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飲食店経営、コロナ閉店からの復活公務員をしながら副業起業家に。待ってるだけでは変えられない。市長に直談判までした「覚悟」とは?

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時代の流れに加え、国の方針で副業が推し進められているが、公務員の副業はまだまだハードルが高い。横須賀市の市職員でありながら副業で起業するために市長に直談判したという高橋正和さん。公務員では実現が難しいことを副業という新しい働き方でチャレンジするしている。

高橋正和

プロフィール

横須賀市役所職員(本業)、法人代表・起業家(副業)高橋正和

私は、副業する起業家の公務員です。熱い想いを持つ人の想いを実現する架け橋となりその想いを実現して世の中をもっと良くするため、公務員と民間企業の両者の長所を生かした活動をしています。

成績を上げることより「誰かのために働きたい」思いから公務員へ

現在、横須賀市の市職員として勤務する傍ら、副業として一般社団法人KAKEHASHIを立ち上げた高橋さん。このKAKEHASHIを通して地元企業への人材支援、傷がついたり大きく育ち過ぎたなどの野菜の販路に悩む農家の支援、性教育の学習機会の提供、民間企業と地域の起業家を連携させた地域活性化の取り組みなど、幅広いプロジェクトを立ち上げています。そんなアグレッシブな活躍を見せる高橋さんですが、意外にも就活の時にはやりたいことがなかったと言います。

公務員をしながら副業で起業するために市長に直談判

大学4年の夏までプロ野球選手を目指して野球に専念する日々。しかしプロへの道には及ばず、改めて就活のタイミングで将来のことを考えることになります。

当時は野球以外に情熱を注ぐことが見つからず、まずは生活のためにと医療系の民間企業の営業職に就職。これを機に、東京の大学から実家の横須賀市へ戻ることになりました。

改めて地元に戻ってみると、「横須賀市にずっと住んでいたい」という気持ちが大きくなり、そこから公務員を目指すことに。髙橋さんは「売上に固執するという働き方より、誰かのために働くほうが性に合っている」と営業職から公務員に転職します。

現在は市の財務課で勤務している高橋さんですが、公務員に転職した当時から子育てに関心があり、「課題解決のためには対処法だけでなく根本から変えていかないと」と、そんな漠然とした思いがあったといいます。しかし、変えるためには公務員として長く勤務しながら出世をして、大きな裁量権を持つしかないと信じていたのだそう。

その頃の横須賀市は自治体として人口のピークを既に迎えたあと。「これは日本における多くの自治体が直面している問題ですが、自治体が行う事業の財源は税金で、その大半は住民税が締めています。そのため、人口の減少は、自治体として最もやらなくてはいけない社会福祉にまわすお金が減ってくることに繋がり、そうすると住みにくくなり、市外に移る人も出てきて、街として衰退していく。」

負のスパイラルに陥る可能性のある 横須賀市の状況を目の当たりにして、何かを決められるようになるまで待っているだけでは終わってしまう!と危機感を強く抱くようになりました。

一方で、どうすれば変えられるかがわからない。そんなジレンマを当時抱えていたそうです。

公務員ではできないことを実現する「副業で起業」

公務員としての役割を熱く語る高橋さん(撮影/東条瑠依)

「待っていては終わってしまう。何かを変えるにはどうしたらいいか」その答えとして、横須賀市の公務員として初めて、副業で起業をするという選択肢をとった高橋さんですが現在の仕事の形に至るまで紆余曲折がありました。

きっかけは市民の声

横須賀市の業務研修で、街に住む人々の声を聞き、それを元に課題を考え解決するというお題があったとのこと。高橋さんは、普段の業務で関わることのない、街に住む方々の生の声を聞くことで現在の活動、社団法人KAKEHASHIにつながる発見を得られたそうです。

その発見とは、「横須賀市を想う」市民の方がいかに多いかということ。地域をよくするアイデアを持っている人がたくさんいるにも関わらず受け皿がない。そのアイデアを具現化することが行政の仕事なのではないか、と感じたことがきっかけになり、目立つことをよしとされない組織で「何かを変えなきゃと思いながら踏み込めていなかったのは自分の覚悟がなかったのだ」と気付かされたといいます。

公務員の壁、ボランティアの限界

仕組みを考える側である行政の立場でありながら、街の声の苦悩や希望を叶えられないという状況を打開するために、とにかく自分でやれることを継続しようと考えた高橋さん。

研修が終了した後も、研修で実施した街の声を聞く活動を個人で続けていました。活動当初は、市役所の職員として街の声を行政に反映していくという、あくまでボランティアのような活動を考えていたそうです。

他にも、民間企業の方を呼んで、勉強会を行うなど市役所の仕事と個人の活動、両輪で良いサイクルが回っていくよう精力的に活動していました。

しかし、公務員としてボランティアを続けるのには大きな障壁がありました。

公務の範囲外のボランティアでは自分の名刺を渡せないこと、自分の時間とお金を使っての活動は負担が大きく、次第に苦しい状況に陥ってしまいます。

このやり方では持続的に実施することはできない…と模索をはじめた髙橋さん。知人に相談したところ、法人化のアドバイスをもらいます。

「公務員は副業ができない。」という先入観を持っていましたが、 調べてみれば公務員でも職場の許可などがあれば副業できるということを知り、法人化を決意。定款の作成など会社設立の準備を進めていきました。

公務員には民間企業での副業と異なり、民間企業の業務を圧迫する「民業圧迫」にならないしくみをクリアにする必要があります。副業の許可は人事課を通すのが正規ルートでしたが、髙橋さんは市長に直接掛け合ったと言います。

市長へ直談判

副業に職場の許可を必要とするのは一般的ですが、横須賀市役所では前例のないこと。副業の捉え方やしくみから検討がされ、許可が下りるまでに時間を要した上、実現できない可能性もありました。そこで高橋さんは市長に直談判を決意。研修をきっかけに市民の声を聞く活動をきっかけに法人化を目指すまでの詳細と経緯、市の職員として活動の必要性、副業で起業するメリットを訴え、市長から許可 を得ます。

目立つことをよしとしない組織の反応はどうだったのでしょうか。

「職場、市民の方、他の自治体の方からノウハウを聞かれるなど好意的な反応がほとんどでした。たとえネガティブな反応があったとしても何もしていないと何も反応がないので、反応があること自体がいいこと」と語ってくれました。

実は仕事嫌いだった?副業をはじめて変化したこと

「あくまで副業は副業」であることが副業を長く続けるコツという高橋さん(撮影/東条瑠依)

様々な人々のアイデアや、街の声1つに対しても実直に行動する高橋さん。そんな高橋さんですが、「仕事は嫌い」と言い切ります。

高橋さんにとって最も大事なのは大切な人と過ごす時間だといいます。

「あくまで仕事はその大切な時間をより豊かにする手段です。嫌いだからと疎かにすることはないですが仕事は嫌いですね(笑)」と話します。

しかし、現在営むKAKEHASHIの仕事は「仕事」というベクトルで動いていないそうです。

自分にとって副業という別の仕事をはじめたことで、仕事に対する新たな捉え方を得られたといいます。これまで考えていた「仕事=生活の糧」というだけではなく、「好き」を仕事にすることで、「誰かのためにはたらく」ことや「何かを変えたい」という思いを実現するということが今副業を続けられるモチベーションだといいます。

現在KAKEHASHIの活動によって、「なにかを変えたい」「何かを成したい」という仕事に対する情熱を持つ人々を「繋げる」ことができているといいます。そんな熱に突き動かされて、常に副業では前向きに仕事できている、と高橋さんは語ります。

「地域のため」じゃ相手にされない。人を巻き込むこと、継続するために大切なこと

KAKEHASHIをはじめてから、それまで出会わなかった人たちとの繋がりもできたといいます。

横須賀市という街で、仕事に対して情熱や思いがある人が活躍し成功すれば、挑戦してくれる人がどんどん増えるのではないか、と高橋さんは考えます。挑戦してくれる人を支援する土壌をつくることで、もっともっと良い好循環を生む仕組みを作りたいと高橋さんは言います。

高橋さんの地元愛はとても強いもの。しかしビジネスの場で求めるものはそこではないといいます。「副業をしたことで、民間企業の方々と同じ方向を向くことができたのが大きなメリット。行政として横須賀のために皆さんやってください。という立場であれば、相手にされなかったと思います。ビジネスとしてみんなで稼ぎましょうというスタンスなんです」

3年目を迎え、最近では紹介や、話を聞いて欲しいといわれることも増えてきたそう。

一方で、「あくまで副業は副業」であることが副業を長く続けるコツだと高橋さんは言います。

大切なのはこの活動を長く続ける事。そのために副業で無理をしないことがモットー。本業あっての副業であるという立ち位置は変えないことが大切とのことです。

「この活動を続ける事でKAKEHASHIだけでなく、横須賀市役所や他の自治体でも、法人化を進める動きが広がるような影響を与えていきたいと考えています」

者として、行動や発言の考え方の本質が漫画の場面を通じて学ぶことができる部分が面白い。

取材・文/東条瑠依

この記事を書いた人

I am 編集部
I am 編集部
「好きや得意」を仕事に――新しい働き方、自分らしい働き方を目指すバブル(の香りを少し知ってる)、ミレニアム、Z世代の女性3人の編集部です。これからは仕事の対価として給与をもらうだけでなく「自分の価値をお金に変える」という、「こんなことがあったらいいな!」を実現するためのナレッジを発信していきます。

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