Interview
インタビュー

《門脇麦の仕事論》「時間がもったいない!」決めたら動く、進みづつける

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舞台『ねじまき鳥クロニクル』に出演する門脇麦さんが語る、大人が好きなことを仕事にするために必要なこととは。

大人になっても新しいことにチャレンジし続けている門脇麦さん。今も心に留めている小栗康平監督の言葉や、好きを仕事にし続けるために行っていることなどについて伺いました。

村上春樹のベストセラー小説「ねじまき鳥クロニクル」が原作の同名舞台が、再演される。2020年の初演から続投する門脇麦さんは、日本語を母国語としない演出家が手がける舞台を五感で味わってほしいと願っています。

スイッチが入ると突き進む

5歳のときからクラシックバレエを習っていました。夢は「プロのバレリーナになること」。でも中学生のときに、「難しいかも」と悟り、打ち込んでいたバレエを辞めました。ずっと支えてくれた先生や、共に戦った仲間たちのことを思うと「申し訳ない」と感じましたが、「人間はみんな掲示板を持っていて、そこに書かれていないものは、その人が人生を賭けるべきものではないこと」と父が話してくれたこともあって、「バレエはここまで頑張ったのだから、次に行こう」と頭を切り替えました。だから「挫折」をしたという意識はなくて、私が人生を賭けるべきものはほかにある。そしてそれは何かと考えたとき、同じ10代で活躍していた宮崎あおいさん、谷村美月さんの演技に魅了されたことを思い出し、役者になろうと決めました。私は「これだ!」と思うと、すぐにスイッチが入り突き進むタイプ。両親は役者業に難色を示していましたが、「ミュージカルならいい」と言ってくれたので、すぐにジャズダンスやボイストレーニングのレッスンができるスタジオを探しました。14、5歳くらいのときでしたが、決めたら動く。時間がもったいないと、進み続ける性格はずっと変わっていません。

全てのことには意味がある

「全てのことに意味がある」という言葉が好きです。人間の行動の全てには意味があって、偶然ということはない。苦しいと思うときでも動き続けていれば、振り返ったときに、あの苦労はここに繋がったのかと感じることがある。人生はその連続だと思います。

弾けなくてもバイオリニストを目指すワケ

役者を続ける中では、不得意なことや未経験のことに挑戦する機会も多くあります。ドラマ『リバーサルオーケストラ』では元天才バイオリニストを演じるために、撮影に入るだいぶ前から、プロの奏者の方に指の動かし方を教わるなど特訓を重ねていました。役者なので、弾けなくてもいいから、天才と呼ばれた時期があったバイオリニストに見えるような所作を身に付けたい。そのギリギリの合格ラインを常に追求しています。「ストイックだね」と言われたりもするのですが、私自身、5歳のときから中学時代までクラシックバレエを習っていたので、バレエのシーンがある作品を観るときは、バレリーナとしての視点が入って「あれ、こんな風に動いたりしないのに」と気が散るときがあるんです。バイオリニストの役なのに、そう見えない私がいたら、その素養を持っている方が作品に没入できませんよね。いろんな方に作品を楽しんでいただきたいので、そのレベルを維持し続けることがエンタテインメントの世界に身を置く役者にとって欠かせないことだと考えています。

ストイックなほどの「効率重視」習得法

常に効率を考えて動くようにしています。クラシックバレエを習っていたときは、誰よりも早く上達したくて、先生に注意されたことをレッスン後に書き出して見直していました。人間なので、忘れて同じことで注意されるときもあります。そんなときは、「この注意は何回目だった」と記して自分を戒めていました。弱点を克服するために必要なことは「つま先のトレーニングだ」とか自分を冷静に評価することも大事にしていました。学校の勉強も効率重視。授業中は授業用のノートと、先生が「ここは重要」と教えてくれたことだけを書く、テストの前に見返す用のノートを同時にとっていました。いかに効率よく目標に到達することができるかを考え、実行し続けています。

「無」の日をつくることでリセット

きっちりした性格と思われがちですが、ダラーッと過ごす時間もあります。昨日はソファーに寝転がって動画を見続けていました。目が回るほど忙しいときもあるので、そうしなくてもいいときには、ただただぼんやりする休息日が必要なんです。無だった昨日があるから、取材日の今日はまた新しい気持ちで質問に答えたり、考えたりすることができる。いつでも万全の態勢で臨めるように、心身を整えるもの大切なこと。常に低空飛行でも、上昇傾向にある訳ではなくて、一周まわって50くらいの所を飛行しているイメージで生きています。

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