構想段階からオファー。高良健吾と齊藤勇起監督の奇妙な関係「罪と悪」
主演した映画「罪と悪」で演じた「春」の冷静さに、強さと弱さを見た高良健吾さん。「純粋な悪はないけれど、罪はこの世にあふれている」。それは日本の縮図のようでもあると分析します。
映画では幼なじみを守ろうと、自らを犠牲にする役を演じた高良健吾さん。映画同様に10代の頃から切磋琢磨し続けた仲間と再会した撮影について聞きました。
――主演した映画「罪と悪」は、中学生の時に起きた事件によって引き裂かれた幼なじみ3人が再会したことで、真相が明らかになっていくサスペンス作品です。
高良:はい。事件後の空白の時間を経てどんな距離感でいることがいいのか、ものすごく悩みました。再会からラストまで葛藤や怒りなど、どう表現するのか、苦しみ続けました。共演した大東(駿介)さん、石田(卓也)さんとは、10代のときから、同じ道で競ってきた仲間。答えが見つからないときは、2人の顔を見て何かをもらい、それに引っ張られて、答えが導き出されたということもありました。
――この作品がデビュー作になる齊藤勇起監督からは、構想の段階で出演依頼をいただいたそうですね。
高良:実は齊藤監督が助監督時代から知っていて、むかしは自宅がご近所だったので、カフェや公園でこの映画のことを聞いていました。やりたいことがあっても形になるのは稀なことだと思うので、形になったことに感動しました。
――演じた「春」は常に冷静な人物です。役作りではどのようなことに配慮されましたか。
高良:声のトーンを一定にすることですね。春は虐待を受けるなど、子供であることを否定されて生きてきた人間。春が暮らす街の大人たちは、罪と悪をなかったことにして、自分の感情も他者の存在もゆがめた状態で生きている。春自身、受けた傷を弱者にぶつけて生きることもできたけれど、その選択をしなかった。でも〝なかったこと〟にしたわけではなく、その傷を〝消して〟生きている。懐が深い男ですが、孤高の存在にならないよう気をつけました。
――「春」の魅力について、教えてください。
高良:決めたことに対しての覚悟の持ち方でしょうか。仲間と再会して、過去の事件の真相が明らかになったとき、いくつか選択肢があったと思います。春がした選択は、春のいびつな愛情表現だと感じました。
――「春」を演じる上で、浮かんだご自身の経験などはありましたか。
高良:子供時代の春が抱えていた居場所のなさは、僕も経験があります。僕の親は転勤族だったので、幼稚園、小学校、中学校とクラスで仲良くなった子がいても、すぐに離ればなれになり、関係性がなくなってしまって。転校が決まると、「また1から、築かなくてはいけないのか」とやるせない気持ちでした。
――最後に映画を楽しみにしている人に、一言いただけますか。
高良:純粋な悪はないけれど、罪はこの世にあふれている。作品の中に登場する街の人たちは罪人だらけですが、日本の縮図のようにも見える。僕たち自身が生きている今、この場所で感じたこと、見たものを〝なかったこと〟とうやむやにするのか、向き合うのか。それぞれ考えるきっかけになればうれしいです。
■作品情報
『罪と悪』
2月2日全国ロードショー
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- 「好きや得意」を仕事に――新しい働き方、自分らしい働き方を目指すバブル(の香りを少し知ってる)、ミレニアム、Z世代の女性3人の編集部です。これからは仕事の対価として給与をもらうだけでなく「自分の価値をお金に変える」という、「こんなことがあったらいいな!」を実現するためのナレッジを発信していきます。
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