Feature
特集

そもそも「ふんどし」なんて誰も欲しくなかった?【ビジネスアイデアの見つけ方】こだわりを捨て、ニーズを見極め、ブームに乗る!

今、サウナーたちを中心に「ととのうパンツ®」がブームになっている。ノーパンでそのまま履ける、裏地付きのコットン短パンで、風呂上がりから朝まで「締め付けない」「ムレない」「肌にやさしい」のが特徴。でもなぜブームに?

職人気質がサウナブームに乗ったら?

「サ活」「サ道」など新たな言葉を産み、斜陽産業だった銭湯には若者が集い、都内にはサウナ施設がオープン、地方に目を移せばサウナ聖地のランキングが溢れる。

写真/shutterstock

雑誌がどんどん休刊に追い込まれる中、サウナ雑誌が創刊、サウナ関連書籍も売れている。

ちなみに弊社からもサウナーとして有名な岩田リョウコ氏の『週末フィンランド』という本を刊行しており、ロングセラーになっています!

「ととのう」健康志向の熟成

リモートワークで「何を着る」問題

2020年から始まったコロナ禍で、多くの会社員はリモートワークに直面。仕事なのに部屋着、私服で過ごすという状況に陥りました。

写真/shutterstock

出社していた時は、スーツをビシッと着てデスクワークができていたのに、なぜかリモートワークではあの締め付け感、窮屈さが耐えられない(中にはスーツでないと仕事スイッチが入らない向きもいらっしゃるだろう)。

締め付け感からの解放感

通勤がなくなり運動不足、自宅のデスクでずっと仕事。こんな生活で欲しくなるのがリラックスできるウエア。締め付けがなく、着心地がよく、肌に優しいものが欲しくなる。

われわれは心身共に解放感を求めていたのかもしれない。

風呂上がりの快適さ、自宅でサウナ気分

そこに差し出されたのが「ととのうパンツ®」。風呂上がりから朝起きるまでノーパンで履けるパンツはサウナーの心をつかんだ。仕掛け人である中川ケイジ氏自身もサウナー。「afterサウナのととのう感じを持続させたい」「せっかくととのったのに、締め付けたくない」という想いから、この「ととのうパンツ®」が生まれたという。

サウナーに刺さった、ノーパンで履ける「ととのうパンツ®」

そもそもニーズがなかったビジネスに9年

うつでふんどしに出会って起業

実は中川氏は10年前に起業、ふんどしのブランド「SHAREFUN®」を立ち上げている。きっかけは自身がうつになって休職。知人に勧められたふんどしを着用したところ、うそのように不眠が解消。そこから徐々に症状は回復していったという経験から「ふんどしをひろめたい!」という想いから、会社を辞めて起業した。

新規性、話題性で滑り出し上々も

起業時のコンセプトは、自身が体験した「締め付けないことが健康につながる」というもの。しかし、ふんどしはねじり鉢巻き祭りの男がしめるものと相場が決まっていた。ティーバック形式の「六尺ふんどし」である。そこで中川氏はデイリーユースが可能な「越中ふんどし」をさらにおしゃれにした商品開発をおこなった。

滑り出しは上々。新規性があったのがテレビでも取り上げられ、話題性は抜群。「ベストフンドシストアワード」や「バレンタインふんどし」などのプロモーションも成功し、ぶんどし起業は成功かと思われた……。

そもそもふんどしのニーズはなかった

が、どんなに健康にいい、快適、あふれる解放感といっても、一般のニーズにはてっぺんがあった。テレビで取り上げられると一瞬、売り上げは伸びるがリピート率は上がらない。

さらに、越中ふんどしそのものは誰でも簡単に作れてしまうので、パクられ、価格競争に巻き込まれる事態に陥ったのだ。

そもそもふんどしという小さなパイに向けてのビジネスの限界を感じ始めていたそうです。

そんな時、友人から放たれた一言が

「そもそもふんどしなんて、誰も欲しくないよ」

そして、原点に立ち戻ることができたと言います。

サウナとの掛け合わせでV字回復

ビジネスコンセプトとブランディングの見直し

自分がどんなにこだわって、ニーズがなければ意味がないと、9年目にしてわかった中川さんは、改めてなぜ、ビジネスをはじめたのか?という原点に立ち返ります。

  • ふんどしを売るのではなく、締め付けない解放感を体験してほしい
  • 話題になることより、商品へのこだわりを知ってほしい

そこから、締め付けずに、快適で、本当に役に立つ、ふんどし以外のものを試行錯誤し、生まれたのが「ととのうパンツ®」。

パクられないブランド力の作り方

しかし「真似されない強さ」が必要であることは、ふんどしのパクリ体験で承知の上。商品特性だけではオリジナリティ、スタンダード、唯一無二にはなれないことも経験。そこで

  • 製造過程
  • 原価
  • 利益率
  • どんな思いで作ったか
  • どんな取引先と仕事をしているか
  • 誰に履いてほしいのか

など、すべてを公開してこのプロジェクトを立ち上げたのです。

クラウドファンディングでファンを巻き込んで、大量生産・大量消費を目指さない、本当に使ってほしい人に使ってもらう、新しいモノ作りビジネスに挑戦中だ。

8月3日より、新宿伊勢丹メンズ館で「ととのうパンツ®」のポップアップがスタート。

2022年8月3日~8月9日まで東京新宿の三越伊勢丹メンズ館でポップアップ

《関連記事》

記事はこちら

この記事を書いた人

長谷川恵子
長谷川恵子編集長
猫と食べることが大好き。将来は猫カフェを作りたい(本気)。書籍編集者歴が長い。強み:思い付きで行動できる。勝手に人のプロデュースをしたり、コンサルティングをする癖がある。弱み:数字に弱い。おおざっぱなので細かい作業が苦手。
この記事をシェアする
  • LINEアイコン
  • Twitterアイコン
  • Facebookアイコン