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タニタ研究員の「ダイエットで人生変える」授業「連休明けは太る」は万国共通? タニタ研究員が教える、休暇と体重の関係

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「GWや年末年始などの連休明けはからだが重い……」と感じている人も多いのではないのでしょうか。それもそのはず。休日明けに体重が増えることは研究でも明らかになっています。そこで今回は、1週間・1年間を通してどのように体重が変化するのか、連休明けはなぜ体重が増えるのか、統計データをもとに解説します。

皆さま、ゴールデンウィークは楽しく過ごされたでしょうか? 私は実家に帰省したものの、PCを持ち込んで仕事、という外から見ると地味〜な連休でした。しかし、実家の両親や姉に頼り切って子どものお世話は任せ、おいしい食事と気分転換&休息を適度にいただきながら気持ちよく仕事ができるという「集中していること以外はとことん手を抜くグーダラ人間」のワタシにとって、ある意味たいへん贅沢な連休でございました。

こんな私を許してくれる家族や周囲の皆様&環境に改めて感謝!ですが……はたと気づけば、あれ、この服のウエスト、こんなにキツかったっけ? げげ。フェイスラインもちょっと緩んでません? 明日からまたいろんな人に会うのにこれちょっとヤバい状況なんじゃ……と焦りつつ、いやいやでも、連休って遊んでも休んでも、体型は緩みますよね? これはきっと皆さん同じはず……!と自分に言い訳するため、今回は「休暇」と体型変化の関係について調べてみました!

日本人はゴールデンウィーク明けが体重のピーク

調べてみたところ、やはりありました!体重変化の季節変動を調べた論文1)が!【図1】をご覧ください。日本人は休暇明けの体重増加傾向が顕著で、特にゴールデンウィーク後には大きく増加する傾向がバッチリ示されています。

アメリカ人やドイツ人もクリスマス休暇やサンクスギビング、イースターなどで体重増加の傾向が顕著です。「休暇中=太る」は万国共通なんですね。ちょっと親近感が沸きます。

【図1】体重変化の年間傾向

出典:Helander EE, et al. N Engl J Med 2016.より(一部コメント追記)

この文献以外にも「休暇中に体重が増加する」ことは複数の研究で紹介されており2)3)、こうした体重変化はおもに体脂肪の増加によるものであるとされています。

週末の休日に体重が増加し、毎週月曜日がピーク

さらに、長期の休暇だけではなく、1週間でも週末の休日に体重が増加し、毎週月曜日がピークになる傾向があることも調査されていました(これ、私めちゃくちゃ実感あります!!)。

【図2】をご覧ください。これらのグラフを見ると年代が上がるほど「平日に体重が減っていく」傾向が鈍くなっていることも伺えます。「年齢を重ねるほど、週末に増えた体重を戻せなくなっている」という悲しい傾向もありそうです。……50代後半の私は要注意ですね(涙)。

【図2】 1週間の体重変化傾向

出典:PLOS ONE  Published: April 30, 2020  https://doi.org/10.1371/journal.pone.0232152
(一部追記)

土曜日の摂取カロリーが高く、日曜日の消費カロリーは低い

 「週末・休暇に体重が増える」ことの理由が数値的に腑に落ちる、納得の文献も見つけました。【図3】をご覧ください。

土曜日の食事摂取カロリーがドカーンと高いのに対し、日曜日の活動消費カロリーはズドーンと低い。ああもう一目瞭然ですね。土曜日においしいものをたくさん食べ、翌日の日曜日はあまり動かずゆっくりダラダラしちゃうという幸せな週末。

このエネルギー収支のプラス方向まっしぐらな状況が、体重増加・体脂肪蓄積につながるのですね。それにしても、こんなにわかりやすく明確な差があるものなんですねぇ。

【図3】 a:食事摂取カロリーの1週間傾向 b:活動消費カロリーの1週間傾向

出典:Obesity (Silver Spring). 2008 Aug; 16(8): 1826–1830.

「連休明けはデータ的に見ても体重増加&ポッチャリ化が起きる。私だけじゃない、むしろこれが多数派なのね」と安心してもいいのですが、ちょっと待ってください! いくらポッチャリ化が多数派でも、夏も近いですし、できれば体重が増える前の身体に戻したいですよね。

そんなあなたのために、次回は「面倒くさくない」「手っ取り早く体型を戻す法」についてご紹介します。地道な努力の前に、まずは水分の代謝を促してむくみをスッキリさせる方法です。お楽しみに!

執筆/西澤美幸

<参考文献>

  1. Weight Gain over the Holidays in Three Countries: September 22, 2016 N Engl J Med 2016;375:1200-1202
  2. Weekly, seasonal and holiday body weight fluctuation patterns among individuals engaged in a European multi-center behavioral weight loss maintenance intervention:  PLOS ONE,   Published: April 30, 2020 
  3. Effect of the Holiday Season on Weight Gain: A Narrative Review: Volume 2017 | Article ID 2085136 | https://doi.org/10.1155/2017/2085136
  4. Obesity (Silver Spring). 2008 Aug; 16(8): 1826–1830.

この記事を書いた人

西澤美幸
西澤美幸株式会社タニタ 開発部主席研究員 栄養士
1968年生まれ。横浜国立大学在学中よりタニタの体脂肪計のプロジェクトチームに参加。入社後は、世界初の乗るだけではかれる体脂肪計や体組成計、活動量計などの開発に携わり、機器の要となる計測の回帰式や判定アルゴリズム作成を担う。
29歳で社内初の技術系女性課長に就任し38歳で出産。栄養士の資格も有し文部科学省の食育有識者会議委員を務めるなど、さまざまな計測データを健康づくりに活かす提案を行い、栄養士と技術者の2つの視点から多数のセミナーの講師も担当している。

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