ビジネスアイデアになる! 世の中にある日常の「困りごと」の見つけ方と対象別「困りごと」
独立したいけど何をしていいかわからない。起業したいけどビジネスの種が見つからない。誰もが豊富なビジネスアイデアに恵まれているとは限りません。誰かの「困りごと」を解決する視点でビジネスアイデアについて考えていみます。
身近な困りごとや課題を解決するモノやサービスを考えることで、ビジネスアイデアを引き出すことができます。「困りごと」の見つけ方、「困りごと」を解決するビジネスの事例をご紹介します。
目次
「困りごと」は「求められていること(ニーズ)」である
「会社を辞めて独立したいとは思ってるけど、アイデアがない…」
「副業したいけどどんな業種が注目されているかわからない」
「自分の好きなことで生計を立てたいけど、やっていけるかわからない…」
なんとなく起業や小規模でビジネスをやってみたいとは思いつつ、基盤となる良いアイデアが浮かばない…という人は多いのではないでしょうか。 ビジネスの種になるアイデアが浮かばないのは万人共通の悩み。逆に、誰もが思いつくようなアイデアではお金は稼ぎにくいということでもあります。
そんなビジネスアイデアの種の探し方をご紹介していきたいと思います。 ビジネスの基本は「困りごと」を解決すること。
大手企業のリクルートは人生における問題を解消していくことを基軸に業務を展開しています。 小売店などの決済サービス「Airペイ」は小売店側では煩雑なシステムを導入せずに決済サービスを入れることができ、利用者は簡単にスマート決済を利用することができます。 これは両者の「困りごと」をうまく解消している事例といえます。
とんぼのおうち保育園は子育てママの最大の困りごとから、事前予約不要でだれでも一時保育が利用できる短時間の一時保育『Chocotteほいく』を立ちあげました。家族との時間を大切にしたい一方で、休息・睡眠時間が不足していて疲労が蓄積しているという子育て中のママの困りごとを解決するサービスです。
このようにビジネスアイデアの種は「困りごと」に隠れています。 0→1でアイデアを考えることにこだわらず、まずは「困りごと」を解消するビジネスアイデアの種を探すことから始めてみましょう。
日常に潜む「困りごと」の見つけ方
では実際に「困りごと」はどのように見つけて行くのが良いのでしょうか。 ここからは日常に潜んでいる「困りごと」を見つける手段を4つの難易度に分けてご紹介します。
難易度1:自分や周囲の人が不便に感じていることを洗い出す
1つめの手段としてご紹介したいのが「自分や周囲の人が不便に感じていることを洗い出す」。
一般人の持つ困りごとは出し尽くされて、特別な立場の人からじゃないとアイデアなんて出ないんじゃないか…と思われるかもしれませんがそんなことはありません。 ここで事例を1つご紹介したいと思います。
シングルマザー向けシェアハウス「ハニコム」を運営する生駒朋子さんはシングルマザーの友人の話からソーシャルビジネスを立ち上げています。
ここでお伝えしたいのは、アイデアを見つけるには自分や身近な人が持っている要素の掛け合わせが大切だということです。上記でご紹介した「ハニコム」は、あるシングルマザーのお宅に生駒さんが遊びに行った時、「いてくれるだけで助かる」と感謝されたことがきっかけ。
「ただいるだけで助かる」。その発見をきっかけに、生駒さんは母子世帯同士が互いに生活を営めるシェアハウスを運営しています。まさにこの発見はシングルマザーの方のニーズを捉えたアイデアです。
このように、様々な人々との出会いや生活のなかにビジネスアイデアの種は潜んでいます。
難易度2:スキルシェア系サービスでリサーチする
2つめの手段が「スキルシェア系サービスでのリサーチ」です。
近年、自分のスキルを提供したい人とスキルを求めている人を結びつけるマッチングサービスが増えてきています。 こういったスキルシェアサービス系のサイトで「どんなことが求められているか?」をリサーチするのをオススメします。
一見特別なスキルがないといけないのでは…と思いがちですがそんなことはありません。 例えば「タスカジ」というサービスでは家事代行をお願いしたい人と家事代行を請け負う方のマッチングサービスです。 とくに家事代行を行うのに必要な資格はありません。掃除、整理整頓、料理など自身の得意な家事代行、または依頼を目的に登録することができます。
このようにスキルシェア系サービスを検索することで様々なニーズを探し出すことができます。 ただし検索してサービスがある時点で競合が存在している、ということではあるため、その点は留意が必要と言えます。
難易度3:すでに発表されている調査やアンケートを参考にする
3つ目はすでに発表されている調査やアンケートを参考にする、という方法です。
調査やアンケートを活用することで、多くの人々が抱えている困りごとをわかりやすく知ることができます。 また、その困りごとを抱えている人々の数もざっくりと把握できるため、ニーズの把握にも役立つでしょう。 しかし、調査やアンケートを参考にする場合、留意点がいくつか存在します。
最も大きな留意点は「ビジネスチャンスになりにくい困りごと」が多く存在しているということです。 ちょっとしたアイデアで解消できる困りごとであれば良いのですが、現状で多くの人が「困ったまま」になっているということは、「ビジネスチャンスになりにくい」から、そのままになっている可能性があるということです。例えば環境問題などです。海中のゴミの問題は多くの人々がの困りごとである一方で、ゴミの回収には多大なお金がかかってしまいます。これを個人のビジネスで解消するにはなかなか難しい問題と言えるでしょう。
アンケートや調査を読み取った上で、多くの人が困っているから、それを解消してみようと飛びついてしまうと、かえってビジネス的には難しくなってしまうかもしれません。 あくまで調査やアンケートは、アイデアの取っ掛かりとして利用するのが良いでしょう。
難易度4:独自でヒアリングやアンケート調査を行う
最後にご紹介するのが独自でヒアリングや調査を行う方法です。
独自で調査をすることで、既にある調査よりも調査対象のパーソナリティを理解しやすいのが特徴です。 また、気になった対象者には対面で調査を申し込む事もできるので、困りごとの深掘りもしやすいのはメリットでしょう。 しかし、独自調査には他の調査と異なり様々な留意点が発生します。 調査等で特にスキルを持っていない場合にありがちなのが、自身の考える仮説を検証するために質問が恣意的になってしまうことがよくあります。 ほしい調査結果を得たいがために、無意識に答えを誘導するような質問をしてしまったりするケースはよくあります。 独自調査ではかなりの時間を要するため、上記のような状況になってしまうと一から調査をやり直す必要がでてきます。 こういった状況に陥らないためにも、まずは仮説をしっかり立て、冷静に分析する必要があります。 また、仮説が外れた場合、当たった場合でその後のプロセスを考慮しておくと調査に個人の感情が入りにくくなるでしょう。
【事例紹介】あのサービスも「困りごと」を解決することで爆発的に成長した
ここからは実際に「困りごと」を解消し、ビジネスにした事例をご紹介しています。
フードデリバリーサービスの「ウーバーイーツ」 はコロナで爆発的に世間に浸透しました。 「外食は自粛するが、好きなお店の料理を食べたい」「食事の手間を減らしたい(買い物に行きたくない、料理をしたくない)」という「困りごと」を解消することで大きく成長したビジネスだといえるでしょう。 故に、高級料理店のディナーセットのようなデリバリーメニューがコロナ時期から増え、ユーザーが爆発的に増加しました。 ビジネスアイデアの種はパーソナリティやオリジナリティを持って見つけることができます。 同時に世間を取り巻く状況の変化でもビジネスアイデアの種は生まれる可能性があります。 ぜひ日常に潜む「困りごと」を探してみてください。
何に困っている? 調査からみる対象別「困りごと」
ここからは実際にアイデアのきっかけとして、既にある調査からどんな「困りごと」があるのか、具体的にみてみましょう。
共働き家庭の「困りごと」
ベネッセ、P&G共同調査による「共働き家庭が抱える課題に関する共同調査」から、共働きママにフォーカスした困りごとが報告されています。
調査の結果は以下の通り。
共働きママが欲しいのは、
1位 | 追われない自由な時間 | 76.4% |
2位 | 子どもとの時間 | 43.3% |
3位 | 心をリセットする時間 | 41.4% |
共働きママが仕事と家庭の両立で悩んでいることは、
1位 | 自分のストレス・健康 | 72.6% |
2位 | 家事 | 65% |
3位 | 子どもの急病 | 63.1% |
家事分担比率は、ママ:パパ=9:1が最も多い。子どもが病気の時に休むのもママ。
現在興味関心があるのは、
1位 | 子育て・教育 | 66.2% |
2位 | 毎月のお金のやりくり | 62.7% |
3位 | 家事の効率化 | 62.4% |
上記の結果から考えられるのは、共働きママの多くは子育て・教育に関心がありつつも、追われない自由な時間を欲しており、非常にストレスフルな状況であるということです。 かなり「困りごと」を多く抱えている状況にありそうです。
実際にこのような状況の共働きママに向けたサービスで人気が上昇しているのが「タスカジ」です。
家事をお願いしたい共働きママと、家事代行の人々をつなぐマッチングサービスとなっています。 こちらは普段割高に感じる家事代行を業界最安値で利用することもでき、女性の興味関心第2位の「お金」に関する問題もクリアしたサービスになっています。 女性の社会進出が増えるにつれ、増加の傾向を辿ってきた共働きママ。 まだまだ「困りごと」が解消されていない状況のため、アイデアの種は拾いやすいといえるでしょう。
高齢者の「困りごと」
次にご紹介したいのが高齢者の「困りごと」です。 調査結果「高齢者未充足ニーズ調査 2019年」(株式会社日本能率協会総合研究所)では、大規模郵送調査に先立って実施された高齢者10名に対してインタビュー調査を行い、高齢者にとって生活の中で感じる「57項目の代表的な困りごと」を導き出しています。 その中でビジネスアイデアの種になりそうなものを抜粋して紹介します。
- 飲料、食料の蓋を開けるのに苦労する
- 食材が賞味期限切れになる
- 買い物に行って必要なものを買い忘れる
- 食事の準備がおっくうだと感じる
- 玄関先、ベランダ、庭の掃除がおっくうだと感じる
- 買い物がおっくうに感じる
- 入浴がおっくうに感じる
若年層より特に体力に関して衰えを感じ、様々な事象に「困りごと」が発生しているようです。 超高齢化社会が問題化している昨今の情勢の中で、高齢者にとっての「困りごと」もビジネスアイデアになりうるでしょう。
女性の「困りごと」
養命酒製造株式会社調べの「女性の冷えと不調に関する調査 2021」から、女性の困りごとを見てみましょう。
多くの年代の女性にとっての悩みごとTOP5は 「健康状態」「家計」「仕事」「容姿・美容」「生きがい」。 特に「健康状態」と「家計」が特に高く、健康面や経済面で不安を感じている人が多い結果となっています。 また、女性の感じる「不調」TOP5は「疲れやすい」「冷え症」「肩痛・腰痛」「寝つきが悪い・眠りが浅い」「便秘」となっています。 疲労感や冷え、からだの痛み、睡眠や消化器系の不調を感じている人が多いようです。
今回は養命酒製造株式会社のデータのため、「女性の体の冷え」にフォーカスしたデータになっていますが、そういったデータのなかにもアイデアの種は存在しています。 からだの冷えを感じる部位として最もあてはまる場所を聞いたところ、「手足の末端」が突出して高くなっています。 女性にとって体の冷えは大敵。全年代の女性にとってニーズのある「手足の末端の冷え」を解消するにはどうすればよいか、日常生活のなかからヒントを得ても良いかもしれません。
「困りごと」に潜む様々なビジネスアイデアの種
ここまで実際の「困りごと」からビジネスアイデアに昇華させるために、どのような方法があるかご紹介してきました。 また、既存の調査を参考に実際の「困りごと」や、その困りごとを実際にビジネスにしている事例も参考に挙げました。
ビジネスアイデアの種は日常に多く潜んでいます。しかし、それをビジネスにしようと実行に移す人はとても少数です。 逆に言えば、実行までしっかり成し遂げればビジネスの軌道に乗せられる可能性が高いとも言えます。
「困りごと」を見つけたら、まずはビジネスとして実行できるアイデアを探してみてください。
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この記事を書いた人
- 「好きや得意」を仕事に――新しい働き方、自分らしい働き方を目指すバブル(の香りを少し知ってる)、ミレニアム、Z世代の女性3人の編集部です。これからは仕事の対価として給与をもらうだけでなく「自分の価値をお金に変える」という、「こんなことがあったらいいな!」を実現するためのナレッジを発信していきます。