コミュニケーション

「自分はダメだ」「人の目が気になる」。心の中の言葉は現実化する? アドラーのセルフトークとは

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口下手な人はどうやったら人とうまく会話ができるようになるのでしょうか? 岩井俊憲氏の著書『人間関係が楽になるアドラーの教え』(大和書房刊)からプラスのセルフトークについて学びます。

岩井俊憲

プロフィール

アドラー心理学カウンセリング指導者岩井俊憲

有限会社ヒューマン・ギルド 代表取締役、アドラー心理学カウンセリング指導者、中小企業診断士、上級教育カウンセラー。ヒューマン・ギルドでアドラー心理学を主に使ったカウンセリング、心理学の各種講座を行うほか、企業・自治体から招かれ、アドラー心理学をベースとした勇気づけやリーダーシップ、コミュニケーションの研修などを実施。

「自分は口下手だから……」「自分は臆病だから人とうまく会話するなんて無理!」と悩む人は多いもの。口下手な人はセルフトーク(自分が自分自身に言っている)がネガティブな方向にいきがちです。しかし、セルフトークをポジティブな方へと転換することで、口下手な人でも相手とうまくコミュニケーションを取ることができます。

岩井俊憲氏の『人間関係が楽になるアドラーの教え』(大和書房刊)は、アドラー心理学をベースにした人間関係が楽になる方法を、著者自身の豊富なカウンセラー経験より解説しています。セルフトークをポジティブな方へと転換するには、どのようにすればいいのでしょうか?

セルフトークをうまく使って口下手な自己イメージを変える

セルフトークは親や教師に言われた言葉で固定化する

 口下手とは思っていることを言い表すのが下手なことです。自分が口下手であるという認識は、子どもの頃に親や教師など大人から言われた言葉でセルフトークとして固定化されてしまいます。実際に岩井氏も親や教師から「不器用」「臆病」という言葉を言われ続けてきて育ち、現在でも自分を不器用な人間と思っているそうです。

 周りから、ネガティブな言葉を言われ続けると、それは自分の中でも真実となってしまい、大人になっても自分は不器用な人間であると思ってしまいます。心の中で「自分はダメな人間だ」と繰り返し、セルフトークが自分のイメージとなってしまうのです。これをアドラー心理学ではセルフコンセプトと呼びます。

 たとえば、しょっちゅう忘れ物をしてしまう人のセルフコンセプトを聞いてみると、「自分は物忘れをしやすい」ことがわかります。

 あなたも無意識にネガティブなセルフコンセプトを口に出して言っていないでしょうか? 「自分は話がうまくない」というセルフコンセプトを持っていると本当になってしまうのです。

プラスのセルフトークをうまく使いマイナスのセルフトークを減らす

 それでは、セルフトークをどのようにコントロールすればいいのでしょうか? セルフトークには、マイナスのセルフトークだけではなく、プラスのセルフトークがあります。たとえば、先生に真面目な部分を褒められると、自分でもそれを意識するようになり、「私は真面目だ」とセルフコンセプトを作り、実際に行動も真面目になっていくのです。

 以下はプラスのセルフトークとマイナスのセルフトークの例です。

【プラスのセルフトーク】

・もう自分を許してもいい
・自分は運に恵まれている
・私には素晴らしい仲間がいる

【マイナスのセルフトーク】

・やはり歳には勝てない
・どうせ嫌われ者だ
・人の目が気になってしまう

 岩井氏は、すべてのセルフトークをプラスにする必要はないとしています。「マイナスのセルフトークに心を占領されなければよいのです」と言っています。マイナスのセルフトークをしたとしても、その後プラストークをするようにしましょう。

 たとえば、相手とうまくコミュニケーションが取れなかった場合、「また、口下手なことを言ってしまった……」とマイナスのセルフトークをしてしまったとします。その後は「こんなこと、何度も体験済みじゃないか」と心の中でつぶやくようにすると、逆境を乗り越えることができます。

口下手のことで嫌なことを言われてもセルフトークで切り替える

 なかには、あなたが口下手なことを非難し、嫌なことを言う人もいるかもしれません。そんな相手にはどう接すればいいのでしょうか?

 もし、相手から嫌なことを言われたとしても以下のプラスのセルフトークをつぶやいてみましょう。きっと心が楽になるはずです。

・いざとなったら自分には相談できる人がいる
・人と比べたらキリがないじゃないか
・必ずしもみんなが私を嫌っているわけではない
・苦手な人もいるけど、私には味方もいる

人間関係を変えるのは感謝の言葉

 プラスのセルフトークで心が楽になったところで、相手に感謝の言葉をかけていきましょう。人に感謝されて嫌な気持ちになる人はいません。岩井氏は、「感謝の言葉を返せば、それ以上事態を悪化させることはありません」と言っています。

 たとえば口下手なことで非難されたときも、以下のように相手に伝えると、相手からプラスの反応を引き出せる可能性が高まります。

「私の見逃している点をご指摘いただいてありがとうございます」
「自分では気づきませんでした。ありがとうございます」
「細かいところまでフォローしてくださってありがとうございます」

こうした感謝の言葉を普段からトレーニングしておくと、たとえ口下手であっても、相手と良い人間関係を築けるはずです。

 この記事では、岩井俊憲氏著『人間関係が楽になるアドラーの教え』から、口下手な人が相手とうまくコミュニケーションを取る方法を要約・抜粋してご紹介しました。

 マイナスのセルフトークを減らしプラスのセルフトークを増やし、相手に感謝の言葉を伝えることで、あなたの人間関係は変わっていくでしょう。

この記事を書いた人

今崎ひとみ
今崎ひとみIT人文好きライター
うさぎと北欧を愛するライター。元Webデザイナー。インタビュー取材やコラムを執筆。強み:好奇心旺盛なところ。失敗してもへこたれないところ。弱み:事務作業が苦手。確定申告の時期はブルーに。

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