アドラー心理学カウンセラーが教える部下とうまくコミュニケーションを取る方法

部下とうまくコミュニケーションを取るにはどうしたらいいのでしょうか?岩井俊憲氏の著書『人間関係が楽になるアドラーの教え』(大和書房刊)から職場での人間関係の改善方法を学びます。

プロフィール
アドラー心理学カウンセリング指導者岩井俊憲
管理職として部下を指導する立場になったとき、悩むのが部下との接し方。部下がミスをしたときに注意をしても聞く耳を持たず、人間関係が悪化してしまう、と悩んでいる管理職は多いものです。部下を褒めすぎても叱りすぎても自分の思い通りに動いてくれるとは限りません。では、どのように部下と接していけば良いのでしょうか。
岩井俊憲氏の『人間関係が楽になるアドラーの教え』(大和書房刊)は、アドラー心理学をベースにした人間関係が楽になる方法を、著者自身の豊富なカウンセラー経験より解説しています。部下とうまくやるためのコミュニケーション方法を本書から学びます。
目次
部下を褒めるのではなく、勇気づける
職場では上司が部下を褒める場面があります。褒められると部下はやる気を出して生産性を上げようと努力をします。しかし、常に部下を褒めるのは正しい行動でしょうか?
「褒める」のは、「人が相手を操作するための行為」であり、そこには上下関係が前提としてあると岩井氏は言います。
常に部下が上司に褒められると以下のようなデメリットがあります。
・褒め始めたらやり続けなければいけない
・褒めるレベルを徐々に高めないと効果が薄れる
・絶えず指示や監視を続けなければいけない
褒めてばかりいると部下は自発的に行動しなくなり、上司が変わった途端、行動しなくなります。
褒める代わりに効果的なのが部下を勇気づけることです。「勇気づけ」には、「部下に感謝の言葉を伝える」「ダメ出しではなくヨイ出しをする」があります。続いて勇気づけについて詳しくみていきましょう。
部下に感謝の言葉を伝える
まずは、部下に感謝の言葉を伝えましょう。たとえば部下が良いアイデアや提案を出してきたときなど、感謝の材料はいくらでもあるはずです。また、感謝は褒めるよりはるかに効果がある勇気づけです。
直接言葉をかけるのも効果的ですが、メールのように記録として残る方法で感謝を伝えると、絶大な効果があります。
岩井氏は本書の中で、「記録として残る方法で感謝を伝えると、何度も読み返され、相手に繰り返し再生される効果があります」と言っています。
部下に感謝することによって、部下のモチベーションも上がり、ひいてはミスも減っていくでしょう。
ダメ出しではなくヨイ出しをする
あなたは普段、ミーティングや会議、報告や連絡、相談の場で部下に対しダメ出しばかりしていませんか?
たとえば、以下のような言葉を部下に投げつけると、部下は萎縮してしまうでしょう。
「全然ダメだ。やり直してこい」
「お前が考えろ」
「まだわからないのか。前と一緒じゃないか」
「まったくダメだな。お前本当に大学を出ているのか?」
岩井氏によると、こうした会話は典型的な「勇気くじき」の例だそうです。人間関係でうまくいかない場合は、上司が部下に対し勇気くじきをしています。勇気くじきをしてしまうのは自分に自信がないためであり、他人を攻撃してしまうのです。
では、ダメ出しをせずに部下に言うにはどうすれば良いのでしょうか? それがダメ出しとは正反対の「ヨイ出し」です。
岩井氏は本書の中で「ヨイ出しは、見返りや服従を求めません。そして、相手を評価したり、操作したりする効果が少ない点も褒めとは全く違う点です」と述べています。
部下に対しては相手の長所に目を向けて、良い行動であると言葉に出して伝えましょう。今後の部下との人間関係もきっと変わっていくはずです。
「なぜなぜ攻撃」をやめて、勇気づける
あなたは部下が失敗したとき、以下のように「なぜなぜ攻撃」をしていませんか?
「なんで一日遅くなったんだ?」
「なんでミスしたかを聞いてるんだよ」
「なんで君だけミスが頻発するの?」
こんな風に責められてばかりいると部下はやる気をなくし、二度とチャレンジしたいとは思わないでしょう。それどころか、部下との人間関係もギクシャクしてしまいます。
岩井氏は以下のように部下に対し建設的な言葉をかける方が良いとしています。
「今回は失敗だったけれど、あんな難しい仕事に挑戦したんだもんね」
「君は失敗から何を学んだのかな」
「なぜなぜ攻撃」をするのではなく、未来の目標に向け、失敗体験を生かすような勇気づけをしましょう。
この記事では、岩井俊憲氏著『人間関係が楽になるアドラーの教え』から、人間関係が楽になる方法を要約・抜粋してご紹介しました。
部下とうまくコミュニケーションを取る方法をぜひ実践してみてください。
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この記事を書いた人

- IT人文好きライター
- うさぎと北欧を愛するライター。元Webデザイナー。インタビュー取材やコラムを執筆。強み:好奇心旺盛なところ。失敗してもへこたれないところ。弱み:事務作業が苦手。確定申告の時期はブルーに。
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