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絶対に失敗するカフェの作り方

絶対に失敗するカフェの作り方ワンオペの小さなカフェ経営で、120人以上のお客さんは絶対に捌けないその理由。

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小さなカフェ経営は儲かるのか、儲からないのか

この連載を読んでくださっている方のほとんどは、カフェ経営に興味がある方だと思います。

ここで、あなたがぶっちゃけ知りたいであろう質問を、私が私に勝手に投げかけて答えたいと思います。

珈琲文明の店主・赤澤智が語ります。

「カフェをやったら、ぶっちゃけ、どれくらいの収入になるの?」

です。そりゃあそうですよね。いくら夢があってもお金が入ってこなければ食べていけません。それこそ、この連載のタイトル通り、絶対に失敗します。

そして、実はこの問いに答えるために、ある簡単な算式をお伝えします。

・売上(客数×単価)×営業日数×0.4

はい。算式を見たところで、「単価っていくらなの? 」「0.4って何?」という疑問を持たれると思います。

これらは、次回以降で、明確に回答するとして、今回は、まず最重要項目といえる「客数」の話をしますね。

「ぶっちゃけ、お客さんは何人くらい来るのか?」です。

小さなカフェの1日のお客様の限界は何人?

まず、相当説得力のある、最大人数、上限の話をしましょう。

ここで提唱しているような業態(ワンオペでドリンク中心のお店で比較的高単価店)、

即ち、現在の私のお店(珈琲文明)を例にします。

サイフォン式でコーヒーを淹れてお客様に提供するまでのトータル所用時間(豆を量って、挽いて、お湯を入れ、二度の攪拌、カップ&ソーサーのセット、テーブルまで運ぶ)で約4分かかります。

8時間営業だとするとそれは即ち480分、4分で割ると120です。

コーヒー1杯淹れるのに4分かかるならば開店と同時に淹れ始めて閉店まで絶え間なく淹れ続けて120杯がマックスということです。

さて、このお店(珈琲文明)に1日120人以上のお客さんが来ると思いますか? そして、延々とコーヒーを淹れ続けられると思いますか? 

ええ、物理的に無理です。

それに、それって楽しいですか? 

トイレにも行けずにコーヒーを淹れ続けるなんてホラーです。

1日120杯のコーヒーを淹れ続けるのは、ワンオペでは不可能

もちろん複数名分淹れる際の手際と工程圧縮により時短できるとはいえ、ワンオペ店主の仕事は他にも無数にあります。

オーダーを伺う、洗い物をする、会計する、接客&電話対応などですね。

限界ギリギリの客数を入れ続けるのは不可能

そもそも、開店と同時に0秒でお客さんが入って来るわけではありませんし、最後の120人目の人は提供と同時に閉店時刻を迎えます(笑)。

総合しても考えるに、やはりどう考えても120人以上来るのはあり得ないでしょう。

実際に、これまでの珈琲文明の営業の中で100人を超える日は年に1、2回くらい。しかも当時の珈琲文明は10時間営業でしたので少なくとも、現在の7.5時間営業で客数が120人以上だった日は1日もありません。

ですから、このビジネスモデル(コーヒー1杯淹れるのに4分かかる店)では120人以上の来客数はあり得ないという、よく考えれば当たり前のことを踏まえずに平気で創業計画書に「客数は1日130人で試算しました」と書いたりする人がいるのは恐ろしいです。

いるんですよ、書いちゃう人が。

そして、融資が通ったりするから、これ、絶対失敗しますよって話です。

ただこの考えてみれば当たり前の話も例えばかつて「カフェ開業講座」で私が喋った時に終わってからいくつもの事業をしてかなり稼いでおられる実業家の方から「あの『売上限界説』の話は目から鱗でした」と言われたこともあるくらいなので、世間的にもまだまだ当たり前の話ではないのかもしれません。

小さなカフェの現実的な客数のMAXは70人

さて、今回はもう少しケーススタディとして現実的な数値を紹介しましょうか。

かつて私のお店で営業時間12時~20時(※現在は19時閉店)の8時間のうち開店後30分ほどしてから19時頃までず~っと常にオーダーが続き、来店客足が止まったのが19時頃という日がありました。

珈琲文明の店内

その日の客数は67人でした。

開店直後から閉店直前までお客さんが入るというケースは稀ですから、この日のこれくらいの状態をある意味MAXと捉えればいいと思います。

細かい話をしますと、完全に満席ではないが、来店されたお客さまに「ご注文をお出しするまでに物凄~く長い時間かかりますがよろしいでしょうか?」と言った結果お帰りになられたり、そもそも入口で店内にギッシリ人がいる状態を見て踵を返したりする人だって多いわけです。

来店目的客数と実数とはまた異なりますが、店主が切り盛り出来る範囲で当然考えるべきなので、そう考えるとやはりこのへんのライン(65~70人くらい)がある程度の余裕をみた物理的上限として良いのではないかと思います。

ほら、結構説得力ある話でしょう?

ちなみに私は人一倍動きが遅いわけでも速いわけでもない、いたって普通の動きの人間だと自覚しておりますが、もちろん人によってこの上限の前後はあるでしょう。

しかし、開業計画時の客数試算で、「一日の平均客数80人」などと平気で考えたりする人がいないとも限らない、というより絶対います、こういう人はポジティブではなく無謀なだけですので本当に注意してください。

小さなカフェで無理な営業をすると評判が下がる理由

「え?100人以上入るって店いくつか知ってるよ」

という声が聞こえてきそうです。

ええ、そういうお店をよく見てみてください。そのお店は

・一人でやっているわけじゃない
・テイクアウトをやっている
・基本的にクイックメニュー

のどれかに当てはまっているはずです。

そんなわけで、ワンオペの8坪から20坪程度の小さなカフェのお客さんの上限としてはせいぜい一日に70人、多くても80人がいいところです。

日によって、それ以上になることももちろんありますが、お客さま一人一人へのサービスはかなり下がるというか、この領域になるときっとお客さまは快適な気持ちになっていない状態にあると思います。これが続くと危険です。

そして、ここまできてもなお「いや100人は来てくれないと」と思ってしまう人がいたとします。

その場合は、コーヒーを淹れる際にあらかじめ豆を挽いておいたり、作り置きしたコーヒーを保温して煮詰めた状態にしておくなどしておけば一気に時短もできるかもしれません。

ただし! 今どきファミレスやファストフード、コンビニですらそんなコーヒーの淹れ方をしていませんから、そういうお店に未来はないのでここでは論外です。

持続化可能なワンオペのカフェを持ちたいのなら、夢ばかり見ずに、ここは現実をしっかり見据えて、お客様が満足した上で、きちんと儲かる仕組みを考えることです。

次回は『単価は実はこっちで決められる』という目から鱗な話をしますね。

珈琲文明店主・赤澤智でした。

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