好きを仕事起業のリアル。出版しても在庫ばかり増えていく日々。起死回生をかけた絵本が重版出来に!(出版社・編集者/西川俊充さん)

多様な働き方のリアルを聞きました!きれいごとじゃない起業のリアル。どんな思いでビジネスを立ち上げたのか? 起業後の気になるお金のリアルについて西川俊充さんに聞きました。

プロフィール
出版者、編集者西川俊充
どんな仕事をしていますか?
今の仕事はなんですか?

子ども向け絵本の出版をしています。
今の仕事は「好きなこと」や「得意なこと」ですか?

会社員の経験があります。社会人のスタートは財団法人日本気象協会のデザイナーとして。その後株式会社リクルートに転職し編集者として勤めました。
起業したきっかけは?

絵本作家を目指した時期を経て、より社会に大きなインパクトを与えられるだろうと考え出版社を選択しました。個人事業主として7年、法人化して6期目になりますが、ほとんど会社員との「二足の草鞋」でした。
起業家「きついな…」と思うことがある?

昨年10月に「二足の草鞋」を卒業してから、(ひとり法人なので)孤独がきついと思うことはしばしば。雑談できる環境大事。お金のやりくりは言わずもがな。
起業して「よかった!」ことは?

やりたいなと思った企画を即実行できることと、ダイナミックな成長を味わえる可能性があること。
起業して気づいた「自分の甘さ」は?

絵本が好きというだけで、事業については何もわかっていなかったです。書店流通を実現するための方法に辿り着くまでに、オンデマンド出版に転換したりもしましたがうまくいきませんでした。
起業する前にどんな準備をした?

絵本作家を目指した時に美術留学をした経験は「優れた作家の才能を見つける力」として役立っていると思う。編集者として企業で働いたことも絵本づくりのため。
「起業の壁」トップ3を教えてください!

①はじめて作った絵本は数千部。数が多すぎて事務所兼の自宅に置けず。その後、引っ越し。
②その絵本の販路がなくて全く売れず。本は作れば書店に並ぶものだと……。
③もちろんそれまで貯めた資金は一瞬で消えました。
今の仕事で「一番、頭にきたこと」はなに?

まだ法人化する前の話ですが、ある大手出版社が版権を横取りするために圧力をかけてきたことがありました。こちらが作家と一緒に作り上げた絵本で、もちろんその出版社には何の権利もない。断固拒否しました。ちょうど絵本事業に新規参入するタイミングだったようですが、社内に絵本を作る優秀な編集者がいなかったのでしょうね。
起業前の自分に言いたいことは?

「先人たちの知恵から学ぶこと。ひとりの人間のアイデアなんてたかが知れている」
ロングセラー絵本は今でも書店や図書館で手に取ることができます。実際に子どもに愛されてきた作品から学ぶことはとても大切で有意義なものです。また、その作品を手がけた編集者の言葉も貴重です。特に福音館書店の松居直さんの絵本づくりには共感することが多く、勝手にバトンを受け継ぐ気持ちで絵本づくりに取り組んでいます。
お金のリアルを教えてください
最初に稼いだ金額はいくらですか?

最初はほとんど売れず在庫の山の横で絶望していました。その後色々あって法人化して、書店流通もできるようになって、ここが最後の勝負という覚悟で出版した絵本が重版出来になった時は「続けられる」とホッとしました。
「思っていたほど稼げなかった」?「思った以上に稼げた」?

最初は見通しの甘さが原因でずっと赤字でした。ここ数年でようやく「絵本づくり」が分かってきた感触があって、これからしっかり稼ぎたいなと思っています。
過去最高の売り上げは?

コープさっぽろが取り組んでいる「えほんがトドック」に弊社の絵本が選出され2万部を越えるご注文をいただいた時の月商4桁万円です。
独立資金はどれくらい貯めた?

絵本の製造原価として300万円を準備しました。
値付け、価格設定の悩みは?

「二足の草鞋」の会社員時代の月収ベースで役員報酬を決めました。
「コレができたら」もっと稼げる?

もっと年間出版数を増やすことができれば!(やります!)
今年は年間4点の新刊発行を目指しています。近いところの目標は年間6点。
お金より、休みやゆとりが欲しい?

どちらか一方ではなくバランスが大事。
軌道に乗るまでの期間は?

まだ軌道に乗ったとは言えませんが、個人事業主時代から10年経った時に、なんとなくやれてるかもという実感はありました。とはいえ今はまた次のステージを目指すための屈伸の時期でがんばり時です。
お金のトラブル、未払いなどの経験は?

ありません。
法人化していますか?

法人化しています。