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集中力低下の原因は「眼の日焼け」だった? 眼科医が語る、紫外線が脳に与える意外な影響

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紫外線の悪影響

夏の強い紫外線は、肌だけでなく、私たちの「集中力」にも悪影響を及ぼす可能性がある――。さいたま市・伊藤医院の眼科医、有田玲子医学博士は、眼から侵入した紫外線が脳に直接的なダメージを与える可能性を指摘する。 紫外線は眼だけ […]

眼科医・有田玲子

プロフィール

医学博士・眼科医有田玲子

夏の強い紫外線は、肌だけでなく、私たちの「集中力」にも悪影響を及ぼす可能性がある――。さいたま市・伊藤医院の眼科医、有田玲子医学博士は、眼から侵入した紫外線が脳に直接的なダメージを与える可能性を指摘する。

紫外線は眼だけでなく、脳にまで影響する

「眼は単なる視覚器官ではありません。眼球は頭蓋骨の中に位置し、脳の一部といってもよいほど密接な関係にあります。紫外線が眼から侵入すると、その影響は眼だけにとどまらず、脳にも及ぶ可能性があるのです」

では、紫外線は具体的にどのようにして集中力を低下させるのだろうか。有田医師によれば、紫外線は眼の細胞に酸化ストレスを与え、炎症を引き起こす。この炎症反応は、眼から神経を通じて脳へも伝播する可能性があるという。

「マラソンなど長時間の運動時に、UVカットサングラスを着用した人とそうでない人を比較した研究があります。サングラスを着用したグループのほうが、運動後の疲労感や筋肉のダメージが少なかったという結果が出ています。これは紫外線が体だけでなく脳にも負担をかけている可能性を示唆しています」と有田医師は説明する。

眼の日焼けが集中力の低下を引き起こすわけ

高齢化が進む日本では、認知機能や集中力の低下といった脳機能の衰えが大きな社会課題となっている。有田医師はこう語る。

「すべての病気の初期には炎症が関わっています。眼の紫外線対策を怠り、慢性的な炎症が眼や脳内で起これば、認知機能低下のリスクを高める可能性も否定できません」

ビジネスパーソンにとって集中力は、仕事のパフォーマンスを左右する重要な要素。通勤や外出時に紫外線対策を怠ると、知らぬ間に集中力が低下し、仕事の効率が落ちているかもしれない。

ビジネスパーソンこそ紫外線カットサングラスを
「特に、自転車通勤の人は要注意です。地面からの照り返しもあり、眼は想像以上に紫外線にさらされています」。
自転車に乗る際は、上下左右から眼を保護できるゴーグルタイプのサングラスが望ましいと有田医師はアドバイスする。

とはいえ、完全防備のゴーグルは日常では使いにくい。その点、最近はライトカラーレンズ(薄い色のレンズ)が主流になっており、ビジネスシーンでも違和感なく着用できるようになってきた。

たとえば、眼鏡市場の「パーフェクトUVブロック」は、UV-B・UV-Aの両方をカットし、さらに裏面の紫外線反射も防止する機能がある。こうしたサングラスも今では手頃な価格で手に入る。

白内障より怖い加齢黄斑変性の一因にも

ちなみに、UV-Aは波長が長く眼の奥の網膜にまで到達し、加齢黄斑変性(治療法が確立されていない)の一因となる。UV-Bは白内障や翼状片(よくじょうへん)の原因として知られる。

眼からの紫外線は、疲労や集中力低下だけでなく、眼の疾患にも直結する。有田医師は「紫外線は蓄積型。いかにして取り込まないかがカギです」と話し、今すぐの対策を促す。

眼が日焼けすれば、肌の対策も台無しに?

日焼け止めクリームの使用は一般的な紫外線対策だが、有田医師はこう警告する。
「肌を完全に防御しても、眼が無防備なら“眼から日焼け”し、メラニンが増えるという動物実験の結果もあります。眼を守ることこそが、全身の紫外線対策の基盤なのです」

今すぐできる対策として、UVカット機能付きのサングラスやメガネを毎日の習慣にすることが推奨される。それは眼の健康を守るだけでなく、仕事のパフォーマンスの維持や将来の認知機能低下を防ぐ投資にもなるのだ。

文/長谷川恵子

この記事を書いた人

I am 編集部
I am 編集部
「好きや得意」を仕事に――新しい働き方、自分らしい働き方を目指すバブル(の香りを少し知ってる)、ミレニアム、Z世代の女性3人の編集部です。これからは仕事の対価として給与をもらうだけでなく「自分の価値をお金に変える」という、「こんなことがあったらいいな!」を実現するためのナレッジを発信していきます。

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