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タニタ研究員の「ダイエットで人生変える」授業パフォーマンスを高める最強のビールのつまみはどれ? 焼き鳥、ローストビーフ、ホタテ…。酒好きタニタ研究員の居酒屋ハック

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生ビールと焼き鳥盛り合わせ、枝豆など

見た目を変え、仕事に役立つ! 夏といえばビール。ビールといえば、つまみは何派? タニタ研究員がエビデンスの力を駆使して楽しく太らない飲み方を教えます。

飲み会は食べ方次第でダイエットチャンスになる?

前回のコラム 『酒好きタニタ研究員が教える、太りたくなければビールは 「色」で選べ! ピルスナー、ラガー、ペールエールなど淡色ビールの最新情報』に引き続き 、「飲みたい!でも太りたくない」を叶えるため、今回はおつまみの選び方をご紹介します。


アルコールのエネルギーは“エンプティカロリー”で優先的に消費されることは、前回のコラムでも触れました。その代わり、おつまみで食べたもののエネルギーがからだに蓄積しやすくなるのでおつまみ選びはとても重要です!


でもちょっと考えてみてください。居酒屋のおつまみメニューには低カロリーで高タンパクな小皿メニューがたくさんあります。自宅で料理するのと違って、手間をかけずに 「ちょっとずついろいろな食材、お料理が楽しめる」というすばらしい利点があります。「飲み会」は考え方によっては 「面倒くさくない有効なダイエットチャンス」になるのです。


皆さん、食べ方の知識を身につけて「飲み会をチャンスに」変えてしまいましょう!

糖質の吸収を抑える野菜、きのこ、海藻

まずは、食物繊維を多く含む 「野菜」「きのこ」「海藻」をたっぷり食べましょう。低カロリーなだけでなく、満足感も高く、先に食べることで高カロリーなものの食べ過ぎを防ぎます。しかも食物繊維が糖質やアルコールの吸収を緩やかにしてくれます。アルコールから胃を守る作用も期待できて、まさに一石四鳥!

アルコールから胃を守る作用においては、トマトやマンゴーのように水溶性の食物繊維と水に溶けない食物繊維の両方が多く含まれている野菜や果物がとくに効果的だということが分かっています (図1)。まずはサラダやバーニャカウダなど野菜やきのこ、海藻、ドライフルーツを使った前菜をたくさん食べて、ある程度お腹を膨らませてしまいましょう。

【図1】野菜・果物類不溶性画分のアルコール水溶液保持能とラット血中アルコール濃度

※横軸の 「ろ過液量」は不溶性画分が多いほど低値。不溶性画分が多いほど血中アルコール濃度上昇を防いでいることがわかる。(出典:醸協 2017 第 112 巻第 3 号)

枝豆、やっこは二日酔い防止に

飲み会のおつまみに欠かせない 「豆腐」や 「枝豆」。味覚的にもアルコールとの相性バッチリですが、低糖質 ・低脂質な上に植物性の良質なタンパク質が豊富です。タンパク質は脂肪燃焼を促し太りにくくしてくれるだけでなく、二日酔いの原因物質でもあるアセトアルデヒドの分解を促進し、肝臓の働きも助けてくれるので、アルコールを飲む時には欠かせません。

肝臓を守る海鮮、焼き鳥・ローストビーフ

アルコールを飲むときはタンパク質を摂ることが大事です。焼き鳥のささみや赤身のローストビーフなど脂質が少ない肉料理や海鮮料理も高タンパクでおすすめです。特に海鮮はアルコールによってダメージを受ける肝臓の保護になるオルチニンやタウリンを含みますので積極的に摂りたいですね。牡蠣、さざえ、ホタテなどの貝類はとくにおすすめ。

アルコールを飲む時には、しっかり料理を食べた方が血中アルコール濃度も上がりにくく、からだにやさしいことが実験からも分かっています(図2)。太りたくないからと言って食べずに飲むことはできるだけ避けましょう。


【図2】適量飲酒後の血中アルコール濃度推移に及ぼす食事の影響

ALDH2*1/1=お酒に強い遺伝子多型タイプALDH2*1/2=お酒に弱い遺伝子多型タイプ(出典:日本アルコール・薬物医学会誌.46, 357-67, 2011)

揚げ物が食べたければ迷わず唐揚げを!

夏は冷たいビールのお供にどうしてもカリっと揚がった揚げ物が欲しくなったりしますよね。揚げ物は高カロリー高脂質の代表!な食べ物なので、できれば避けていただきたいのですが……そうは言っても、毎日忙しい皆さまやワタシにとって 「おいしくストレス解消!」もとても大事!ちょっとくらいは良しとする場合、なるべくカロリーの低い揚げ物をセレクトするコツを伝授いたします。


それはズバリ「なるべく衣が薄い」揚げ物を選ぶこと!


揚げ物同士で比較すると、衣の薄い唐揚げなら、フライやてんぷらよりも少しカロリーを抑えられます。図3をご覧ください。同じアジ1尾でもフライと唐揚げでは 80kcal も違います。これは 20〜30 代女性が 30 分ウォーキングした際のエネルギー消費量に相当します。カリっとした揚げものが欲しい時は 「とにかく衣の薄いもの」と心得ましょう!

【図3】アジの調理別エネルギー

調理の違いによるエネルギーの差
出典:女子栄養大学出版部「調理のためのベーシックデータ」から計算
(資料:アジ小さめ 88g 可食部 40g 43kcal →から揚げ:給油率 6%、てんぷら 13%、フライ 20%)

水をがぶ飲みすれば、すべて水に流せる?

できればお酒を飲んでいる最中から「水」を飲みましょう。アルコールを飲むと、まず体内の水分が排出され、次にアルコールの代謝物質アセトアルデヒドを分解するために、さらに体内の水分が使われるので二重に水分を失うことになります。特にビールは水分の排出が大きいとされています。

この水分代謝には食べたものや個人によってタイムラグがあります。そのため、おつまみの塩分が多かった場合やその人の体質によっては、一度顔やからだがむくんでから脱水になる方もいます (かく言う私もむくみやすいタイプです)。


しかしむくみを恐れて水分摂取を控えるとかえって逆効果!逆に、水分の代謝が進まないのでアセトアルデヒドの分解が遅れるだけでなく、むくみ後の脱水がいっそうひどくなり、頭痛や吐き気等の体調不良が加速してしまいます。


アルコールの代謝にはとにかく水が必要。飲んでいる最中からこまめに水分を摂ることをおすすめします。アルコール代謝のためだけでなく、水分によっておつまみの食べ過ぎを防ぐダイエット効果も期待できます。


飲み終わった後も 「締めのラーメン」はやめて (これは太るもとです!)、ラーメンの代わりに、水分がたっぷり補給でき、ビタミン・ミネラル豊富なお味噌汁や野菜スープを摂りましょう。ワンタンスープや春雨スープもおすすめです。できるだけ塩分控えめなものが良いですね。トイレに何度も行きたくなっても水分摂取を控えてはいけません。「今、それだけアセトアルデヒドを分解して水分が出ているのだ」と理解し、よりいっそう水分を摂ってください。


二日酔いを防ぐには、体内吸収の早いイオン飲料を飲むことも有効です。ただしイオン飲料にはスポーツ用にたっぷり糖質が含まれている物もありますので、ダイエット中の方は2倍に薄めて飲むか、カロリー控えめなものを選ぶと良いですね。最近ではカロリー控えめで飲みやすいイオン飲料がたくさん出ていますから上手にセレクトしてください。


熱い中、気分爽快に、でも、できるだけ罪悪感が少なく健康的にグイっと行くために……こうしたことをちょこっと意識しながら楽しんでくださいね。くれぐれも飲み過ぎませんよう……ご自身の体調と相談しながら、ほどほどに、ね!(自分への戒めも含めております……)

この記事を書いた人

西澤美幸
西澤美幸株式会社タニタ 開発部主席研究員 栄養士
1968年生まれ。横浜国立大学在学中よりタニタの体脂肪計のプロジェクトチームに参加。入社後は、世界初の乗るだけではかれる体脂肪計や体組成計、活動量計などの開発に携わり、機器の要となる計測の回帰式や判定アルゴリズム作成を担う。
29歳で社内初の技術系女性課長に就任し38歳で出産。栄養士の資格も有し文部科学省の食育有識者会議委員を務めるなど、さまざまな計測データを健康づくりに活かす提案を行い、栄養士と技術者の2つの視点から多数のセミナーの講師も担当している。

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