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タニタ研究員の「ダイエットで人生変える」授業やっぱり若々しいからだがほしい⁉︎  タニタ研究員が教える、年齢と体脂肪率のリアル

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いつまでも若々しくかっこいい姿でいたいと思ったとき、髪型やファッションでつくろってもごまかせないのが体型です。加齢とともに体型がどのように変化して行くのか、若々しい身体とはどのような体型なのか。男女、年代ごとに比較した統計データや図を使って解説します。

季節はもうすっかり春!さまざまなことがスタートする季節ですね。

新たな出会いも多いこの時期、少しでも第一印象を良く見せたくて、私も毎日鏡の前で奮闘するのですが、ヘアスタイルや服装、メガネなどの小道具(笑)で頑張ってみてもやはり本当の姿は誤魔化しきれません。

いつまでも若々しくカッコいい人ってからだつきや表情の輝きが違うと思いませんか? 今回は加齢変化の統計データなどを使って「若々しいからだつき」について考察してみたいと思います。

体型変化① 加齢とともに脂肪が「腹巻き」を作りだす

【図1】は「全身の体脂肪を100とした時、何%が体幹部についているか」を年代別に表したグラフです。男女とも加齢とともに体幹部への脂肪の分布がどんどん増えています。

【図2】は内臓脂肪面積の年代別グラフです。男性の方が面積自体が大きいですが、こちらも男女とも加齢による増加傾向が顕著です。

年齢を重ねることで皮下脂肪・内臓脂肪ともにどんどんお腹にたまって、いわゆる「脂肪の腹巻き(!)」が生まれてしまう、ということがよくわかる恐ろしいグラフです。

【図1】加齢による体脂肪の分布変化

出典:2000年産業衛生学会発表資料より

【図2】加齢による内臓脂肪面積の変化

出典:2001年体力医学会関東地方会発表資料より

体型変化② 年齢を重ねると体型の男女差が消滅!?

腕や脚の変化も見てみましょう。【図3】は女性の身体の部位ごとの脂肪率の変化をまとめたものです。

20~30代の若年女性は腕と体幹の脂肪が少なく、お尻・太ももの下半身の脂肪だけが多い「華奢な上半身&肉付きの良い下半身」といった特徴的なプロポーションですが、年を重ねると細かった上半身にも脂肪がつき、50代を超えるころには腕もお腹も脚も、全部位同じように脂肪がついて全体的にまるーい体型になる、という傾向が見えます(私、悲しいくらいにめちゃくちゃ実感あります)。

【図3】女性の身体部位別体脂肪率の変化

出典:2000年体力医学会発表資料より

対して、男性の腕や脚の変化データを見ると、実は男性は脂肪よりも筋肉の加齢変化が顕著です(図4)。とくに脚の筋肉低下の傾きが大きいですよね。

【図4】身体部位ごとの筋肉量の加齢変化

出典:Experimental Biology 2004 (Washington, DC)発表資料より

こうしたデータから想定されるからだつきの変化を図でイメージしてみましょう(図5)。

若い世代は筋肉のつき方や脂肪の分布に性別の差がありますが、年齢を重ねると差が無くなって男女ともまるーくなる感じですね。人間って、トシとともにいろいろな意味で丸くなるものなんですね……。ううむ。

【図5】男女のからだつきの加齢変化イメージ

データから読み解く「若々しいからだつき」とは?

ここまで年代ごとの身体のデータをもとに、加齢によるからだつきの変化をまとめてきました。

若い世代のからだつきの特徴を再確認すると

〇男性:「ガッチリした腕と脚」に「ひきしまった体幹部」
〇女性:「ほっそりした腕と胴体」に「健康的に脂肪のついたヒップと太もも」

ということになるでしょうか。こうしたからだつきを健康的に維持できていれば若々しく見える、というヒントにはなりそうです。

年齢を重ねるほど体型の個人差は広がる!

時の流れに抗わずボーっと流れるままに年を重ねていくと、ここまで紹介してきたデータのように男女ともまるーくぽっこりお腹のスタイルになってしまう、ということもよくわかりました。しかーし、皆さん、ここであきらめてはいけません!

厚生労働省の国民健康栄養調査のデータや、タニタが所持している体組成のデータを見ても、実は「中高年から高齢になるほど“体型の個人差”は広がる傾向」にあることがわかっています。

つまり、個人の生き方や生活習慣の違いが年を重ねて積み重なり、年齢が上がるほど個々の身体特性の差を広げているのです。

意識と努力によって加齢の流れに抗い、統計通りの経過を辿らず若々しい体型を保っている層も確実に存在していて、しかもその差が年々大きくなっていることがデータに現れています。

トシとともに「男女差は無くなるけれど個人差が広がる」……これって面白いと思いませんか?

加齢とともに進む「男女ともまるいからだ」への移行も決して悪くはない(癒される感じで私はけっこう好き)ですが……そうではない年の重ね方をしている人たちも増えていることをデータが証明しています。

今回、データをまとめつつ、ちょっと悪あがきして少しでも時の流れに抗ってみようかな……と改めて考えた55歳の私です。もうだいぶ流されてしまってはいますが(笑)、身体づくりに手遅れということはありません。皆さんはいかが思われましたか?

次回は、時の流れに抗って若々しい身体を手に入れるにはどうしたら良いか?をアスリートたちのからだの違いをデータで確認しながら考えたいと思います。お楽しみに!

執筆/西澤美幸

この記事を書いた人

西澤美幸
西澤美幸株式会社タニタ 開発部主席研究員 栄養士
1968年生まれ。横浜国立大学在学中よりタニタの体脂肪計のプロジェクトチームに参加。入社後は、世界初の乗るだけではかれる体脂肪計や体組成計、活動量計などの開発に携わり、機器の要となる計測の回帰式や判定アルゴリズム作成を担う。
29歳で社内初の技術系女性課長に就任し38歳で出産。栄養士の資格も有し文部科学省の食育有識者会議委員を務めるなど、さまざまな計測データを健康づくりに活かす提案を行い、栄養士と技術者の2つの視点から多数のセミナーの講師も担当している。

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