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リスキリング

リスキリングは自己投資。「学びの成功体験」が乏しい人ほどコーチが必要

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最も仕事が忙しい40代、50代のビジネスパーソンがリスキリングに取り組むために必要なのは、学びの伴奏者と、リスキリングの専門家はいいます。

大人には勉強サポートがあったほうが伸びる

社会人になってから学習、勉強、学びから遠のいている人が大多数と言われますが、事実社会人の勉強時間は1週間で7分という調査結果も(「令和3年社会生活基本調査結果」(総務省統計局)より)。リスキリングのためのマインドセットの方法を一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ代表・後藤宗明さんに聞きました。

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一生懸命に勉強して志望校に入れた人と入れなかった人とは、意識のギャップがあるようです。社会人になってからは、会社の中で学ぶ機会は激減することと相まって、学ぶことに対する負の記憶が受験時代で止まっている可能性が大きい。そういう経緯で、学ぶことが苦手な方は、大多数を占めているのではと思っています。

もう1つは、学んだことによっていいことがあるという、昇進や昇給を含めての報酬が、組織の中に乏しいのも大きいです。学んでも学ばなくても同じなんだったら、大方の人は学びませんよね。お酒でも飲んで、映画でも観ている方が楽しいわけです。

そこで、学ぶことが苦手な人に対するコーチの役割を持った人の存在が重要となります。プロスポーツ選手だと、必ずコーチをつけていますよね。対して、リスキリングをする会社員にパーソナルコーチをつけている人は、ものすごく少ない。助成金以外で、個人が学ぶことへの支援は、今はほったらかしの状態なのです。

認知度はまだまだですが、学ぶときにコーチをつけるサービスは、たくさん出てきています。例えば、パーソルイノベーションが提供する「学びのコーチ」が挙げられます。ただこれは、法人が依頼するBtoBが前提ですが。今後こうしたサービスが広がっていくと、独学で中途半端に終わってしまうのではなくて、コーチと伴走するということがふつうにできて、いろいろな可能性が広がるのではないかなと思います。

ところで、せっかく自分の時間とお金を使ってリスキリングをやるのであれば、会社の業務に関係なく、ご自身が本当にやりたいことを突き詰め、それに自己投資をすべきです。

その結果身につけたスキルが、会社で生かせないものであれば―僕はFA宣言と呼んでいますが―会社に残るのか、外に出るのかを比較検討して、場合によっては社外に出る選択肢もあっていい。そう考えています。

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リスキリングを自己投資と捉えると、限られたリソースの中でいかに効率よくリスキリンを達成し、昇進、昇給のみならず、これからの時代に必要とされる人材になれるかという戦略が必要かもしれません。次回は、「本当にそれを自分がやりたいのか?」について考えたいと思います。


後藤宗明

一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブの代表。早稲田大学政治経済学部卒業後、1995年に富士銀行(現みずほ銀行)入行。2002年、グローバル人材育成を行うスタートアップをNYにて起業、卒業生約2,000名を輩出。2008年に帰国し、米国の社会起業家支援NPOアショカの日本法人を2011年に設立後、米国フィンテック企業の日本法人代表、通信ベンチャーの国際部門取締役を経て、アクセンチュアにて人事領域のDXと採用戦略を担当。2021年、一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブを設立。著書に『自分のスキルをアップデートし続ける リスキリング』などがある。

この記事を書いた人

鈴木 拓也
鈴木 拓也
都内出版社などでの勤務を経て、北海道の老舗翻訳会社で15年間役員を務める。次期社長になるのが嫌だったのと、寒い土地が苦手で、スピンオフしてフリーランスライターに転向。最近は写真撮影に目覚め、そちらの道も模索する日々を送る。

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