タニタ研究員の「ダイエットで人生変える」授業酒好きタニタ研究員が教える、太りたくなければビールは 「色」で選べ! ピルスナー、ラガー、ペールエールなど淡色ビールの最新情報
見た目を変え、仕事に役立つ! 「太りにくさ」と 「美しく健康に」を叶える、アルコールの飲み方をチェックしよう。
目次
ダイエット中はビールを我慢した方がいい?
暑い、暑すぎる……。ここ数年、外に出ると 「このまま溶けて死ぬのでは!?」と命の危険を感じるほど、暑い日が続くようになりました。日頃、室内でブツブツ言いながらデータ解析している 50 代半ば、ナマケモノの私にはキツすぎる暑さです。この時期、シゴトをちょっと頑張った日の夕方には……そうです! 自分へのご褒美にやっぱり冷たいビールをグイッと飲みたくなります。
「ビールは糖質やプリン体が多くて太りやすい」とか 「ダイエット中は避けた方が良い」というイメージがありますが果たして……それは数値的にどうなのか?ダイエット中でも気分爽快に、太ることを気にせずグイッといける方法はないものか?データにもとづいて考えてみたいと思います。
ビールのカロリーは実は低かった?
最新の食品成分表でお酒のカロリーを比較してみると、ほかのお酒に比べてビールはかなり低カロリーでなかなか優秀!ですね。しかもアルコール分のカロリーは 「エンプティカロリー」と言われていて、優先的に代謝されてしまうので体内には残りません。
ただ、アルコールを優先的に使う分、おつまみで食べた分のカロリーがたまってしまいますので、その分おつまみに気を使う必要があるのですが……。極端な量を飲まなければ、おつまみのカロリーもちゃんと使われます。
ビールの糖質が高いのは過去の常識?
食品成分表の 「炭水化物」からグラフ化してみました (お酒の食物繊維はほぼ0として計算)。ああ、やっぱり……糖質制限をしているダイエッターさんが 「糖質0」の焼酎の炭酸割りやハイボールを選んでいるのも納得です。
ビールはやっぱり糖質多いんだなぁ……と思ったそこのあなた、ちょっと待ってください。実は最新の食品成分表には「利用可能炭水化物、糖アルコール」という記載があります。
従来行われていた炭水化物の量の計算方法 (差し引き法)では、人間の体内で利用できないものも含まれていました。そこで、エネルギーとして利用される量が調べられ、2015 年から記載されるようになった値が 「利用可能炭水化物、糖アルコール」です。
淡色ビールは炭水化物が「微量」
なんとこの値がビール(淡色)では「Tr」=「微量」と書かれています。
つまり、新たな方法で利用可能な糖質の量を調べたところ、ビール (淡色)には微量しか含まれていなかった……!ということなのです。
黒ビールなど、ビールの種類によっては利用可能な炭水化物がしっかり含まれているものもありますので、ビール全般において炭水化物(≒糖質)が微量しかない、ということではないこともわかりました。
しかし!これまで 「ビール=糖質が多い」と思われていた過去データは更新されており、少なくとも淡色ビールは血糖値を上げにくい、かなり低糖質な飲み物であるということがお分かりいただけたかと思います。これはビール好きさんにとってはちょっとうれしいデータ更新ですよね。
ビールに含まれる脂肪燃焼、疲労回復成分とは?
ここでもう一つ、暑い日にグイッと行くため、私が言いわけに使っている(笑)データをご紹介しましょう。
ビールには脂肪燃焼や疲労回復、免疫機能維持や肌と髪の健康を保つビタミン B 群が含まれます。さらにビールにはここに挙げたお酒の中で唯一、造血のビタミン 「葉酸」も 100g あたり 7gも含まれています。飲みながら脂肪燃焼、血行促進、美容効果も期待できる!?……とまで言うとちょっと大げさですが、身体に良い作用がちゃんとある!ということで 「ご褒美にちょっと一杯」の理由づけとして使えるデータではあるかなと思います。
ビールの弱点「プリン体」排出には水と野菜
ビールでよく問題になるのは 「プリン体」ですね。プリン体は旨味成分でもあり、さまざまな食品に含まれていますが、過剰に摂取すると痛風などの疾病を引き起こしますので注意が必要です。アルコール飲料にどれくらいプリン体が含まれているのか調べてみました。
<アルコール飲料に含まれるプリン体>
- ビール:5.7mg
- 日本酒:1.5mg
- ワイン:0.4mg
- ウイスキー:0.1mg
- 焼酎:0.1mg
参考:ビール酒造組合
やはりビールのプリン体は多いですね。ただ、プリン体はアルコール自体の分解過程で生成されるため、すべてのアルコール飲料にリスクがある上、他の食品にも多量に含まれています。
プリン体が心配な場合、アルコールを飲みすぎないよう気をつけるのはもちろんですが、プリン体を排出するための水分と野菜をたくさん摂ることや、「乳製品」や 「大豆製品」といった 「尿酸値を下げる食品」を一緒に摂るよう意識することをおすすめします。
太らないだけでなく美しくなるビールの飲み方
ビールが低カロリーで印象以上に低糖質であるということからも、「ビールだけで太る」という可能性は低いことがお分かりいただけたのではないでしょうか。
暑い日に気持ちよく自分にご褒美&ストレス解消するために、「まずは冷えたビール」で自分にご褒美!も良いでしょう。ただし飲み過ぎは禁物です。太りにくく代謝が促進されるよう身体への効果を考えた場合、ビールばかり何杯も飲むことは避けたいですね。
「太りにくさ」と「美しく健康に」を叶える飲み方としては、間にほかの栄養成分も簡単に摂ることができて、脂肪燃焼効果や健康作用も期待できる以下の飲み方をおすすめします。
緑茶ハイ、生搾り酎ハイとのコラボで栄養バランス
初期:まずは冷たいビール!
(低カロリー&意外と低糖質、ビタミン B 群が摂れる)
中期:緑茶ハイ or ウーロンハイ
(低カロリー&糖質0、お茶の糖質吸収抑制&脂肪燃焼効果+水分代謝を促す)
終盤:生搾りフルーツの焼酎炭酸割り
(デザート感覚で低カロリー&低糖質、ビタミン・ミネラルプラスでアルコール排出と代謝回復をスムーズに)
水、野菜、乳製品との抱き合わせ
- プリン体を排出する水分・野菜も多めに摂る
- 尿酸値を下げる「乳製品」「大豆製品」も摂る
いかがでしょうか?ぜひ参考にしてみてくださいね。次回は「太りにくいおつまみの選び方」をご紹介します。
編集部談
ちなみにタニタ本社には「ICOU」という社員用のバーがあります。
社員食堂は500キロカロリーの上に、アルコールスペースまで!
体脂肪計メーカーはストイックなイメージがありますが、食べ方、飲み方などで工夫できるんですね。
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この記事を書いた人
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1968年生まれ。横浜国立大学在学中よりタニタの体脂肪計のプロジェクトチームに参加。入社後は、世界初の乗るだけではかれる体脂肪計や体組成計、活動量計などの開発に携わり、機器の要となる計測の回帰式や判定アルゴリズム作成を担う。
29歳で社内初の技術系女性課長に就任し38歳で出産。栄養士の資格も有し文部科学省の食育有識者会議委員を務めるなど、さまざまな計測データを健康づくりに活かす提案を行い、栄養士と技術者の2つの視点から多数のセミナーの講師も担当している。