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50代からのセカンドキャリア。定年退職後からでは遅い? 定年前から選択肢を広げる方法とは

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セカンドキャリアについて考える50代女性

70歳定年と言われる中、50代からセカンドキャリアを考える人は急増しています。人生100年時代において50代はまだ「人生の折り返し地点」。50代からの働き方について考えてみます。

50代からのセカンドキャリアとは・目的

人生100年時代と言われている中、人生折返し地点に至った50代を中心に、セカンドキャリアについて注目を集めています。 

50代になり新しい挑戦や新しい働き方を模索する人に向け、セカンドキャリアを考える際に必要な情報や、セカンドキャリアに関する目標の設計方法をお伝えします。

セカンドキャリアとは

これまで「セカンドキャリア」は定年退職後の職業、あるいは出産育児が一段落した人が新たにキャリアを築くことなどを指していました。 

しかし、働き方の多様化や、健康寿命の伸張など様々な情勢の変化から、新たな働き方の模索やキャリアアップすることも「セカンドキャリア」と呼ばれるようになってきています。 幅広い意味を持つようになった「セカンドキャリア」。しかし、自己分析や人生設計をしっかりと考えなければ思わぬミスマッチにつながる可能性があります。

また、家族からは定年後は家族のサポートに入ってほしいと思われている場合、拘束時間や労働時間の長い業務に就いてしまうと、家族からの理解を得られない可能性があります。こういった状況を防ぐためにもしっかりと家族の状況を鑑み、設計し、家族ともセカンドキャリアについて話し合いをしておく必要があります。

今回は「セカンドキャリア」に悩む50代に向け、どんなことから着手すればよいのか、そしてどんな選択肢があるのか?また、どんな自分のスキルが活かせるのか?など、「セカンドキャリア」を考えるための基本的な知識を広くご紹介します。

50代からのセカンドキャリアの目的

50代からの「セカンドキャリア」を考える人の多くは、「退職後、あるいは子育て終了後の新しい暮らし」が現実的になりはじめたことがきっかけになっています。 

これまでがむしゃらに仕事をしてきた、あるいは子育てをしてきた人が、「ある程度の役職についてバリバリ働かなくなっても良くなった」「子どもが大きくなり手がかからなくなってきた」という時期がちょうど50代に差し掛かる頃だと思います。 

若いときは会社や家庭のために注力してきたけれど、一段落ついて、やっと自分の人生を冷静に見つめ直せる、という貴重な時間でもあります。

 しかし、「自分の時間ができた!」と好きなものや挑戦したいものに飛びつくのは「セカンドキャリア」構築における失敗につながる要因でもあります。 50代は、経験やスキルが十分に蓄えられてはいますが、一方で社会から求められる経験やスキルは常に更新され続けています。 

まずは自分のスキルで活かせるポイントを見つめ直し、現在どんな業界や会社でそのスキルが求められているのかを冷静に見つめ直す必要があるでしょう。

50代からセカンドキャリアを考えるにあたり必要なポイント

実際にこれから「セカンドキャリア」を考える人向けに、どこから考え始めればいいか、目標設計のためのポイントを3つご紹介したいと思います。

ポイント①自身のスキル・経験を見つめ直す

前述したように、昨今ではAIの利用や自動化をはじめ、「仕事の仕方」が変わってきています。 そのような状況のなかでは、やはり求められるスキルや経験も流動的に変わっていきます。 現在、社会や企業において求められているスキルは何なのか?また、自分が社会や企業に貢献できるポイントは何なのかを見極めることで、「セカンドキャリア」で挑戦できる分野や業務が異なってくる場合があります。 

では実際に「セカンドキャリア」を考えるにあたって何から着手していけば良いのでしょうか?

ここでオススメしたいのが「自己分析」です。自己分析をすることで、 自分の強みや、活かせるスキルが理解できます。また、就業後のミスマッチが防げるというメリットも得られます。

現在では少子高齢化の影響で多くの業界で人手不足が課題になっています。 在籍していた企業や、業界での自分の立ち位置というだけではなく、改めて自分のキャリアを振り返ることで、新たなスキルを身に着けキャリアチェンジするなど、思いもしなかった業界や働き方に挑戦することも可能かもしれません。

ポイント②これからの人生設計を考える

新卒での就職活動と一緒ですが、明確なキャリアのゴールと人生設計を考えることをオススメします。

新卒の就職活動と「セカンドキャリア」で大きく異なる点は、

①家族の生活を支えるこ

②老後の生活を視野にいれる

という点です。 人生100年時代と言われるなかで、「何歳まで働きたいか」「どんな働き方がしたいか」ということを軸に、これからの自分と、そして家族の人生を設計することが、次の選択肢のミスマッチを防ぐ手段になります。

 逆に、家族に求められていない働き方や、自分の希望する老後の生活と異なる労働環境に身を置いてしまったら、再度キャリアプランを調整する必要が出てくるかもしれません。

そのためにキャリアだけでなく、自分の人生全体をイメージすることが重要になってきます。 5年後、10年後にどんな生活を営んでいたいか?またこれからどのタイミングでどのくらいのお金がかかってくるかなどをイメージし、その点から逆算してキャリアを考えていくのも一つの手段といえるでしょう。

ポイント③新たな挑戦に必要な資格やスキルを取得する

昨今、「リスキリング」という言葉をよく見かけます。リスキリングとは、新たなビジネスモデルの出現や時代の変化などに対応すべく、業務上で必要となる新しい知識やスキルを学習・習得し直すことを指します。 プログラミングやデータ分析などのデジタルスキル、問題解決、創造性などのイノベーションスキル、リーダーシップやチームワークに必要なコミュニケーションスキル、ストレス管理や時間管理などのソフトスキルなど、多岐に渡ります。前述したように、現在の日本社会では多様な働き方が求められ、求められるスキルも常に流動的になっています。 「セカンドキャリア」では、今まで経験してこなかった未知の領域に挑戦できるチャンスでもあります。 

挑戦したい業界や、業務に必要な資格があれば早めに取得しておいたほうが良いでしょう。

50代からのセカンドキャリアにはどのような選択肢があるか

ここまで、セカンドキャリアを考えるにあたってのポイントを紹介してきました。 では実際、自己分析や人生設計を考えた上で、どのように仕事の選択肢を増やしていけばいいのでしょうか。

特技や専門性を活かした仕事

まず選択肢の1つ目に挙げられるのが自身の特技や専門性を活かした仕事です。 これまでの経験を活かすことで、最も効率的に転職やキャリアアップを考えられるといえるでしょう。 この仕事を検討するには、まずは自分のスキルや興味を把握することが肝要です。 特に自分の持っているスキルや経験をリストアップすることで、業種や職種を絞り込むのに役立つのではないでしょうか。

好きなこと・趣味を追求した仕事

自身の特技や専門性の他に、好きなこと・趣味を追求することも「セカンドキャリア」の選択肢の1つです。 これまで携わってきた好きなことや趣味を「セカンドキャリア」にすることで、自身の経験やスキルを大いに活かすことができます。 好きなこと・趣味を追求し、「セカンドキャリア」の選択肢に置くことは、下記のような強みがあることが理由です。 

「セカンドキャリア」ではネットワークを作ることが重要と言われています。 一般的に50代からの新たな業種への転職は障壁が多いと言われていますが、好きなことや趣味を追求していた経験があることで、その障壁を取り除ける可能性があります。 これまで好きなことを追求するために何らかのグループに所属していたり、周囲に趣味の友人が多く存在していたりしないでしょうか? このような人脈があることで、好きなことや趣味を「セカンドキャリア」にできる可能性がぐっと高まります。逆に、好きなことや趣味を追求した「セカンドキャリア」を築きたい場合には人脈形成が非常に重要だと言えるでしょう。 地域のコミュニティに加入したり、趣味の友人を増やしておくといいかもしれません。

社会に貢献できる仕事

いわゆる企業に入って、デスクワークに就くという形ではなく、社会貢献に振り切って「ボランティア」や「NPO」に参加するのも選択肢の一つです。

特に地域に密着して、家庭の支援や貧困層への支援をしているNPOは常に人手不足の状況です。一定の資格が必要な場合もありますが、非常にやりがいのある仕事でもあります。

老後の資金に困っている、一定水準以上の給与がないと困る、という家計状況でなければ、社会貢献もセカンドキャリア候補の1つに入れてみてはいかがでしょうか?

自分が組織の代表となる仕事

最後に、企業に就業するというキャリア以外の選択肢です。

それが「起業」です。起業というと一見ハードルが高いように思えますが、副業レベルの収入でも一定の手続きを踏めば起業をすることができます。

先程ご紹介した特技を活かした職業や、好きを活かした職業で起業、あるいはNPOの団体を立ち上げるという手段もあるでしょう。自身のやりたいことが一貫している場合には起業をし、自分の夢を叶えていくのも選択肢の一つといえるでしょう。

しかし一方でリスクも存在しています。趣味や好きを活かす小規模な事業であれば財務リスクや市場リスクは通常の起業に比べて少ないといえます。しかし自分が「経営者」になったとたん、膨大な業務に圧迫されてしまう…といった過労のリスクが存在します。長時間の業務が必要な場合、自身の体調面と相談し、また家族からの理解も必要。起業という選択肢を選ぶ場合には他の選択肢よりも慎重に設計する必要がありそうです。

セカンドキャリア支援をしてくれる制度・場所

ここまでセカンドキャリアの選択肢を紹介してきました。次は実際にセカンドキャリアに就く上でサポートしてくれる制度や場所をご紹介します。

教育訓練給付制度

教育訓練給付制度は公的な支援制度のなかでもポピュラーなため、名前を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

教育訓練給付制度とは、働きたいと考えている人の中でもより安定した雇用を求める人や、キャリアアップをしたいと考えている人へ向けた支援になります。

種類給付率
専門実践教育訓練70%(年間上限65万円)
特定一般教育訓練40%(上限20万円)
一般教育訓練20%(上限10万円)

その名の通り、教育訓練を修了した人向けに受講費用の一部が給付される制度となります。

給付金の対象となる教育訓練は3種類あり、専門実践教育訓練、特定一般教育訓練、一般教育訓練が存在しています。 それぞれ中長期・早期のキャリア形成、あるいは特に雇用の安定を目的にしたものなど、目的別に受給要件や受講できる訓練が異なっています。 それぞれ給付を受けるには一定の条件がありますが、大型自動車第一種免許からインテリアコーディネーターなど幅広い訓練を受講することができます。 

スキルを新たに身につけたいという人はチェックすることをおすすめします 。

ハロートレーニング

キャリアアップや希望する就職を実現するために、必要な職業スキルや知識を習得することができる公的な制度です。 教育訓練給付制度とは異なり、要件等はなく、働こうとする人、働く人すべてが対象です。 

これから就職を目指すのであれば、失業中だけでなく、働きたいのにキャリアが少ない等、状況は問われずに受講することができます。 訓練分野は教育訓練給付制度と同様幅広く、事務系をはじめとして、IT、建設・製造、サービス、介護、デザイン、理美容などのジャンルまで多種多様な訓練分野を網羅しています。 「やりたい仕事はあるが経験やスキルがなくてその仕事に就けない…」 「すぐに役立つ専門的・実践的なスキルを身につけたい」 といった直近のキャリアアップに関して悩みを抱えている人には特に効果的な制度といえるでしょう。 

キャリア形成サポートセンター

キャリア形成・学び直し支援センターでは、現在の雇用形態を問わず、キャリアに関するさまざまな問題・課題を、専門のキャリアコンサルタントに無料相談することができます。 また、職業の選択にかんする悩みだけでなく、気軽にキャリアに関した悩みも相談することができます。 キャリアコンサルタントとの対話から、自分自身のこだわりや強み、価値観に気づくこともあるそうです。 「セカンドキャリア」を考える前に、まずは自分の人生設計や目標を整理していきたいという人はまずはキャリア形成・学び直し支援センターを利用してみてはいかがでしょうか。 

【事例紹介】50代からの「セカンドキャリア」を実現した人

ここからは実際に50代から「セカンドキャリア」を検討し、見事実現できた事例をご紹介できればと思います。 ぜひ今後の「セカンドキャリア」設計の参考にしてください。

①県職員を定年退職して、「フリーランス管理栄養士」となった事例

まずは、県職員を定年退職し、現在は「フリーランス管理栄養士」として活動する中田恵津子さんの事例をご紹介します。

フリーランスというと、ずっと会社員として働いてきた人にとってはハードルが高いように思ってしまいます。 中田さんはどうしてフリーランスのキャリアを選択し、実現してきたのでしょうか? 中田さんは定年退職後、すぐにフリーランスになることを決めたわけではありません。 ボランティア的に講演会や専門学校の講師を引き受け、その中でそういった活動を「成果」にしていきたいと考えフリーランスを志したそうです。 フリーランスになった当初は、起業した若い人たちと違って、年齢が高いと、決して仕事が〈拡大〉していくわけじゃない、と語ります。 中田さんが重視したのは、仕事の〈拡大〉ではなく〈継続〉。 こういった「仕事のなかで何を重視していくか?」を見極めることもフリーランスとしては大事だと言えるでしょう。

②コロナをきっかけにキャリアを見直した事例

次にコロナをきっかけにキャリアを見直し、フリーランスPRからライターへキャリアチェンジをした小嵜有美さんの事例を紹介したいと思います。

小嵜さんは、エールフランスのCAからハワイの広告代理店で観光業をメインとしたPRに携わっていました。 10年前独立し、フリーランスPRとして活躍してきました。 しかし、コロナで収入が激減し、今後のキャリアを見直す必要が出てきたと言います。 コロナで休業を余儀なくされたとき、これまで自分のキャリアが一貫して「書く」という仕事だったことに気付きます。 ここからオンラインのライター養成講座に通い、同じライターとして稼いでいきたい仲間との出会いによって自分の進みたい方向が確認できたと言います。

 小嵜さんの事例は、自分のスキルを改めて整理し、それを「セカンドキャリア」にした事例だと言えるでしょう。

③主婦から洋菓子店を開店させた正伯さんの事例

次にご紹介したいのが、昨年、55歳でケーキ屋をオープンさせた正伯(まさき)和美さんの事例です。正伯さんは製菓学校を卒業したわけでもなく、洋菓子店で働いた経験もありません。しかし、趣味のお菓子作りを活かし、実店舗の経営に踏み出しました。

ブログで日々、料理教室の様子をアップしはじめ、まずはブログでケーキの販売告知。その後はwebサイトも制作し、SNSなどでしっかり地固めを行いました。
現在はワンオペで納得できるものを出す、をコンセプトに週に2回の営業で無理なく・無駄なく経営ができていると言います。

50代からのセカンドキャリアまとめ

50代からの「セカンドキャリア」は、新卒や若いうちの転職とちがい、人生設計を深く考えることが必要になってきます。 

自分のことだけでなく、家族やこれからの人生を考えることは時間やコストがかかってきます。 しかし、この人生設計を深く考えることで、改めてこれまでのキャリアや経験を振り返るきっかけにもなります。 人生設計を通して自分の強みを改めて見つめ直し、「セカンドキャリア」として新たな挑戦の第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

I am 編集部
I am 編集部
「好きや得意」を仕事に――新しい働き方、自分らしい働き方を目指すバブル(の香りを少し知ってる)、ミレニアム、Z世代の女性3人の編集部です。これからは仕事の対価として給与をもらうだけでなく「自分の価値をお金に変える」という、「こんなことがあったらいいな!」を実現するためのナレッジを発信していきます。

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