「母なのに……自分の洋服に課金してもいいの?」 ファッションスタイリストが出産・育児を経て迷い込んだ、洋服選びのリアル

タレントやアーティストのスタイリングを手がけるアラフォースタイリストのファッションの悩みとは? 育児を優先したらアウトドアブランドばかり。慌てて洋服を買いまくるもしっくりこない……。
ファッションスタイリスト宮崎真純の連載「大人の洋服迷子」。 華やかなメディアでのスタイリングと普通の女性によりそうパーソナルスタイリストとして二足のわらじを履くことで見えてきた、女性の洋服の悩みを紐解きます!
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出産と育児が落ち着いた。
出産前後は着脱のしやすさやラクを追求したオーバーサイズの洋服選びをし、育児では子供との遊びで
膝をついたりするし、公園で汚れてても良いとか、赤ちゃんを抱っこしたまま履ける靴を選んだり
手入れしやすい服が増加していた。
とにかく子供中心だった。
子供が小学生になる頃にはアウトドアにハマり、ワードローブはノースフェイスなどで溢れていた。

その後、自分がどんな服を着たらいいのかわからなくなった。
子供のよだれで服が汚れたりしないから、どんな素材でも形でもいいのに。
ピアスを引っ張られたりもしないからどんなデザインのアクセサリーでもいいのに。
自分が着たい服ではなく、別な理由からの服選びを続けていたら何を買えばいいかわからなくなった。
自分のファッションの軌道修正するチャンスだと気がついて、色々なテイストの服にチャレンジしてインスタにあげたりして、モチベーションをあげていた。
ネット通販もハマり服は簡単に手に入ったけど、方向性が定まってないから失敗も増えていた。
「なんか、しっくりこない……」と感じていた日々。
友達と遊びに行ったり、飲みに行く予定もないのにこの服は必要なのか?
そもそも子供ができたのに、自分にこんな課金していいのか?
「母なのに……」
と完全に迷走していた。
ある日、子供が1歳になる頃に仲良くなったファミリーのママから
「ますみさんスタイリストさんなんですよね? 一緒に買い物行って欲しい!」
と誘われました。
そのころはパーソナルスタイリストなどという言葉も知らないし、シンプルに友達と買い物に行く気分で郊外のショッピングモールに行きました。
話を進めると、私と同じ悩みの渦中にいることがわかりました。
みんな自分に余裕が出来てきた頃で、転職したり外に出るシーンが多くなっていたのです
「いざ服を買おうとすると何を買っていいかわからないのよ!」
「シンプルで小綺麗でトレンドもほどよく取り入れていきたいんだけど!」
「何か選んで!」
とのことで、お店もブランドもわからないから、おまかせしたいという丸投げの注文でした。
私のパーソナルスタイリストの入り口になったエピソードです。
私はスタイリストとして雑誌やCM、テレビなどで提案してきました。タレントさんなどは、コンセプトがあったりして「大人っぽく」「クール」「可愛らしく」など、ご本人のパーソナルとは違う方向性を打ち出したりもします。
ファッションの使用目的もテレビやライブなどライトが当たる世界での衣装です。
パーソナルスタイリストでは、顔立ち、体格、内面、更に手入れのしやすさなどなど全てを融合し
日常のスタイリングを提案します。
人それぞれのお洋服を選ぶのは難しいけど、一生懸命選んだものを受け入れてもらう嬉しさはスタイリストをやっていて良かった!と思います。
自分ひとりで迷っていても何も変わらない、と気がついたらプロに聞くという選択肢もあるのです。
何かきっかけが見つかるかもしれません。
スタイリスト/宮崎真澄
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