Do Skill
文章術

丁寧な「依頼のことば」や「謙遜のことば」で相手に信用できる印象を与える

ログインすると、この記事をストックできます。

社会人に絶対必要な語彙力が身につく本

高村史司氏の著書『社会人に絶対必要な語彙力が身につく本』(大和書房刊)から社会人に必要な、「依頼・承諾のことば」「程度・感激・驚きのことば」「謙遜・卑下のことば」などについて学びます。

高村史司

プロフィール

フリーランスライター高村史司

フリーランスライター。日本語教師の経験から得たトピックも豊富。古語・現代語など日本語に関するワークショップ・研究会などを不定期で開催。

ビジネスで上司や取引先といった相手にメールで依頼をする機会は多いもの。メールで丁寧な「依頼のことば」や「謙遜のことば」を適切に使うことで、相手に信用できる印象を与えます。

高村史司氏の『社会人に必要な語彙力が身につく本』(大和書房刊)は、人間関係をスムーズにする「依頼・承諾のことば」「程度・感激・驚きのことば」「謙遜・卑下のことば」などについて意味や例文だけではなく、注意する使い方についても解説しています。

依頼・承諾のことば

忌憚なく

 「忌憚(きたん)なく」とは、気兼ねしないでという意味です。会議でよく耳にする言葉であり、進行役がその場の緊張をほぐすために使います。自分の意見を率直に述べたいときに前置きとして使うことも可能です。ただし、「失礼ながら」「大変恐縮ですが」といったことばを添えたほうがいいでしょう。

例)失礼ながら、この件についての私の意見を忌憚なく申し上げます。

異存がない

 「異存がない」とはその考えや意見に不服がないということ。会議でよく使われる表現です。たとえば、ビジネスの場では直接反対ですとは言いづらいことがあります。そこで、「異存があります」と伝えた後に持論を展開すると、ソフトな印象を与えるでしょう。

例)昨今の社会情勢のもと、事業の拡大に対しては異存がある。

深謀遠慮

 「深謀遠慮(しんぼうえんりょ)」とは深く考えをめぐらすこと。文字だけを見ると、悪いたくらみの印象をもつかもしれません。実際は、良い意味で使われることがほとんどで「深謀遠慮をめぐらす」「深謀遠慮を練る」のように使います。

例)経営陣による深謀遠慮の結果、その事業から撤退することに決めた。

程度・感激・驚きのことば

矜持を保つ

 「矜持(きょうじ)を保つ」とは自分自身の能力に対する誇りを維持すること。自分の能力をひけらかすことなく、自分の仕事や業績に誇りをもっている様子を意味します。誇りを傷つけられた場合、「矜持を傷つけられた」のように使います。表面的なプライドではなく、技術やスキルに関する誇りです。

例)ここで諦めては、長年この仕事に取り組んできた私の矜持が許さない。

筆舌に尽くしがたい

 「筆舌(ひつぜつ)に尽くしがたい」とは言葉では表現できないことを意味し、ほとんどの場合、良くない状況で使われます。まれに「美しすぎて表現できない」といった意味で使われることも。このような場合、誤解を避けるため「筆舌に尽くしがたい美しさ」のように「美しさ」で補います。

例)祖父は戦場で筆舌に尽くしがたい体験をしたそうだ。

粉骨砕身

 「粉骨砕身(ふんこつさいしん)」とは力の限りを尽くすこと。転勤、異動、転職など、周囲の環境が変わったときに「気分を新たに頑張ります」といった気持ちで決意表明する場合に使います。似た言葉で「刻苦精励(こっくせいれい)」がありますが、文語に限定して使ったほうが良いでしょう。

例)どんな難題が振りかかろうと、粉骨砕身の覚悟で取り組みます。

謙遜・卑下のことば

僭越ながら

 「僭越(せんえつ)ながら」は身の程をわきまえず失礼ですが、という意味です。スピーチで決まり文句のように使う場合があります。それ以外では、上の地位や立場の人といるときに使います。何度も使い、堅苦しい印象を与える場合、「恐縮」を使います。

例)僭越ではございますが、本日は部長に代わって私がご案内いたします。

無粋な

 「無粋(ぶすい)な」とは、細やかな気持ちが理解できないこと。気が利かない人を揶揄するときに使い、自分に対しても他人に対しても使います。失礼な質問をする場合、前置きして使うと、相手の機嫌を損ねずに済むでしょう。似た言葉に「野暮(やぼ)」があります。

例)いきなり体重を聞くとは、なんて無粋な人なんだろう。

虚心坦懐

 「虚心坦懐(きょしんたんかい)」とは、余計なことを考えずに平静に物事に臨むこと。大臣や企業トップの就任演説でよく使われる言葉です。相手に対する助言として、「虚心坦懐で仕事に励めば、みんなに理解されるよ」のように使うこともできます。

例)今年の新人は、虚心坦懐で仕事に取り組んでいるようで心強い。

 この記事では、高村史司著『社会人に必要な語彙力が身につく本』から、「依頼・承諾のことば」「程度・感激・驚きのことば」「謙遜・卑下のことば」を要約・抜粋してご紹介しました。

この記事を書いた人

今崎ひとみ
今崎ひとみIT人文好きライター
うさぎと北欧を愛するライター。元Webデザイナー。インタビュー取材やコラムを執筆。強み:好奇心旺盛なところ。失敗してもへこたれないところ。弱み:事務作業が苦手。確定申告の時期はブルーに。

ログインすると、この記事をストックできます。

この記事をシェアする
  • LINEアイコン
  • Twitterアイコン
  • Facebookアイコン