miharu(髙木美晴)、積み木との出会いが思いもしなかった仕事に繋がった
miharu(髙木美晴)、積み木アート作家として活動中の双子の女の子のお母さん。子どもをきっかけにして出会った「積み木」がまさか仕事になるなんて?!予想外の展開に迫る。
プロフィール
積み木アート作家・おもちゃコーディネーター・おもちゃコンサルタントmiharu(髙木美晴)
子どもの頃、積み木でどんな遊びをしていたか覚えているだろうか。積んで崩して遊ぶだけと思いきや、実はアートになるのだ。積み木アート作家miharuさんこと髙木美晴さんは、積み木を用いた美しい作品を制作され、Instagramで話題沸騰中。リトルプレスで制作している冊子・『積み木手帖』は発売以降版を重ね続け、カレンダーは毎年完売している。
miharuさんは現在9歳の双子の女の子のお母さん。元々は積み木好きだったわけでないそう。何故積み木を極めて積み木アート作家になったのだろうか?
目次
双子が仲良く過ごすため、行きついたのが積み木だった
積み木との出会いのきっかけは双子の子どもたちだった。
出産当初に、友人・知人から譲り受けた沢山のおもちゃで、子どもたちが遊ぶようになったのが生後6,7か月。ボタンを押すと音が鳴るおもちゃなど、子どもが喜ぶおもちゃがいっぱいあったが、そこで予想外の事態が。おもちゃの取り合いになって喧嘩になってしまうのだ
「双子で喧嘩にならず遊べるおもちゃはないだろうか?」
悩んでいた時にたまたま積み木は同じ形が2つあることに気が付いた。たった30個の積み木セットだったけれど、渡してみたら大成功。喧嘩なく楽しく遊び始めたのである。
「これはどういうことだろう?!」
そう思って、積み木について調べるようになったら、あまりの奥深さにびっくり。どんどん積み木にのめりこんでいった。
周りの後押しでリトルプレスに挑戦
元々日々の記録のために子育てのことをブログに綴っていたが、子どもの成長に従ってパソコンを開く時間も無くなりInstagramでの発信に切り替えた。積み木の写真や、子どもが遊んでいる写真をアップしたところ、子育て中のお母さんはもちろん、保育士さんからもフォローされるように。徐々に反響は大きくなっていった。
そんな中で、子育て中に画面で見るのが辛いから紙で出版してほしい、という声が届くように。
当初はネットプリントで配信していたが、ネットプリントは配信期間が決まっており、期間が終わると再配信の要望が沢山届いた。
そこで、周りに後押しされてリトルプレスで親子での遊びなどをつづった『積み木手帖』とカレンダーを作ることになったのだ。
最初の1,2年ほどは内輪で作って販売していたが、取り扱いたいというおもちゃ屋さんからの要望が届いた。それならば部数を増やさなければ、肩書も決めなければと話がどんどん動き出し、『積み木アート作家』のmiharuが誕生したのである。
「周りの人の後押しがなければやってなかった。」
とmiharuさんは語る。
今では『積み木手帖』『積み木手帖カレンダー』は全国20か所で販売されている。
子どもだけじゃなく、大人の人生も変えることができる積み木
『積み木手帖』とカレンダーをおもちゃ屋さんで取り扱ってもらえるようになってから、徐々に「積み木」が仕事として軌道に乗り始める。同じタイミングでポップアップショップを開催。展示する積み木を、家で子どもが使っているものを使うわけにはいかないのでメーカーに連絡して借りることに。そこでメーカーからの認知や、おもちゃ屋さんへの信頼を得ることができた。ファンだけではなく、積み木を売る側の人々にも認知されていったのである。
現在は、商品のイメージ写真用に積む仕事や、雑誌『momo』の『積み木遊び』コーナーでの連載、おもちゃを売る際の参考写真としてパネル展の実施、など、積み木をきっかけに様々な仕事をされている。
台湾のおもちゃメーカー「naef」ディーラーからもinstagram経由で声がかかり、台湾でもカレンダーを販売しているという。そのディーラーはmiharuさんのinstagramを見て、おもちゃを好きになってディーラーになったそう。積み木が大人の人生も変えてしまうのだ。naefのサイトにはmiharuさんのインタビューが掲載されている。
積み木で作る優しい世界
これからの展望について尋ねると「今の状況も、少し前には想像もしていなかったこと。この先のことも想像もつかない」と笑顔で語るmiharuさん。
子どもたちは今も積み木で遊んでいるとのことで、作るものがどんどん細かく複雑になっていると日々驚きの連続だという。子どもの成長の過程も見ることができることは、積み木の大きな魅力だろう
しかし魅力的なのに積み木のことはなかなか知られていない。
積み木は、主体的な遊びであり、1人で遊んでと渡されても遊び方がわからないおもちゃだ。難しいけれど、自由度は無限にある。落ちる音もいい音で、五感を育てることができるおもちゃだ。だからこそ、親子でコミュニケーションをとりながら作るもの。絵本を読み聞かせるように、積み木を一緒に作れたら、親子の優しい時間が増えるかもしれない。そんな優しい世界を届けるために、miharuさんはこれからも積み木の魅力を伝えていく。
取材・文/橘田優里
写真/本人提供