「栄養とおすすめの選び方」
適量を守れば、ビールにはからだに嬉しい作用がたくさんあります。ストレス緩和や食欲増進に加え、疲労回復や皮膚の健康維持などが代表的なものですが、最近の研究では「腸内環境の改善」1)や「認知症予防に効果あり」2)3)ということもわかってきています。
さらに、クリアな淡色ビールと濃い味わいの黒ビールにはその栄養成分や効果にも若干の違いがありますので、下記にまとめました。
淡色ビール(ラガービール、ピルスナーなど)
・カロリー:約140~150kcal程度(350ml缶あたり)
・栄養:ビタミンB群(B2、ナイアシン、B6、B12、葉酸)、亜鉛、マグネシウム
低カロリーで、脂肪燃焼・代謝を促す効果のある淡色ビール。スリムな体型を目指している時やダイエット中の「ちょっと1杯」にはこちらがおすすめ。
適量であれば、代謝促進だけでなく 免疫力向上効果や、美肌効果、集中力UPまで期待できてしまう成分も含まれています。シャキッとすっきり手っ取り早い気分転換に良いですね。
黒ビール(ポーター、スタウトなど)
・カロリー: 約200~210 kcal程度(350ml缶あたり)
・栄養:ビタミンB群(B2、B6、葉酸)、鉄分、マグネシウム、ポリフェノール(クロロゲン酸など)
深く濃い味わいの黒ビールは、鉄分が豊富で、貧血予防、血流促進・疲労回復に役立ちます。ゆっくり味わって満足感とともに活力・元気を出したいときにはこちらをどうぞ。
色が濃い分、抗酸化作用のあるポリフェノールが豊富なので、適量であれば酸化ストレスの緩和やアンチエイジングにも一役買います。コクのある味わいで甘いものや脂っこいものの食べ過ぎを防ぐ効果も期待できます。
プリン体が気になる方へ!できるだけリスクを避けるヒント
ビールといえばプリン体が気になる方も多いでしょう。確かにビールには原料となる麦芽のプリン体が多く含まれています。しかし、たとえ「プリン体0」であってもアルコール摂取自体が血中の尿酸値を上昇させ、高尿酸血症のリスクを高めてしまうことをご存じでしょうか。尿酸値を気にするならビールに限らずアルコール飲料すべてにおいて注意が必要なのです。
気になる方は、まずは「ノンアルコール」のビールや飲料をうまく活用することをおすすめします。ノンアルコールビールでもじゅうぶん、ビールの健康効果は期待できますので上手に活用して気分転換&健康効果を手に入れてください。
「そこまで尿酸値が高いわけではないけれど、できれば尿酸値が高くならないようにリスクを避けて健康的にビールを楽しみたい」という方は次にご紹介する2つの「とにかくプラス」を心がければリスクの低下に役立ちます。ビールやアルコール飲料を飲むときにぜひ意識してみてください。
プリン体・尿酸排出に効果的!「とにかくプラス」
①「野菜」「きのこ」「海藻」「豆」「果物」たっぷりプラス
野菜や果物などに含まれる食物繊維がプリン体の吸収を妨げ、排出を促すだけでなく、ビタミンCには尿酸自体の排泄を促す作用があるとされています。
おつまみやお食事にたくさん取り入れて、プリン体や尿酸を排出しましょう。
②水分をたっぷりプラス
水分を多く摂り尿量を増やすことで、尿酸を排出します。糖分の多い飲み物は逆効果ですので、無糖のお茶やミネラルウォーターがおすすめです。アルコールの代謝、アセトアルデヒドの排出にもたっぷりの水分は効果的です。
いつも頑張っている皆さまの「自分へのご褒美」に役立つ情報として活用いただければ幸いです。楽しく気分転換しながら、この暑さを乗り切りましょう!
<参考文献>
- “Impact of Beer and Nonalcoholic Beer Consumption on the Gut Microbiota: A Randomized, Double-Blind, Controlled Tria.” J. Agric. Food Chem. 2022, 70, 13062−13070
- “Beer hops compounds could help protect against Alzheimer’s disease” ACS Chemistry for Life, November 7, 2022
- “Alzheimer’s Disease Prevention through Natural Compounds: Cell-Free, In Vitro, and In Vivo Dissection of Hop (Humulus lupulus L.)Multitarget Activity” CS Chem. Neurosci. 2022, 13, 3152−3167
(執筆/タニタ研究員 西澤美幸)
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この記事を書いた人
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1968年生まれ。横浜国立大学在学中よりタニタの体脂肪計のプロジェクトチームに参加。入社後は、世界初の乗るだけではかれる体脂肪計や体組成計、活動量計などの開発に携わり、機器の要となる計測の回帰式や判定アルゴリズム作成を担う。
29歳で社内初の技術系女性課長に就任し38歳で出産。栄養士の資格も有し文部科学省の食育有識者会議委員を務めるなど、さまざまな計測データを健康づくりに活かす提案を行い、栄養士と技術者の2つの視点から多数のセミナーの講師も担当している。