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親子で哲学対話ー学びの根底「思考力」「言語力」「コミュニケーション力」こそ家庭教育の強み

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子育て世代必読の書! 哲学者であり教育学者の苫野一徳氏が自らの経験をもとに上梓した『親子で哲学対話−10分からはじめる「本質を考える」レッスン』とは?

今話題の哲学対話ですが、家庭での対話にフォーカスした「親子で哲学対話」をご存知でしょうか。哲学者の苫野一徳氏の『親子で哲学対話−10分からはじめる「本質を考える」レッスン』(大和書房刊)は小学生5年生の長女との対話20編をはじめ、哲学対話についてわかりやすく解説した内容となっています。2024年度の道徳の授業でも取り入れられた「哲学対話」とはいったいどんなものなのでしょうか?

『親子で哲学対話ー10分からはじめる「本質を考える」レッスン』苫野一徳著

ほんとうはすごい子どもの思考力

「小学生と哲学的な対話なんてできるの?」と思う人も多いかもしれませんが、著者の苫野氏によると「子どもの思考力と対話力をあなどってはいけない」。

親子の哲学対話そのものは小学生低学年から中学生までが対象ですが、大人にとってもこの哲学対話は人生を生き抜く知恵として非常に有用といえます。

さてこの本の冒頭にはこのようにあります。

 「かわいい」ってどういうこと?
 「大人」ってどんな人?
 「幸せ」って何?
 子どもから何気なく投げかけられるギモンに、
 うまく答えられなかった経験はありませんか?
 コツさえつかめば、親子の気負いない会話の中で、
 ちゃんと〝答え〞を見つけられる方法があります。
 親子で哲学対話。
 それは、夕食のあとや散歩中、
 寝る前などに、一〇分くらい、
 こうした問いに〝答え〞を見つけあっていくひとときです。
 きっと宝物のような時間を、
 ともに過ごすことができるにちがいありません。

「哲学対話」って何?

子どもはあっというまに大きくなってしまいます。だからこそ、子どもとの対話の時間は宝物だと著者は説きます。そしてその対話の時間が、思考力や言語力、本質を見抜く力を長きにわたって培うことができる。

哲学対話とは「本質観取(ほんしつかんしゅ)=ものごとの本質を言葉にして編み上げていく哲学の思考法です。

本質観取というと、何やら難しそうな感じがしますが、例えば
「学びとは何か?」
「友達とは何か?」
「かわいいとは何か」
という問いに対して、対話によって「共通了解」を探すというものです。

親と子どもの「哲学対話」

少し長くなりますが、本文より一部を抜粋します。父40歳と娘小学5年の実際の会話がこちら。

娘  「うん。おいしいものを食べてるときでしょ、好きな絵を描いているときでしょ、あと、好きな人と一緒にいるとき……」
父  「うんうん、つまり、パパとこうして……」
娘  「(無視して、かぶせて、)あ、でも好きな人といるときは、〝幸せ〞っていうより〝うれしい〞って感じかな」
父 「なるほど。何がちがうんだろう?」
娘 「〝うれしい〞よりレベルが高いのが〝幸せ〞なのかな」
父 「たしかに」
娘 「でも、おいしいものを食べてるときって、〝うれしい〞よりレベル高いのかな。もうちょっとささやかな感じもする。あ、そういえば、ささやかな幸せっていい方もするよね」

これは「幸せとは何か?」をテーマにした哲学対話です。子どもと交わす何気ない会話も、意図を持って向き合うことで哲学的思考、「幸せの本質」に迫ることができます。

対話のきっかけは、子どものふとした言葉や親に投げかけてくる疑問や質問でいいと言います。

「哲学対話」で解決できる難問とは?

話は変わりますが、この問いに答えることはできますか?

□勉強するのはなんのため?
□仕返しは悪いこと?
□よい社会とは?
□優しさって?
□神様の神様はだれ?
□友達ってなに?
□恥ずかしさとは?

果たして、これらの問いに正解はあるのでしょうか? 哲学的には絶対的な正解や真理はありません。

「答え」がなければ、何のためにこれらの問いを立てる意味がなくなってしまいます。哲学対話は「答え」ではなく「共通了解」を見つけるためのものです。

この「共通了解」を見つけるプロセスそのものが、思考力や言語力を高めることです。

8年前から哲学対話の場を設け、哲学学徒だけでなく、企業の経営者、教育の場で子どもたちとの対話を行なってきた苫野氏。この『親子で哲学対話』を上梓するきっかけとなったのは、長女の不登校でした。

『親子で哲学対話ー10分からはじめる「本質を考える」レッスン』本文より

「9歳、人生に悩む」とあるように、当時9歳だった長女が「私、学校を辞める」と決断したのです。半年の不登校を経て、学校に戻ることになりますが、それをきっかけに親子で哲学対話が始まったといいます。

その時の実際の20の対話とともに、親子でできる哲学対話の方法やコツなどがわかりやすく解説されています。

「哲学対話」の効果とは?

40歳と小5の会話からわかることは、子どもは驚くほど、よく見て、深く考えているということ。対話することで育まれる思考力や言語力。

哲学対話は親子で「本質を考える」レッスン。哲学対話のファシリテーションに必要なコツも書かれているので、家庭教育だけでなく教育関係者にとっても役立つ書と言えるでしょう。

子どもとの対話の時間が大事なのは理解できる、でも、学校や塾、もしかしたら受験を考えている家庭も多いかもしれません。

「目の前の勉強だけで精一杯」というのが本音かもしれません。でも、哲学対話のメリットは計り知れません。

・思考力を高める
・言語力が身につく
・コミュニケーションが高まる
・自分を深く知る
・本質を見抜く
・民主主義を経験できる

親子の対話で目の前の勉強だけでなく、人生を生き抜く力を身につけることができる哲学対話。10分だけ子どもと、人生の問いに向き合ってみませんか?

この記事を書いた人

I am 編集部
I am 編集部
「好きや得意」を仕事に――新しい働き方、自分らしい働き方を目指すバブル(の香りを少し知ってる)、ミレニアム、Z世代の女性3人の編集部です。これからは仕事の対価として給与をもらうだけでなく「自分の価値をお金に変える」という、「こんなことがあったらいいな!」を実現するためのナレッジを発信していきます。

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