日本人の3割が「好きなことを仕事にしたい」はずなのに体験者に聞いてわかった「好きなことを仕事」にする納得のメリット・デメリット!
日本の働く現状「好きなことを仕事に」は可能? 昨今よく耳にする「好きなことを仕事に」という言葉。好きなことをするための方法としては会社員、副業、独立などの方法があります。 今の仕事がやりたい仕事ではなくなんとなく悶々とし […]
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日本の働く現状「好きなことを仕事に」は可能?
昨今よく耳にする「好きなことを仕事に」という言葉。好きなことをするための方法としては会社員、副業、独立などの方法があります。
今の仕事がやりたい仕事ではなくなんとなく悶々としていると、やりたいことを仕事にするのは憧れるけれど、自分に本当にできるのかどうか不安な人も多いのではないでしょうか。
この記事では、好きなことを仕事にする人の適性や、メリット・デメリットを紹介していきます。
仕事内容を選ぶうえで「やりたい仕事か」を重視している人は、約3割
パーソル総合研究所の『働く10,000人の就業・成長定点調査 2022』によると、「仕事を選ぶ上で重視することは何ですか?」という質問に対して「自分のやりたい仕事であること」と答えた人の割合は、昨年から1.3ポイント下降し2022年はわずか29.3%でした。
雇用形態別にみると、フリーランス・自営業・自由業が最も高く、派遣社員が最も低い傾向があります。 自分の好きなことよりも、収入、勤務時間、福利厚生などの条件を重視している人も多いようです。
ランサーズの2021年の調査によると、副業・複業ワーカーは2020年の708万人から812万人に増加しています。
ライスワークとして本来やりたいこととは異なる仕事をしつつ、副業・複業として自分の好きなことを仕事にする人も増加していることが伺えます。
好きなことを仕事にすることが向いている人・向いていない人
「好きなことを仕事にする」と一言で言っても分野や働き方は様々です。デザイナー、エンジニア、ライター、動画クリエイター、美容師、スポーツ選手、シェフなど専門的なスキルがあると、自分のやりたいことを仕事にしやすいといえるでしょう。
雇用形態も、会社員、フリーランスや個人事業主、自営業、副業などやりたいことを仕事にする方法はたくさんあります。ではどういった人が好きなことで働くのに向いているのでしょうか?
《向いている人の特徴》
①社会貢献したい
専門分野や事業形態を問わず、好きなことを仕事にするのに向いている人は、その仕事が好きな人、その仕事で社会に貢献したい気持ちがある人でしょう。
本当にその仕事が好きな人は、新しい知識を学ぶなど学習意欲も湧き、キャリア設計も上手くいきやすいです。
業績や結果が芳しくなかった場合も、モチベーションを高く保持できるでしょう。
- どのくらいハマっているか?
- 自分よりその分野で秀でている者がいたらどこが自分に足りないのか?
- ライバルと比べて自分の強みは何か?
- どのくらいビジネスアイディアが浮かぶか?
などを考えてみるといいでしょう。
②コミュニケーション能力が高い
組織に属さずフリーランスや自営業で自分の好きなことを仕事にする場合、新規営業やクライアントとのやり取りも自分で行います。
同業者の仲間と情報交換をしたり、分業・協業をしたりすることも多いので、コミュニケーション能力のある人が向いているといえるでしょう。
③セルフマネジメントができる
企業では経理担当者が行っていたお金や税金の管理、納期などのスケジュール管理も自ら行うので、セルフマネジメント能力も欠かせません。税理士に依頼したとしても、自身でのお金の管理やキャッシュフローの管理も必要です。
新米フリーランスの方が確定申告前に苦労しているのを目にしたこともあります。インボイス制度などの税制変更や政府・自治体の補助金・制度もあるので、最新情報にアンテナを張ることも重要です。
《向いていない人の特徴》
①安定志向
一方、好きなことを仕事にするのに向いていないのは、安定を求める人や仕事とプライベートをきっちり分けたい人でしょう。
好きなことを仕事にする場合、決められた出世ルートや年功序列があるとも限りません。自らスキルを掛け合わせたり仕事の幅を広げたりし、キャリアを築き上げていくことの方が多いです。
②オンオフを分けたい
また、好きなことでお金を稼ぎ続けるには、情報収集やスキルアップも不可欠です。そのため、9-17時で与えられたタスクを終え、仕事とは全く異なる趣味にフリータイムを費やしたい方もあまり適さないでしょう。
好きなことを仕事にすることのメリット
メリット①:やりがいを感じやすい
好きなことを仕事にするメリットの一つは、なんと言っても仕事のやりがいを感じやすいことでしょう。仕事は、1日8時間、週に40時間、年2,080時間、も自分の時間を費やすもの。5年では10,400時間、10年では20,800時間にもなります。
そのため、自分のスキルや好きを活かして遂行した業務が、誰かや世の中の役に立っているのを目にすると喜びを感じやすいです。
職業は自分の肩書きでありアイデンティティ一つでもあるので、自分のやりたいことでお金を稼げた誇りや自尊心も得られます。
エンジャパンの調査によると、現在の仕事に満足している人の満足度が高い要因の第1位は「仕事のおもしろさ」で、50%を占めています。やりたいことを仕事にすると、仕事の満足度が上がり、人生の充実度やQOL(幸福度)も上がるでしょう。
また、好きなことを仕事にしたからこそ、自分の夢を叶えたり、夢の仕事に携われるチャンスを掴める可能性もあります。
例えば不動産の営業職からスキルを身に付けデザイナーに転身した小島香澄さんは、SNSで発信していたところ、ファンで仕事をしてみたいと思っていたモテクリエイター・ゆうこすさんの目にとまり、運営する会社・株式会社KOSにデザイナーとして入社しました。現在はフリーランスとして活躍しています。
雲の上だと思っていたような仕事が実際にできる可能性があるのも、やりたいことを仕事にするメリットです。
メリット②:スキル・ビジネスを極めやすい
「好きこそ物の上手なれ」というように、好きなことが生業だからこそ自分のスキルや知識も上がりやすいです。その分野で成功している人・第一線で活躍している人と出会うと、「自分もああなりたい」と思うこともあるでしょう。
ロールモデルを見つけることで、自分の知識やスキル向上に向けて頑張るモチベーションにもなりやすいです。
また、クライアントやお客様の課題や困っていることのヒアリングも、新しいサービス・製品・事業を見つける糸口になるでしょう。自分が新しく習得した専門スキルやビジネスのアイディアを実務で試せるので、トライアンドエラーができ、ビジネスの結果にも結びつきやすいです。
自分のやりたい分野で会社員として働く場合、昇進・転職などキャリアアップの可能性もありますし、スキルが際立っていたらヘッドハンティングされるかもしれません。
一方、フリーランスや自営業の場合、一つの分野の知識・スキルに秀でていると「SEO記事は〇〇さんに依頼しよう」などと継続して案件を依頼してもらえることに繋がります。
やりたいことを仕事にする場合、専門的な分野になることが多いので、スキルアップは事業拡大や大口案件の獲得に直結するでしょう。
もし好きなことを仕事にしてすぐに業績や結果がでなくとも、長期的な目で見て専門知識やビジネスの勉強は続けるのがオススメです。
メリット③:成功する確率が上がる
自分の興味や関心のあることを業務や事業にしているため、事業が成功する確率が上がることもメリットだと言えます。好きなことを仕事にすると、そこから派生するビジネスを展開できる可能性も。
例えば、OLを辞め、似合うファッションとメイクの診断でお客様のなりたいイメージや好感をもたれる印象をプロデュースする専門家、パーソナルカラー・イメージコンサルタントに転身したRANさんは、自宅サロンの開業で好きを仕事にした後、スタッフを増やしサロンを複数店舗展開したり、アパレルとコラボし洋服のプロデュースをしたり、ウェディングメニューやファッションブランドを立ち上げたりなど大活躍。自分が好きなパーソナルカラー・イメージコンサルタントのスキルを極めた結果、お客さんもスタッフも集まり、2、3年間で色んな事業で成功を収めています。
好きなことでお金をもらっていると心持ちも上がりますし、ただ働くのとは違った金額やスケールでのビジネスの成功を目指せます。
好きなことを仕事にすることのデメリット
好きなことを仕事にすると、ライスワークと割り切っていた仕事では遭遇しなかったようなデメリットや場面に遭遇することもあり得るでしょう。フリーランスや自営業で独立する場合は尚更です。
デメリット①:仕事とプライベートの境目がなくなる
好きなことを仕事にすると、スキルアップのために新しい技術・知識の習得が欠かせません。常に学び続けることが求められるので、仕事の延長で休日の時間を使うことがある可能性もあります。
生活のためと割り切っていた仕事と比較すると、仕事とプライベートが曖昧になる可能性があります。やりたいことで働いていくのであれば、その分野のスキルや最新情報、トレンドのアップデートは必要です。
また、同業者や仕事仲間と情報収集や勉強会をしたり、飲み会をすることもあるでしょうから、プライベートの付き合いも増えるかもしれません。
フリーランス初心者でよく耳にするのは、案件をキャパシティ以上引き受けてしまい、一人ブラック企業になること。断りにくさや収入面の不安から、ついつい声を掛けられた案件を断りきれずに陥ることが多いようです。
時給換算すると会社員時代よりも給与・単価が低い可能性や体調を崩す危険もあります。好きなことを仕事にしても、働きすぎて身体を壊してしまっては意味がありません。
自分が仕事を楽しめるよう、無理のないスケジュール管理を心がけましょう。
デメリット②:モチベーションの低下、挫折の経験
自分のやりたいことを仕事にしたからと言って、必ずしも全員が成功している訳ではありません。業務で苦しい場面ももちろんあるでしょう。
元々は好きで自発的にやっていたことでも、仕事にすると達成感や好奇心といったやる気がなくなることもあります。
ずっとやりたかったことでも、いざ仕事にするとかつてのように楽しめなくなってしまったり、お金や評価などの報酬つきでしかモチベーションを得られなくなるかもしれません。
また、好きな分野やスキルを仕事にしたからと言って、自分がやりたいことを100%できるとも限りません。デザインが好きでデザイナーになったものの、クライアントの要望や言いなりに従って形にするだけで自分が好きなものがデザインできないため、不満を持っているという話も耳にします。
デメリット③:収入面や精神面の不安
キャリアや収入の不安定さもデメリットのひとつ。
フリーランスや自営業として活動する場合、始めたばかりは会社員のときより収入が下がる可能性もあり得ます。キャリアステップの道筋も正解はありませんし、自分次第で仕事の成果・収入が決まります。副業や兼業でスタートする場合も、タイムスケジュールの管理、営業方法など精神面での不安もあるはずです。
新型コロナウィルスで旅行業、飲食業が打撃を受けたり、物価上昇で影響を受けたりなど、いつ世界情勢にどのような影響を受けるかはわかりませんし、怪我や病気の心配もあります。
会社員であれば有給、病欠など企業からの保障がありますが、フリーランスや自営業では保障が無いものも。こういったプレッシャーや精神面の不安があるのも、やりたいことを仕事にするデメリットです。
フリーランスや自営業向けの公的・民間の制度やサービスがあるので、しっかり調べてみて味方につけましょう。
《実録》「好きなことを仕事に」した人たち
持ち前の「行動力」でクラウドファンディングを実施、夢のカレー店を開業
失恋をきっかけに間借りカレー屋を始めた「彼女のカレー」屋さんは、1年半後には実店舗を開業。ブログで開店準備の過程を発信し続けたことがファン作りに繋がりました。
オープン時のクラウドファンディングに挑戦した結果、1,118,500円を達成し、10年越しの夢であった自分のお店を持つことに成功。
SNSでの発信やクラウドファンディングは全て行動と課題解決の結果だったと言います。
好きを掛け合わせて自分だけの仕事をする方法 吹奏楽作家・オザワ部長
フリーランス歴26年のオザワ部長さんは、初めはフリーライターとして活動していましが、ずっとやりたかった書く仕事をしても、仕事の柱がなく満たされない気持ちがあったそう。
東日本大震災後に出会った編集者が吹奏楽部出身のライターを探していることをきっかけに「書くこと×吹奏楽=世界でただ一人の吹奏楽作家」に転身し、吹奏楽が題材の著書も出版。
自分がやりたいことと、人から求められていることを一致させていくと”自分だけの仕事”がつくれると語ります。
放送局を辞めて、チョコレートジャーナリストになった市川歩美さん
「好き」軸と「得意」軸でマトリクスを作って、「好きで得意」に当てはまることを見つけると、そこは仕事になる可能性がある。そう語るのは日本初のチョコレートジャーナリストの市川歩美さんです。
子どもの頃から好きだったチョコレートと、番組の企画制作を行うディレクターで培った得意分野の人に伝えることが掛け合わさって今の仕事に辿り着きました。
《まとめ》「好きなことを仕事に」するべき?
やりたいことを仕事にすると言っても手段も分野も様々で、向き・不向きやメリット・デメリットももちろんあります。
好きなことで社会に貢献したい人、コミュニケーションを取るのが得意な人、セルフマネジメントが得意な人、学習意欲がある人が好きなことを仕事にする適性があると言えます。
反対に、経済面やキャリア面で安定を求める人、仕事とプライベートをきっちり分けたい人は、自分のやりたいことで生計を立てるのには適していないでしょう。
好きなことを仕事にするのは、仕事の満足感の向上、その分野のスキル・ビジネスを習得できること、キャリア・事業で成功する可能性が上がることがメリットです。
その一方で、仕事と私生活の垣根がなくなりがちになる、モチベーションの低下、収入やキャリアの不安さなどのデメリットもあります。
自分の性格や仕事との向き合い方を踏まえた上で、好きなことを仕事にするのか、仕事にするのであればどのような形で稼いでいくのか、上の2人の例も参考にして判断しましょう。
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この記事を書いた人
- 「好きや得意」を仕事に――新しい働き方、自分らしい働き方を目指すバブル(の香りを少し知ってる)、ミレニアム、Z世代の女性3人の編集部です。これからは仕事の対価として給与をもらうだけでなく「自分の価値をお金に変える」という、「こんなことがあったらいいな!」を実現するためのナレッジを発信していきます。