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タニタ研究員の「ダイエットで人生変える」授業体型を個人差のせいにしていませんか? タニタ研究員が教える、体型を維持する1日1分の最新エビデンス

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年齢を重ねるほど、個人差は広がる体型。いつまでも若々しいからだを保つにはどんなことを意識したらよいのでしょうか。アスリートと一般の人の体型の違いや効果的な運動の方法を、統計データをもとに解説します。

年齢を重ねるほど「体型の個人差」は広がる

体型の加齢変化の特徴として、統計的に「男女の差」はなくなっていくけれど、逆に「個人差」はどんどん広がる傾向にあります。

私自身も同世代である50代以上の人を見渡すと、若いころよりも「見た目年齢の差」が大きく広がってきた、という実感があります。個人差が広がる中、「若く見える方」「カッコいい方」に少しでも寄せるためにはどうしたらいいか、統計データを紹介しながら考えたいと思います。

アスリートの体型が「若々しいからだ」のヒント

【図1】は、日々トレーニングを重ねているアスリートと一般の人の体脂肪率を比較したグラフです。男女とも、同じBMIでもアスリートの方が10%以上も低い体脂肪率であることがわかります。

【図1】アスリートと一般的な人々の体組成の違い

図:タニタ調べ

例えば、同じBMI22の一般男性は体脂肪率が20%程度になるのに対し、アスリートは10%を切っています。脂肪の大きさを1とすると、筋肉や骨は0.8の大きさしかないので、筋肉が多く体脂肪率が低くなるとギュッと体積が小さく引き締まった見た目です。

また、【表1】にあるように、ウエストや腕・脚の周囲径の数値にも違いが生じます。女性アスリートは全身キリリと細く締まっており、男性アスリートは腹部がギュッと細く、腕と脚はガッチリ太い体型です。

【表1】アスリートと一般の人の体型(ウエストなどの周囲径)の違い (同じ身長・体重バランスの集団で比較)

出典:タニタ調べ

運動は「たっぷり週1回」よりも「軽く週5回」がおすすめ

同じ身長・体重でもアスリートの身体がカッコよく引き締まっていることはよく分かったけれど、とてもじゃないけどアスリート並みに追い込んだトレーニングなんて無理!と思いますよね。

でも、大丈夫です! 最近の研究を調べてみたところ、実は、ほんの少しの運動や活動でも「頻度を高く」行えば、そこまで時間や労力を費やさなくても十分効果があることがわかってきています。

オーストラリアのシドニー大学の研究成果1)では、1日わずか4~5分の運動でがんの発症リスクが32%抑えられ、たった1分の運動でも日々の積み重ねによる健康効果は無視できない、ということが22,398人もの統計データによって確認されています。

体型や体組成の変化についても、エディスコーワン大学、西九州大学、新潟大学が共同で行った研究では2)、短時間の軽いトレーニングを週5回行った方が、5回分をまとめて週1回たっぷり長時間行うよりも「筋肉の厚み」と「パワー」の変化率として効果が高かった、という成果も出ています(【図2】)。

【図2】運動の頻度と量の違いによる効果の違い

出典:Greater effects by performing a small number of eccentric contractions daily than a larger number of them once a week.: Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports 2022.7.31 より作図

 忙しくて時間に余裕がなくても「ちょっとだけでも身体を動かす」ことを日常的に心がけていれば、むしろまとまった時間を費やすよりも効果的である、と証明されているのはうれしいですね。

からだつきの個人差は「ちょっとした意識の差」

私自身、「アスリートのカッコいいからだ」の部類からはほど遠い……どちらかというと緩みがちなわがままボディ(笑)なのですが、できることなら少しでも若々しく見える方に寄せたい(しかも面倒くさくなく)という願望は、50代後半に突入してさらに強くなってきております。

年齢を重ねるほど、それまでの人生の積み重ねが見た目に現れる「からだつきの個人差」。それはまさに「ちょっとした意識の差」の集積なのだと思います。そしてそれはいつでも変えることができるはず。いつからスタートしても遅すぎるということはないのです。

実は、タニタには毎朝、就業前にラジオ体操の時間があります。これは若々しいからだを目指すうえで好都合!私はいつも中途半端にやっていたのですが(もももも申し訳ありません……)、これからは気合入れてやるぞー!と、今回の調査で決意を新たにしました。(あ、でも、ただでさえ若手が多い開発部、気合いが入りすぎて怖がられないように気をつけます……!)

みなさんも日頃から意識してほんの数分、気合いを入れてからだを動かし、若々しいからだを手に入れようではありませんか!

執筆/西澤美幸

<参考文献>

  1. Vigorous Intermittent Lifestyle Physical Activity and Cancer Incidence Among Non-exercising Adults. The UK Biobank Accelerometry Study: JAMA Oncology 2023.7.27
  2. Greater effects by performing a small number of eccentric contractions daily than a larger number of them once a week.: Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports 2022.7.31.

この記事を書いた人

西澤美幸
西澤美幸株式会社タニタ 開発部主席研究員 栄養士
1968年生まれ。横浜国立大学在学中よりタニタの体脂肪計のプロジェクトチームに参加。入社後は、世界初の乗るだけではかれる体脂肪計や体組成計、活動量計などの開発に携わり、機器の要となる計測の回帰式や判定アルゴリズム作成を担う。
29歳で社内初の技術系女性課長に就任し38歳で出産。栄養士の資格も有し文部科学省の食育有識者会議委員を務めるなど、さまざまな計測データを健康づくりに活かす提案を行い、栄養士と技術者の2つの視点から多数のセミナーの講師も担当している。

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