会社員から30代でイラストレーターに転向NFTにチャレンジ!クライアントワークだけに頼らない新しい働き方 イラストレーター・えんぴつ座さんインタビュー第2話
「イラストレーターになる」という夢をかなえることを決意したえんぴつ座さん。プロになるために行なったこと、プロだからこそ行なっていることについて伺いました。
プロフィール
イラストレーターえんぴつ座
幼いころから大好きで、趣味で続けていたイラストで自信を持ちたい!と、イラストレーター「えんぴつ座」として似顔絵を描き始め、フリーランスのイラストレーターに。さらにNFTという新たな領域に果敢にチャレンジするえんぴつ座さんに、NFTをやってみた率直な感想やNFTマーケットの手ごたえ、イラストレーターとしてNFTに挑戦する価値について伺いました。
全3話、第1話はこちらからどうぞ。第3話は5月20日公開。
目次
NFTアートに挑戦することで、クライアントワークに頼らない働き方を目指す
最近は、NFTアートにも力を入れているそうですね!NFTアート、実際やってみて率直な感想を聞かせてください。
すごく楽しいです!自分で仕事を生み出すことができるところにすごくやりがいを感じています。
イラストレーターという仕事は、既に誰かのプロジェクトがあって、そこに素材として貢献するという形ですが、NFTアートは自分で舵を取れるところが楽しいですね。
自分のお店を持って、そこで自分の絵を売るイメージでしょうか?
はい、まさに「お店を持つ」イメージが一番しっくりきます。NFTアートを始めたことで、「どうしたら商品を買ってもらえるのか」を日々考えるようになりました。
例えば飲食店では「どうしてこのお店は居心地がいいのかな」を考えたり、お店の動線とかサービスをチェックしたり。日々いろいろなアンテナを張るようになって、経営者目線になれるというか。イラストレーターだけをやっていたらこういった目線で世の中を見ることもなかっただろうな、と思うとすごく楽しいですね。この経験はクライアントワークにも活かせるんじゃないかなって思っています。
動線とか見せ方とか、工夫の余地はどういうところにあるんですか?
わたしはOpenSeaというNFTのマーケットプレイスにコレクションページを持っているのですが、どうやって自分のページに行ってもらうかを試行錯誤しています。知ってもらわないことには始まらないので、見てもらう人を増やすのは必須ですね。
SNSアカウントを作るだけじゃダメなんですか?
例えばわたしはNFT専用のTwitterアカウントを持っているのですが、フォロワーさんを増やすなど、とにかく認知を上げる必要がありますし、同時進行で、動線を整えるのも大切な作業だと思います。トップの固定ツイートで「今販売しているのはこういうコレクションですよ」っていうのが分かって、「OpenSeaはこちらです」っていう動線がしっかりしていれば、やっぱり買いやすいと思うんです。
Twitter以外に、HPでも工夫されていますよね!
そうですね、Twitter以外では、コレクション概要のページを作りました。といっても、えんぴつ座のホームページの中にNFTアートのページをわたしが作っただけなのですが。
なるほど、OpenSeaになじみが薄い人でもコレクションの内容が分かるようにすることで、買う動機付けができる、ということですね。
そうなんです。OpenSea※に飛ばないとコレクションが分からないのは、買う側にとって分かりにくいと思います。特にOpenSeaは海外サイトですべて英語だから、日本人にとっては結構ハードルが高いんですね。
作者がどんなコンセプトでこのコレクションを作っているのかを日本語で確認できる概要ページがあれば、分かりやすいし購入に結びつきやすくなります。
クライアントワークもそうですが、“分かりやすい”って一番必要なことだと思います。
※OpenSea:世界最大手のNFTマーケットプレイス。イーサリアム※を使った取引が可能。
※イーサリアム:ビットコインに次ぐ時価総額を持つ仮想通貨。
NFTに参入するのは、難しくなかったですか?
実は、NFTは夫が「やってみようよ!」って言ってくれたんですよ。私は広報とクリエイトとホームページを作るのを担当していて、OpenSeaへの出品をはじめ、メタマスク※や仮想通貨など、NFTに関しては全て夫が担当しているんです。
※メタマスク:イーサリアム系の仮想通貨ウォレット。
なるほど、ご夫婦でそれぞれの得意分野をうまく分担しているんですね。 今後こんなふうにNFTアートをやっていきたい、という希望があれば教えてください。
これからNFTに参入する人は、ディレクターとイラストレーターとエンジニアの3人でチームを組むのが主流になってくるんじゃないか、と言われています。わたしは今個人でやっているので今後どうしようかな、とも思うのですが、まずは今の体制で「もっと知ってもらえたら買ってくださる方が増えてくれるかもしれない」っていう期待を持ちながらやっています。
NFTは日本国内だけにとどまらず、海外にも作品を届けられるのが魅力ですよね。
そうなんです。ゆくゆくは海外にも発信したいですね。今わたしのコレクションを買ってくださっている人は全員日本人なのですが、海外に目を向ければわたしのことを知らない人がたくさんいるし、わたしの作品が刺さる人もどこかにいるかもしれない。それなら自分から行くしかない、と思っています。
すごい!どうやって海外進出したらいいんでしょうか?
NFTはTwitterスペース※がとても活発で、海外に売り込みたい人は海外の方が開催しているTwitterスペースに参加して自分の作品を英語でプレゼンして、知ってもらうんです。最近では海外スペースで自分の作品をプレゼンするための練習スペースを日本人が開催してくれているんですよ。今、自分のコレクションを英語で説明できるように練習しているところです。
※Twitterスペース:Twitterユーザーと音声を通して交流ができる機能
クライアントワークとNFTアート、両方やることで相乗効果を生んでいく
今、課題だなと思っていることはありますか?
なにより、経験値が圧倒的に少ないところです。イラストレーターとしてのスタートがすごく遅いし、スピードとかクオリティとか、総合的にまだまだ未熟だなと思うので、とにかく経験を積みたいと思っています。
今年は企業とクリエイターのマッチングイベントであるクリエイターEXPOに参加する予定です。取引先やクライアントワークをもっともっと増やしていきたいし、NFTアートも合間を縫って積極的にやっていきたいですね。
最終的にどのぐらいの比率で考えているのでしょう?
最終的には半分半分ぐらいにしたいと考えています。クライアントワークもNFTアートも、それぞれに対してすごくいい影響があるように感じるので、両方をしっかりやっていきたい。そうすることで、えんぴつ座そのものの価値が相乗効果で高まっていくんじゃないかと思うのです。
クライアントワークではできないことをNFTアートでやることで、商業イラストレーターの顔とは別のアーティストとしての顔を知ってもらえると、イラストレーターえんぴつ座に対する見方も変わってくるのかなと思うので、どちらもいい形で続けていきたいですね。
【リンク集】
全3話、第1話はこちらからどうぞ。第3話はこちらからどうぞ。
取材/I am 編集部
文/堀中 里香
写真/本人提供
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この記事を書いた人
- 知りたがりのやりたがり。エンジニア→UIデザイナー→整理収納×防災備蓄とライターのダブルワーカー、ダンサー&カーラー。強み:なんでも楽しめるところ、我が道を行くところ。弱み:こう見えて人見知り、そしてちょっと理屈っぽい。座右の銘は『ひとつずつ』。