Interview
インタビュー

ブログサポート60・石黒敬太言われたことしかできない消極的な僕が独立! 辞めサラのリアル

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ブログ運営のノウハウを教える『ブログサポート60』を運営者する石黒敬太さん。起業のきっかけは「会社を辞めたい」でした。言われたことしかできない受け身社員が、なぜ独立できたのか? その理由を語ります!

石黒敬太

プロフィール

ブロガー兼講師石黒敬太

「60日で稼げるブログの作り方」を伝授しているはてなブログの専門家。アフィリエイトのやり方を教えるコミュニティを運営。 ブログサポート60のホームページを含め自身は複数のブログを運営している。 副業ブログセミナーを20回以上開催しており、受講生は約100名ほど。はてなブログに関するKindle本を6冊執筆。一般社団法人 日本ホリスティックニュートリション協会(JHNA)の理事長、ナターシャ・スタルヒン様のはてなブログをカスタマイズ。ラジオFMブルー湘南に出演し、ブログのノウハウを公開。オフ会を開催して交流の場を提供しており、開催は14回を超え雑誌の取材も受けている。

「起業家とはどんな人?」と聞くと、一般的には「仕事が出来て積極的な人」とイメージされる人が多いのではないでしょうか。Ⅰam編集部の私もそう感じているひとりです。

今回お話を聞かせて頂いた石黒敬太さんは、自身のブログ「ブログサポート60」の運営で成功し、ブログで稼ぐ方法を教える講師もされている起業家です。会社員時代の石黒さんは、一般的にイメージされる起業家とは異なり、”言われたことしかできない受け身社員”でした。仕事で上司からのキツいひとことをきっかけに「会社を辞めたい」と独立を決意。すると自分の中に大きな変化が生まれたといいます。

石黒さんは、「会社という組織に自分の居場所を見いだせず、人と歩調を合わすことが苦手、そういう人こそ独立をすべきです。」と語ってくれました。起業を目指すことで変わっていったご自身を振り返り、失敗を繰り返したとしても、どんな人でも起業はできる。その理由について伺いました。

上司から「部下史上、最も積極性がない」と言われて

石黒敬太
写真/shutterstock

会社員を辞めて起業をしようとする人には、「自分に合った職業を見つけた」や「今の給料よりもっと稼ぎたい」など、様々な理由があると思いますが、私の場合は「上司との折り合いが悪く、会社に行くのがつらかった」からでした。

起業前、当時の所属していた会社の部署は、同期と上司の3人のみ。同僚は仕事に関してはちょっと大雑把なところはあるものの、大きな声でハキハキ喋るので、上司にもお客さんにも受けがいい、私とは対象的なタイプでした。彼はまた上司のご機嫌を取るのもうまく、私はよく彼と比較されて「彼はこうやりたいと言ってきたぞ」「今まで部下を何人も持ってきたけれど、群を抜いて積極性がない」と上司に言われました。

私も色々とチャレンジしようと思うものの、上司から否定的な言葉を言われたことで、自分から動いて失敗したらどうしよう、怒られたらどうしよう……と考えるようになり、思うように動けない、自分らしく話せないという状態に陥っていました。

ただ、僕自身は人を笑わせることが好きだし、学生時代は“真面目だけどおもしろい奴”と言われていました。また、起業塾に通い出してからは自分をさらけ出して、積極的に塾生たちと話をすることもできていたので、あの部署の人間関係自体に苦手意識を持っていたのかもしれません。

そんな環境で縮こまってばかりいるのも嫌だと思って、その頃から通勤や移動時に、起業の関連本や動画をオーディオブックで聞くなどして、起業について学び始めました。もう“転職”という道を選んだとしても、会社に所属する以上、人間関係というしがらみからは逃げられないということが痛いほどよく分かっていましたから。

話は前後しますが、私はこの会社に転職してから間もなく、『ミニマリストのび太』という名前でブログを書き始めました。私自身、近藤麻理恵さんの『人生がときめく片づけの魔法』という本を読んで実際に断捨離をし、心の隙間が埋まったことから、“ミニマリスト”の良さを多くの人に広めたいと思ったのがきっかけでした。ただ、当時はあくまでも日記をつける感覚、趣味の範囲だったので、それで稼ごうという意識はまったくありませんでした。

そのブログが注目されだしたのが2016年頃。無印良品の商品を紹介した記事がアクセス数を伸ばしました。ちょうどその時期に“ミニマリスト”が流行し、その波に乗るような形で注目されたんだと思います。会社では同僚と比較されて自信を失っていた私でしたが、無印良品の記事はアクセス数が目に見えて増え、書くことがどんどん楽しくなっていき、気づけばブログで月2万円程度の収入を得るようになっていました。

ブログ「ミニマリストのび太」でビジネスを始めるが挫折

「起業しよう」と腹を決めたのは、運転中に上司からかかってきた電話がきっかけでした。当時、得意先のシステムの修理やメンテナンスの仕事がメインだったので、車での移動が多かったのですが、その運転中にしばしば上司から電話があり、すぐに出ないと「なんで電話に出ないんだ!」と、文句を言われるということが何度か続いていました。

その日も運転中に携帯が鳴り、近くのコンビニに車を停めて電話を折り返したら、「また休憩しているのか?」と言われ、今までの積もり積もった感情がついに爆発。「こんな会社に依存しないで生きていける手段を探そう」と決心して、その場で起業セミナーに入会し、それが出発点となり、私の生活が少しずつ変わり始めました。

それまでも何度か会社を辞めようと考えたことはありました。未知の世界で自分を試せるという部分で青年海外協力隊に興味を持ち、現地まで活動を見に行ったりしましたが、2回受験して合格できず……。ただもうその時点で“転職”という選択肢は頭になかったので、「起業以外に自分を生かせる場はない」と、すぐに入塾という具体的な行動をとったのだと思います。

入塾後、まず“何の事業で起業するか”を考えるにあたって、「自分が好きなことは何か」を洗い出すことから始めました。

私は小学生のときから大学まで卓球をしていたこともあり、「卓球をビジネスにできないか」と考えました。それで思いついたのがバッティングセンターの卓球バージョン。実際にそのマシンを導入しているところに通ってみましたが、職業にするほど卓球が好きではないことが分かり、撤退。

次に、「ミニマリストは物を多く持たない」という点に着目して、自分のブログ内でレンタルサービスをしようと考えました。その頃、ちょうどアクセス数が増えている時期でもあったので、「海外旅行で使う大きなバックパックやリュックを貸し出します」と出してみましたが、ひとりとして申込みがなく、あえなく挫折。

また、当時“民泊”が流行っていたので、無印良品の家具で統一したAirbnbを考えたこともありましたが、初期費用やランニングコストを考えたら回すのは難しいと判断して、不動産に行くこともせずに撤退。起業の難しさを感じる時期が続きました。

ブログ運営のサポートを職業としてやっていこう!

石黒敬太
写真/shutterstock

そんな試行錯誤を繰り返している間も、ブログの方は相変わらずアクセス数が多かったので、試しにミニマリストのオフ会を開いてみました。参加者がいるのか不安でしたが、初回は2人の方が参加してくれ、同じような考えの人とつながれるということがとても楽しくて、その後も14回開催しました。その間、小学館の『DIME』に取材・掲載されるということがあり、それもひとつの成功体験になりました。

さらにこのオフ会と並行して、無料のブログセミナーを開催したところ、最初のオフ会から参加されている方から「ブログを始めてみたいから、もう少し詳しく教えてほしい」と要望され、有料でセミナーを行なうことになりました。もちろん人に教えるのは初めての経験だったので、教材を作ったり、事前準備が必要でしたが、会社の仕事では感じたことがないくらい楽しかったんですね。「どうしたら分かりやすいかな」「これも教えた方がいいかな」ということを考えながら作業することが。結局、3000円で5時間、マンツーマンのセミナーになりましたが、その方が理解され、喜ぶ顔を直接見ることができたこと、その対価をいただけたこと、そしてそのセミナーをやり遂げたことに手応えを感じて、「このブログサポートを職業としてやっていこう!」と決めました。

目指す方向が決まったら、次は活動のベースとなるホームページ作り。私はこのホームページを作るためにお金を投資しました。会社員にとっては決して安くない額ですが、起業では基本的に最初にお金をバンと出して、後から回収するのがセオリーで、ホームページも最初にきちんとしたものを作らなければ、集客ができない。集客ができなければうまく回らないので、「身銭を切ってでも集客できる、いいものを作らなければいけない」ということを起業塾で学びました。私はもともと節約志向でしたが、そのセオリーに従って私にとって小さくない額を投入することによって、「元をとってやろう」と腹が据わり、より起業に前向きになることができて、ホームページにかけた費用を回収することができました。

会社員とのダブルワーク、これと決めたらあとはひたすら行動

ホームページが完成してからしばらくは、会社員をしながらのダブルワーク状態でした。セミナーは月1回、定員5名ぐらいで開催していたのですが、半年ほどで毎回満席となる状態に。さらにビジネスモデルを強化するために、動画サポートも開始。You Tube配信で集客→ホームページに誘導→メルマガに登録してもらう→有料のセミナーを案内する、というような流れを作り、これが結果的にいい流れを加速することになりました。

副業が軌道に乗って気持ち的には充実していく反面、プライベートの時間は削られ、常に時間に追われるようになりました。というのも、独立する前は睡眠時間の確保にすら苦労したためです。満員電車が苦手だったので、朝5時前に起きて出勤し、会社の休憩室や近くのカフェでセミナー準備。家に帰ってからサポート業務をするので就寝は12時前後、それが無理なときは会社の近くに泊まるという生活をしていましたから。

ただ、セミナーにしてもYouTubeにしても、直にフィードバックをもらえるというのが、今まで味わったことのない感覚で、どんなに忙しくても楽しく作業をすることができました。もちろんいいコメントばかりではありません。しかし、その辛口コメントによって自分のコンテンツをよりよい方向にもっていける、高められると思えるので、素直に取り入れられました。

会社での仕事は基本的にメンテナンスで、壊れたものを元に戻す、マイナスをゼロにする作業だったので、感謝されることは多くありませんでした。お客様からしてみたら「メンテナンス費用を払っているのだから、修理するのは当たり前」なので、当然と言えば当然なんですが。そういう面でも、気持ちはどんどん副業の方に傾いていきました。

副業の収益が会社員の年収を上回り、独立

石黒敬太
写真/shutterstock

副業を始めたことによって、会社での私の態度にも変化が表れてきました。副業で稼げるようになって自信がつき、いつでも会社が辞められると思えるようになったことで、会社に行くのがすごくラクになり、今までカッとなっていたような場面でも、冷静になれるようになったのです。「自分には会社の他にも選択肢がある」「自分を必要と思ってくれる人たちがいる」と思えるようになったことで、あれだけ苦手にしていた職場の人間関係も、それほど気にならなっていきました。上司にも自分の意見も言えるようにもなりました。

起業塾では毎月1回勉強会があり、そこで1ヶ月間の成果発表をする機会が設けられていましたが、私は毎回必ず発表していました。塾の中ではかなり目立つ部類で、会社での自分とは真逆のキャラクター。そうやって興味のあること、起業という同じ目標を持つライバルたちと切磋琢磨していくなかで、会社で失いかけていた、本来の自分の持っていた性格がすんなり出せるようになっていったのかもしれません。

こうやってブログサポートで収益が上げられるようになり、最終的に会社を辞めて独立したのは、起業塾に入ってから3年目。副業分の確定申告をしたときに、会社員の年収を超えていたことがきっかけでした。収入面に重点を置いたら、そのままダブルワークで稼ぐという道もありましたが、私は自分のために時間を使うことを優先しました。

また、“会社員”に飽きていたという面もあったと思います。もちろん同じ会社員という立場でも自分で何かアイディアを思いついて、それを行動につなげられる人もいると思います。会社員としての私は言われたことしかできない、融通の効かない人間でした。でもブロガーやセミナーの講師としての私は、自分で考えて行動することができる。思いついたことをすぐに行動に移せることも楽しいし、仮に失敗しても落ち込むのではなく、「ここを改善すればいい」と考えられる。それなのに、上司の顔色を伺い、自分から動くことができない会社員を長く続ける意味はありませんから。

起業の出発点はネガティブだったけれど、今は人を喜ばせたい

私の起業の発端は上司の理不尽な一言でしたが、きっかけは何でもいいんだと思います。何か始めたいと思ったら、まず自分の好きなことや得意なことで身近な人に喜んでもらうこと。その第一歩を踏み出すことが、起業のきっかけになります。人に喜んでもらうこと、感謝されること、何より自分が楽しいと思えることが、継続の原動力になります。

起業のヒントは、自分の気持ちが動くような体験をすること。小さくてもいいから、自分の得意なことで喜んでもらう体験を積み重ねていくことで、試行錯誤を繰り返し、ブラッシュアップされ、ビジネスへ発展する可能性につながると思います。

自分に合わない職場や人間関係で思い悩み、自分自身が苦しいと思ったら、自分の好きなこと、続けてきたことを振り返ってみることは、すごく意味があると思います。私にとってずっと続けてきたブログがそうだったように、苦と思わずに続けてきたことは自分にとって資産です。会社の収入だけでなく、他に収入の柱が1つでもあると、会社員に固執する気持ちが消え、気持ちに余裕が生まれます。それがもし起業とつながらなかったとしても、自信を取り戻すきっかけになり、もう一度人生を考え直す機会になってくれると思いますから。

取材/I am編集部
写真/本人提供
文/岡田マキ

この記事を書いた人

岡田 マキ
岡田 マキライティング
ノリで音大を受験、進学して以来、「迷ったら面白い方へ」をモットーに、専門性を持たない行き当たりばったりのライターとして活動。強み:人の行動や言動の分析と対応。とくに世間から奇人と呼ばれる人が好物。弱み:気が乗らないと動けない、動かない。

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