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精神科医が教える、リモートワークで効果的な休憩の取り方。ネットで気分転換は休んだうちにはいらない

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精神科医が教える、リモートワーク時の休憩の取り方のコツ

リモートワークでおろそかになりがちな「休憩」。適切な休憩の取り方について、早稲田大学教授・精神科医の西多昌規さんに教わります。

西多 昌規

プロフィール

早稲田大学教授、精神科医西多昌規

早稲田大学スポーツ科学学術院・教授、早稲田大学睡眠研究所・所長。精神科専門医、睡眠医療総合専門医など。専門は睡眠、アスリートのメンタルケア、睡眠サポート。睡眠障害、発達障害の治療も行う。著書に『休む技術』『休む技術2』(大和書房)など。

総務省の調査によれば、コロナ禍がひとまず終わっても、リモートワークを導入している企業は約50%に及びます。リモートワークには、通勤から解放されるなどメリットがある反面、適切な「休憩」がおろそかになるリスクもあります。仕事のパフォーマンスを左右する休憩はどうとるべきでしょうか? 早稲田大学教授・精神科医の西多昌規さんの著書『休む技術2』(大和書房)より、そのエッセンスをお伝えします。

リモートワーク時の休憩は意識して取る

リモートワークをしていると、ネットサーフィンやスマホのわき見が、休憩を兼ねているかもしれませんね。でも、それだとずっと座りっぱなしで、本当の休憩にはなっていないのです。

自宅で自分のペースで仕事ができる環境なら、「休憩を意識して取る」ことが肝心です。

そのためにまずは、数分の「小さな休憩」と20~30分の「大きな休憩」で分けて考えます。この両方が取れる時間管理術に「ポモドーロテクニック」というのがあります。これは、25分仕事をして5分休むサイクルを繰り返し、2~3時間に1度の大きな休憩を取るというやり方です。

「小さな休憩」の際は、イスから離れるようにします。お茶を飲むとか、ストレッチをするとかしましょう。「大きな休憩」のときは、外に出て自然に目を向けるのが、リフレッシュ効果が高くておすすめです。天気が悪ければ、室内で軽く身体を動かすのもいいでしょう。

オン・オフの切り替えは強制力をつける

よく「オン・オフの切り替えが大事」と言われますね。オフにも、休暇のような長いものもあれば、前に挙げたポモドーロテクニックの「小さな休憩」のような、ごく短時間のものもあります。

ちょっとのオフであっても、タイミングよく取れば、疲労回復、座りすぎ防止、注意散漫対策など、さまざまな効果を得られます。しかし、ついつい仕事を続けてしまって、そのタイミングを逃すことが多いかと思います。

そこで重要なのが、休憩を取らざるを得ないような仕組みづくりです。例えば、わたしは、あえて手間をかけてコーヒーを淹れるというのをしています。ペーパードリップにコーヒー豆の粉を入れて、円を描くようにお湯を注ぐ。これなら、絶対に仕事の手を休ませねばなりません。ほかにも、同僚・家族とのちょっとしたおしゃべりもいいですし、シンプルな運動器具をそばに置いて、それで短時間の運動をするというのもいいでしょう。

ここで注意したいのは、休憩をとること自体のハードルを上げすぎないことです。人間には、現状維持バイアスという心理があります。これは、今続けていることを続けたい、言い換えるなら、変化を避ける気持ちです。休憩も変化なので、現状維持バイアスのせいで、面倒に感じる可能性があります。それを防ぐためにも、楽しく感じられたり、手早く着手できるものにしておきましょう。

休暇は自分の裁量で決める

「わたしならできる」という気持ちを持っていることを、自己効力感と呼びます。

言うまでもなく、仕事を達成するためには、自己効力感はとても重要。ですが、オフを取るのにも必要な概念なのです。

日本は他国に比べて祝日が多く、また、有給休暇の取得義務付けによって、「与えられる」オフの日は多いですね。

ですが、自分の裁量でオフの日を決めるという点についてはどうでしょうか。なかなかできていない人が多そうです。

実は、「自分で決めて、選ぶ」ことが、自己効力感を高める効果があります。逆に他の人に決められた休みでは、人生の満足感や幸福感はどうしても低くなってしまうのです。

そこで、意識して能動的に休日を取ってみましょう。仕事の予定が見えない半年前とか、かなり前の段階で長期休暇の日取りを設定するのが効果的です。

また、特にリモートワーカーは、有給休暇が取りくいという人が多いようです。ですが、もしダラダラと注意散漫な仕事となりがちであれば、思い切って有給休暇を取って強制的にデスクから離れるべきでしょう。

この記事を書いた人

鈴木 拓也
鈴木 拓也
都内出版社などでの勤務を経て、北海道の老舗翻訳会社で15年間役員を務める。次期社長になるのが嫌だったのと、寒い土地が苦手で、スピンオフしてフリーランスライターに転向。最近は写真撮影に目覚め、そちらの道も模索する日々を送る。

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