”良いモノ”より”良さそうなモノ”が売れる今、スモールビジネスに必要なリスキリングとは?
今話題のリスキリング。デジタルの新しいスキルを身に付けるというものだが、スモールビジネスをしている人がより実践的に取り入れる方法を考えてみた。
「良いモノを作り続ければ、いつか売れるようになる」なんてことは、ほぼない?
しょっぱなからしょっぱい話ではあるが、良いモノを毎日作っていても、その存在を誰も知らなかったら、誰も買いに来ないのは当たり前だ。
目次
「良いモノが売れる」からくり
すごく良いモノを作ったとして、それを隣近所におすそ分けすれば、そこから「○○良かったよ〜」とという噂が複数重なっていく。これが口コミのパワーだ。
昔はモノが少なかったし、伝達手段も少なく、対面販売が当たり前だったから、店にきてくれたら「見て」「触って」「試食」「試着」ができ、商品の魅力を知ってもらえることができた。
それが昔の「良いモノを作れば売れる」のからくりだ。
「良さそうなモノが売れる」からくり
現代は、隣近所の口コミまで同じだったとしても、それを聞いた人がそのまま買いに来てくれるわけではない。どうやってモノを買うか……
①ネットで価格を比較し
②作りや材料を比較し
③送料やポイントを比較し
④安い方を買う
実はこの時、商品情報以外もチェックしているひとは多い。
⑥お店の対応
⑦使ってみた感想
⑧アフターサービス
etc.…。
ネットで簡単に、何でも、全世界からモノが購入できる一方で、購入までのプロセスは格段に増えている。だからこそ、自分以外の評価軸「○○は良いらしい」の比重がとても高くなっているのではないだろうか。
「良さそうなモノ」とデジタルマーケティングの関係
ネットプロテクションズによる全国の16歳~69歳の男女1000人を対象にした”誰かへの贈り物”や”自分へのご褒美”など気持ちを込めた購買行動の実態調査によると、直近1年以内に贈り物を購入したのは、誕生日や結婚記念日などのプライベートな記念日が最も多かった。誕生日や結婚記念日などを大切にしている人が一番多いという結果とともに、「頑張った自分へのご褒美」が4位に入っていることも注目される。
「誕生日や結婚記念日などプライベートな記念日のプレゼント」を選ぶ参考にしたのは、男性は1位「インターネット記事」、2位「店頭での印象」、3位「自分の経験」、女性は1位「店頭での印象」、2位「インターネット記事」、3位「SNSでの評判」。男性より女性のほうが、より自分以外の評価も取り入れたうえで選んでいるようだ。
なお、「SNSでの評判」を参考にするのは10代(33.1%)、20代(29.1%)と、ネットにより親しんでいる若い世代になるほど、SNSでの評判を参考にする割合が高くなることがわかった。まさに、”良いモノ”より”良さそうなモノ”が売れているのだ。
スモールビジネスにもデジタルのリスキリングが必要なわけ
”良いモノ”から”良さそうなモノ”へと売れるしくみが変化している今、売り方もそれに合わせて変えていかねばならない。スモールビジネスにもデジタルマーケティングは欠かせないものとなっている。
しかし、モノ作りは得意だが「デジタルは苦手」「個人事業主でそんな余裕はない」と言う人が多いのも事実。
だからこそ、スモールビジネスを行っているなら、「最新のデジタル技術を活用して、売れる仕組みを作る」デジタルマーケティングへシフトするためのリスキリングをおススメしたい。
デジタルに少しずつ慣れていくために
通常、リスキリングと言えば政府が推進している大きな政策であり、企業が行う取り組みだと感じるかもしれないが、そうではない。スモールビジネスを行っている方がデジタルに移行するための学びだって、立派なリスキリング。まずは初歩の初歩から、デジタルに少しずつ慣れていくのがおススメだ。
デジタルをまず使ってみる
例えば、これまで対面や電話でお申し込みを受けていたお申し込みや予約を、フォームでも受けられるようにしてみてはどうだろう。忙しさにかまけてまだ使ったことがない、という方も多いのではないだろうか。
電話のたびに仕事が中断されることもなくなるし、お申込み名簿が自動で作られるので、顧客管理のデジタル化が図れるのもメリットだ。聞き間違いや聞き漏れがなくなるメリットも見逃せない。
申し込みやアンケートを無料で作る
GoogleフォームならGoogleアカウントがあれば作れるし、他にもフォームズなど、制限付きだが無料で使えるフォームがたくさんある。まずは無料で使い方をマスターし、必要な機能に応じて有料化を考えるといいだろう。
QRコードを無料で作る
フォームができたらそのURLで、QRコードを作成してみよう。URLをコピー&ペーストするだけで作れるものがほとんどだ。
QRコードがあればURLを直接を入力しなくて済むので、お申し込みをするハードルを下げてくれる。無料でQRコードを作れるサイトもたくさんあるので、自分が使いやすいサイトを見つけてほしい。
フォーム以外にもECサイト構築、ホームページ作成など、様々なデジタルツールが存在するし、無料で使えるものもたくさんある。まずはひとつ、使えるようになってみよう。
「デジタル化するとこんなに便利なんだ!」と実感できれば、デジタル化やデジタルスキルのリスキリングに取り組みやすくなるはずだ。
デジタルスキルを学んでみる
経産省のマナビDX(デラックス)で無料で学ぶ
経産省が開設したマナビDX(デラックス)は、すべての社会人にとって必須スキルであるデジタルスキルに関するポータルサイト。これまでデジタルスキルを学ぶ機会がなかった人でも学べるよう、基本から応用まで学べるデジタルスキル学習コンテンツのサイトだ。3/1には全面リニューアルを予定している。
初めてのデジタルマーケティング
マナビDXで学べる『初めてのデジタルマーケティング』は、Googleが提供する無料の初級講座だ。中で使うツールはGoogle関連に限定されるが、ビジネスにデジタルを活かすためのはじめの一歩を学ぶことができる。まずはここから、デジタルマーケティングについて学んでみるのはいかがだろうか。
女性におすすめの講座
他にも様々なデジタル関連の講座が登録されている。女性におすすめの講座として、プライベートとの両立や、一時的なキャリア中断などさまざまな事情を抱えたあらゆる人にとって受けやすい講座がまとまっているので、まずはこの中から受けてみるのもよいと思う。無償で受けられるものも多いので、必要に応じて学んでみよう。
顧客管理の基本を学ぶ
また、Iamでは、『集客できない人のための「魔法の顧客管理」』と題した連載をしている。デジタルに限定した内容ではないが、ビジネスを行う人すべてに有効な内容だ。集客に不安のある人にはぜひ参考にしてみてほしい。
新たな時代のマーケティングを味方につけるには
大切なのは、自分が「なにをやりたいのか」「なにができるのか」をまず考えること、そして自分が弱いと感じているところから行うことだ。
総務省の令和3年通信利用動向調査によれば、 個人のインターネット利用機器は昨年に引き続きスマホ経由が上回り、20~49 歳の各年齢階層で約9割がスマホから利用している。SNSを利用する個人の割合は 78.7%に達した。SNSの利用目的も、コミュニケーションに次いで情報検索が2位にランクインしており、情報検索の手段として、検索エンジンとともに主流となりつつある。
ビジネスをするなら、「最新のデジタル技術を活用して、売れる仕組みを作る」デジタルマーケティングは今後、避けては通れない。
しかし、物事には手順がある。デジタルを避けて通ってきた人はまずデジタルに慣れることが肝心だし、データはデジタル化されてはじめて活用することができる。まずはなにかひとつデジタル化するところから、始めてみてはいかがだろうか。
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この記事を書いた人
- 知りたがりのやりたがり。エンジニア→UIデザイナー→整理収納×防災備蓄とライターのダブルワーカー、ダンサー&カーラー。強み:なんでも楽しめるところ、我が道を行くところ。弱み:こう見えて人見知り、そしてちょっと理屈っぽい。座右の銘は『ひとつずつ』。