「起業するには?」起業家に聞いてみよう連続起業家・家入一真の失敗哲学② ビジネスに一番大切なものは 〈Why〉ーなぜ、それをやるのか?
起業したい人は「何で起業するか」を必死で考える。でも、それよりも大事なことがあると、クラウドファンディングCAMPFIREを作った連続起業家・家入一真さんは言う。それは「なぜ起業したいのか?」だ。
プロフィール
連続起業家家入一真
学歴、性別、年齢、経験値にとらわれずに、誰もが自分のやりたいことにチャレンジできる仕組みを作り続けてきた家入さんも、これまでたくさんの「失敗」を経験してきました。30 代とは違って 40 代になった今は、失敗を重ねても自分がビジネスをする理由は「Why」に集約されてきたと感じています。
目次
中途半端な小銭稼ぎより、超自己中心的であれ
起業する時に自分中心か課題解決かどちらが向いていると思いますか?
別にどっちでもいいと思います。ただ、中途半端が一番良くないと思っていて。よく言われることかもしれませんが、究極の利己は究極の利他になるし、究極利己は究極の自己になると思うんですよ。
だから、自分中心で会社を立ち上げるのは全然いいんだけど、本当に突き詰めたら、結果的に良い社会のためになったりとか、他の人のためになったりするし、逆に この人たちのために何かしたいっていうことを突き詰めればそれは結果、自分自身にも返ってくるから、どっちでもいいと思いますけどね。そもそも「誰かのために」なんて究極のエゴですよね(笑)
でも何かを始めるときに、自分の中できっかけが必要では?
ただ、僕が好きなのは身近な人の課題を解決していくっていうとこで立ち上げるということが、好みではあります。
自分中心に立ち上げてもいいんだけど、中途半端な小銭稼ぎみたいなのが一番良くないです。自分のためにやるっていうのはちょっと、体裁が悪いから、これは人のためですとか言い始めるのもダメですよ。自分のためですって言い切った方がいいなと思います。
自分のため、でもいいんですね!
僕も本当に他者の課題解決のためにやってるのかというと、結局それが自分も救われるからそうしてるという……。ようは、自分の居場所を自分で作るみたいな感覚です。
Liverty という会社を作りましたが、結局、当時中学生だった家入少年を救いたいみたいな気持ちが根底にあるわけです。いじめられて引きこもって、学校に行けなくなったの 10 代のときの同じような自分がまだ世界にはたくさんいて。
いじめられっ子だった家入少年の居場所でもある
その子たちの居場所を作るっていう活動をやってるわけですけど、それは、僕がタイムマシンで過去に戻って当時の家入少年のために作っているような感覚もあって……。
でも本当にそういった子たちのためだけにやってるのかっていういうと、それはエゴだなって思います。
誰かのためだったはずが、実はエゴだったと?
それがわかるようになったのも、結局動いている中で「自分はどうしてこれをやっていたんだろう?」って思う瞬間があるわけで。
その時に、過去の自分のために向けてやってるのだなっていうふうに、気づいていく。最初からわかってやれてはないです。
うまくいかない時こそ Why が必要
どうしてやっているんだろうっていう感覚というのは、つらくなったときに感じるのですか?
いろいろあると思いますよ。うまくいってるときって往々にしてやっぱ考えないです。あと20代30代の頃はまだ根拠のない自信もたくさんあったわけですよ。何でも自分はできると思ったし、僕が手がけるものは全てうまくいくと思った。
都知事選にも出馬しましたね・・・
でもやっぱ40 歳になってくると自分が何もしなくても社会は回ってるなってことを気づき始めるんです。ある意味ちょっと諦めと達観みたいなものが入ってきます。
うまくいかないってない時、もう止めちゃいたいみたいな時、ビジネスとプライベートもあってやっぱりちょっとへこんでる時に、「そもそもなんでこれやってるんだ?」みたいになります。
うまくいかないと辞めたくなりますね
残りの時間も少なくなっていくからこそ、Why が大事だなと思います。
30 のときは何をやるか、どうやるかだから What とかがすごく大事だったけど 40 超えてくると Why に集約されていくっていうか、それのみになっていくみたいに感じています。
30代はWhat、40代からはWhyが大事?
だって、「僕がわざわざ何かやんなきゃいけない理由って何があるんだっけ」ということを突き詰めていくしかなくて、それ以外は別の誰かがうまくやればいいんですよ。
自分がわざわざやらなくていいし、だから起業家とか若い子の相談とかいまだに乗ったりしますけど、「なんであなたがわざわざそれをやらなきゃいけないんですか」っていうのしか聞かないです。
「何をやるか」より「なぜやるか」
「何をやるか」より「なぜやるのか」
もちろん、実現するためのどうやるかとか、何をやるかっていうのがあるけれど、それは Why がしっかりあればいろんな形でやれます。
例えば、ネットでやろうとしたけどうまくいかなかった、じゃあ、リアルビジネスでどうにかやろうとか、NPOを立ち上げようとか。Whyがきちんと軸としてあれば、いろんな形で失敗とかピボットとかしながらやれていくので。
家入さんの Why はなんですか?
僕の Why は「怒り」です。
「どうしてあなたがわざわざそれをやらなきゃいけないの?」という問いに対する僕の答えは、突き詰めていくと怒りにたどり着きます。ようは社会とかに対する理不尽な思いがいまだにあると思うんですよ。
マーケットや将来性を気にしない理由
家入さんの感覚としては、Why を見つけられている人は少ない感じですか?
どっちのタイプもありますよ。Why のみっていう子もいるし、 いま流行ってるテクノロジーを活用してこういうふうにするみたいなのもあるので、別にどっちがいいとか悪いとかではないかなと思っています。
ただ、個人的に応援とか出資とかするとしたら、どっちかっていうと Why を持ってる起業家かなっていう感じはあるという話です。
投資家って収益性を一番大事にしていると思ってました。
マーケットの大きさとか、ビジネス的な旨味とか、あまり興味はないですね。基本的にビジネスはうまくいかないものと思っているので(笑)。
だから、面白いか面白くないかはどうでもいいとさえ思っています。やっぱり、その人の気持ちがどうかってところが大きい。
最後に、人生を変えた本やおすすめの本などがあれば教えてください。
僕はすごく本を読むんですけど、ビジネスや組織論、経営学みたいな自分がやっていることに直接つながる本はなるべく読まないようにしています。読んでしまうとそれが正解みたいになってしまうし、トレンドや時代によって変わっていくものなので。
なので、心理学や哲学、宗教学、社会学のような自分がやっていることに直接影響がなさそうな 本をたくさん読みます。例えば、経営をやっていく中でメンバーとうまくいかなかったときに、ああ、そうだこういう考え方があるなということで直接解決するわけではなく、気付かされることが多いなと。
最近のおすすめで言うと、東畑開人さんの『野の医者は笑う』です。おもしろくて読みやすいのでぜひ。
ありがとうござました!
*2022年2月に行われたwebメディア I am (アイアム)のオンラインイベントをまとめたものです。
取材/I am 編集部
写真/有賀傑
文/岡田マキ
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この記事を書いた人
- 「好きや得意」を仕事に――新しい働き方、自分らしい働き方を目指すバブル(の香りを少し知ってる)、ミレニアム、Z世代の女性3人の編集部です。これからは仕事の対価として給与をもらうだけでなく「自分の価値をお金に変える」という、「こんなことがあったらいいな!」を実現するためのナレッジを発信していきます。
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