今日、京大合格発表。進路白紙で卒業式を迎えた“双子京大合格”母の子育て。

京都大学の合格発表の日に思い出される、双子で京大合格を果たした家庭の受験エピソード。進路未定のまま卒業式を迎えた息子、受験当日に母がかけた一言、そして「カメラマン視点」の子育てとは何かを紹介する。
きょう3月10日、京都大学の合格発表が行われる。受験生やその家族にとって、長い受験の結果が決まる特別な日だ。
そんな合格発表の日に思い出されるのが、2年前、双子の息子を現役で京都大学に合格させた母親のエピソード。
カメラマンであり、『カメラマン視点で子育てしたら 双子が現役で京大に合格しました』の著者でもある田部信子さん。双子の息子はそれぞれ文系と理系に進み、そろって京都大学に現役合格した。
しかし、その受験物語は順風満帆なものではなかったという。
京都大学の合格発表の前日。
双子のうち一人は、進路が決まらないまま高校の卒業式を迎えていたという。
慶應義塾大学にはすでに合格していた。しかし入学金は払っていなかった。本人の中では「京都大学に行きたい」という思いが強く、進学先を決めるのは京大の結果を待ってからと決めていたからだ。
つまり卒業式の時点では、進路はまだ白紙で、翌日が京都大学の合格発表だった。
「卒業式の日は、まだ進路が決まっていませんでした」
田部さんは当時を振り返る。
さらにもう一人の双子は、そもそも京都大学しか受験していなかったという。
一般的には安全校を含めて複数の大学を受験するケースも多い。しかし田部さんの家庭では、子ども自身の意思を尊重することを大切にしていた。
「いろいろ受けるより、本人が行きたいと思うところに集中した方が力を出せる場合もあると思います」
受験当日のことも印象に残っているという。
息子たちにかけた言葉は、たった一言だった。
「全力で戦ってこい!」
それだけだった。
「それ以上は言いませんでした。親は余計なことは口出さないでおこう、ということは気をつけていました」
受験当日、親がどんな言葉をかけるべきか悩む家庭も多い。しかし田部さんは、最後は本人が向き合うものだと考えていた。
そして迎えた合格発表の日。
当初、田部さんの家族は京都大学まで見に行くつもりだったという。しかし大学が掲示での合格発表を行わないことを知り、結果は東京の自宅でオンラインで確認することになった。
「わが家も見に行く気満々だったんですが、張り出しがないと聞いて。結局、自宅でオンラインで見ました」
結果は、双子そろって京都大学合格だった。
ここ10年ほどで日本の受験環境は大きく変化した。文部科学省の統計によれば、私立大学入学者の約6割が学校推薦型・総合型選抜を利用しており、入試の多様化が進んでいる。また首都圏では中学受験率も上昇し、地域によっては15〜20%前後に達している。
こうした中で、子どもの教育や受験の進め方に悩む家庭も少なくない。ただし田部さんは、子育てを振り返って「受験対策」を特別にしてきたわけではないと話す。
その根底にあるのが「カメラマン視点」の子育てだ。
田部さんは長年カメラマンとして活動してきた。その仕事の姿勢が子育てにも影響したという。
「カメラは、目の前にあるものしか写せません。被写体を変えることはできないんです」
例えば、目の前にりんごがあれば写るのはりんごだ。どんなにみかんを撮りたいと思っても、りんごをみかんに変えることはできない。
カメラマンはまず被写体を観察する。そして、その魅力が最も引き立つ瞬間を待つ。
田部さんは、この姿勢を子育てにも応用。
子どもを理想の姿に変えようとするのではなく、まず「ありのままを見る」。できない部分を無理に直そうとするのではなく、子どもがどんなことに興味を持ち、どんな表情で日々を過ごしているのかを観察する。
そして、必要以上に口を出さず、子どもが自分で動き出す瞬間を待つ。
「親の不安が、一番のノイズになると思っています」
受験というと、勉強法や塾、教材などに目が向きがちだ。しかし田部さんの子育ては、それ以前の家庭での関わり方に焦点を当てている。
子どもの意思を尊重し、親は観察者として寄り添う。
「大学受験は子どもたちが乗り越えたものです。京都大学に入れたいと思ってお育てをしていたわけではありません」と田部さんはいう。
「大学受験や中学受験に照準を合わせた教育ではなく、幼少期の子育てや家庭教育をどうするかについて取り組んできました。でもそれはいわゆる早期教育や先取り教育とは異なるものです」
田部さんの教育方針は一貫して「観察する」を出発点にしている。
文・取材/長谷川恵子
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- 猫と食べることが大好き。将来は猫カフェを作りたい(本気)。書籍編集者歴が長い。強み:思い付きで行動できる。勝手に人のプロデュースをしたり、コンサルティングをする癖がある。弱み:数字に弱い。おおざっぱなので細かい作業が苦手。









