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SNS発の猫写真家のファンづくりと継続のために必要な「原点」って?

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外猫の「変な」写真で差別化 空前の猫ブームに現れた、異色の外猫写真家、沖昌之さん。大きなカメラバックを抱え、ややうつむき加減にぼそぼそと話す姿からは、一瞬「猫」がイメージできませんでした。 「猫、怖がらないのかな?」とい […]

沖昌之

プロフィール

猫写真家沖昌之

写真集『必死すぎるネコ』が大ヒット、猫ブームの中で一線を画する猫写真家として活躍。きっかけはアパレル店員時代に失恋、仕事の不調に落ち込んでいた時に出会った一匹の外猫。コネなし、金なし、スキルなしから、写真家として独立、『ぶさにゃん』『残念すぎるネコ』など、かわいくないのに愛おしい猫たちの姿を写真に収め続けている。

外猫の「変な」写真で差別化

空前の猫ブームに現れた、異色の外猫写真家、沖昌之さん。大きなカメラバックを抱え、ややうつむき加減にぼそぼそと話す姿からは、一瞬「猫」がイメージできませんでした。

「猫、怖がらないのかな?」という風貌の沖さんですが、猫の中でも最も難易度の高い外猫が被写体。外猫は非常に警戒心が強く、コミュニケーションを取れるようになるまでに時間がかかります。

そんな猫たちの野性味あふれる、まるで人間かのような表情やしぐさをシャッターに収め続け、それがブログやSNSで話題になって、今では写真集だけで16冊も出版。

『必死すぎるネコ』『残念すぎるネコ』など、タイトルからして、エッジの効いた写真が期待できます。

実際、めちゃくちゃ面白い。「よくこんな写真撮りましたね!」というような写真ばかりです。

失恋、仕事の不調、絶望からの光明

しかしここまでの道のりは平たんではなかったといいます。写真家になる前はファッションが好きでアパレル店員をしていた沖さん。関西出身ですが、彼女とともに上京、この恋は成就することはありませんでした。失意の日々に悪いことは重なるもので、仕事でもうまくいかず社長からは怒られ、慣れない東京の街で絶望を抱えていたといいます。

そんなある日、昼休みに公園でぼーっとしていたら一匹の外猫に出会ったのです。なんともいえないぶさいくな猫。「ぶさにゃん先輩。」と名付け、その日を境に毎日、ぶさにゃん先輩。を写真に収める日々が始まったのです。

最初は鬱屈とした気分を癒してくれるものでしたが、次第に写真を通して猫の表情や行動などの奥深さと面白さにのめりこんでいったといいます。

ネットでつながったファンが、リアルで応援してくれる

これが2014年の1月のこと。おりしも猫ブームの兆しが見えるころでした。まずは猫写真をInstagramに投稿。手ごたえを感じ、思い切って独立。2015年からブログ「野良ねこちゃんねる。」を開設。撮った写真をブログに投稿し始めたことで、独特の世界観の猫写真への反応が高まってきました。

現在、Instagramは28.3万フォロワー。日本だけでなくアジア圏のファンも増えていったと言います。Twitterのフォロワーは現在4.5万人。

写真という特性上、ビジュアルを見せることに強いInstagramのほうがフォロワー数が多い。しかし、どのSNSでも心掛けていることは「ネットはリアルと同じ。そこにちゃんと見てくれる人がいる」という感覚。

その積み重ねが、個展やイベント、出版の際に、リアルなファンとして助けてくれる、応援してくれると言います。

情報発信だけでなく、相互のコミュニケーションを大事にしているといいます。いいツイートがあったら「いいね」をするし、リツイートをするなど、見られることだけを目指すのではなく、積極的に自分も見に行く。そこでコミュニケーションが生まれて、ファンができるといいます。

また、いつどこで、どんなことでバズるかわからないのがネットの世界。過去記事であっても、過去のツイートであっても、どんな媒体でも、どんな小さな記事でも、大事にするということを肝に銘じているといいます。

「撮影だけでは食えない」けど、撮影がすべて

猫ブームは完全に定着し、全国で様々なイベントや展示会が行われ、写真集だけでなくグッズ販売など、これまでなかった盛り上がりを見せています。

「撮影だけでは食えない」写真家にとって、物販は貴重な収益源です。最近では簡単にグッズも作れますが、写真家という軸から絶対にぶれない道を選んだといいます。

写真集を作ったり、個展を開催しても、グッズを自分で作ったり販売することほとんど行いません。「作れば売れるかもしれません。でも、僕は猫さんの写真を撮るのが仕事なんですよね」とさらりと言う。

つまり、猫によって写真家として生業を立てている。だから、本気で写真を撮らせていただくことが、最優先事項だと言います。

写真家として独立してからも、決してすごく稼いでいるわけではなく、時には前職の会社でアルバイトをしながら、写真家としての活動を続けてきた。駆け出しのころは、「家賃が払えない」「いつもお金の心配ばかりしている」状態だったといいますが、何かあるたびに、絶望の淵で救われたぶさにゃん先輩。との出会い、自分が写真家になると覚悟を決めた「原点」に立ち返る。

そんな「原点」を持つことが、独立や起業、フリーランスには必要なのではないか、とメッセージを送ってくれました。

取材・文/I am編集部
写真/本人提供

この記事を書いた人

I am 編集部
I am 編集部
「好きや得意」を仕事に――新しい働き方、自分らしい働き方を目指すバブル(の香りを少し知ってる)、ミレニアム、Z世代の女性3人の編集部です。これからは仕事の対価として給与をもらうだけでなく「自分の価値をお金に変える」という、「こんなことがあったらいいな!」を実現するためのナレッジを発信していきます。

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