自営業の家庭が育んだ「能動的な働き方」とは? 小説家・額賀澪の小説家の条件

「書くこと」の原体験はどこにあるのか?本を読まない家庭で育った彼女が、なぜ小説家になったのか。ディズニーやジブリ、そして仲間が育んだ情熱の物語。
「書くこと」の原体験はどこにあるのか?本を読まない家庭で育った彼女が、なぜ小説家になったのか。ディズニーやジブリ、そして仲間が育んだ情熱の物語。
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自営業の家庭が育んだ「能動的な働き方」
額賀さんのご両親や祖父母は、皆自宅で働く自営業者だった。その姿を見ながら育ったことが、彼女の「フリーランス」という働き方の土台になったと語る。「仕事を自分で生み出す」という感覚や、能動的に働く姿勢は、幼少期に自然と身についたものだった。
また、両親が忙しい中でも子どもに退屈させないようにと、ビデオをたくさん買ってくれたことも、後の創作活動に大きな影響を与えている。特に、ディズニーやジブリ作品は、セリフをそらんじるほど何度も見返したという。緻密に計算されたジブリ作品は、彼女のものづくりに対する視点を養った。
人生を変えた『ハリーポッター』と『耳をすませば』
活字に触れたのは、意外にも遅かった。小学2年生の時に出会った『ハリーポッターと賢者の石』が、彼女を本の世界へと引き込んだ最初の一冊だった。同世代の主人公ハリーと一緒に歳を重ねるように物語を読み進めた経験は、彼女の世代にとって特別なファンタジーとなり、活字への情熱を燃え上がらせた。
さらに、決定的な転機となったのが、ジブリの**『耳をすませば』**だった。主人公が小説を書く姿を見て、「小説って読むだけじゃなくて、自分で書くのもありなんだ」と気づいたという。この気づきが、彼女を「書く人」へと導く第一歩となった。
「書き上げる力」と「仲間」の重要性
小説家になるための絶対条件は、文章力や面白さよりも「書き上げられるかどうか」だと額賀さんは断言する。これは、大学で文芸創作の授業を担当する彼女が、学生たちに口を酸っぱくして伝えていることだ。「無理やりでもいいから、終わらせる!」という彼女の言葉には、才能よりも、地道な努力と最後までやり切る力の大切さが込められている。
また、小説家という孤独な職業において、**「小説について話せる仲間がいること」**も重要だと語る。高校時代は孤独だったが、大学で文芸学科に通い、「小説を書いている」ことをオープンに語り合える仲間と出会えたことが、彼女の創作活動を支える大きな力となった。
「好きなことを仕事にするということは、好きじゃないことをいろいろやらなきゃいけないからね」と学生に伝える額賀さん。苦手な人との対話や、お金の管理など、一見創作とは関係ないようなことも、すべてが仕事の一部だ。しかし、そうした現実に向き合うことで、好きなことを仕事として続けられるのだと、彼女は教えてくれる。
取材/MARU
編集/webメディア I am編集部
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この記事を書いた人

- 「好きや得意」を仕事に――新しい働き方、自分らしい働き方を目指すバブル(の香りを少し知ってる)、ミレニアム、Z世代の女性3人の編集部です。これからは仕事の対価として給与をもらうだけでなく「自分の価値をお金に変える」という、「こんなことがあったらいいな!」を実現するためのナレッジを発信していきます。