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タニタ研究員の「ダイエットで人生変える」授業出世する人は食べている?タニタ研究員が教える「出世魚」のはなし

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成長とともに呼び名を変えながら価値を上げる、縁起の良い「出世魚」。季節ごとに旬の出世魚とその栄養をご紹介します。

「出世」とは世にとって“たよりになる存在”に変化したさま

「出世」とは、一般的には組織の中での地位や役職などで昇進する過程を指すことが多いですが、さまざまな場面で多様性が重視される昨今、私は出世の意味するところも「組織」や「役職」だけではないと思っています。

個人で働く方や、役職には関係なくマイペースに動くような働き方の人にとっても、出世とは、周囲に醸し出す「印象・存在感の成長」を意味する言葉、すなわち、世にとって“たよりになる存在”に変化したさまを表す言葉だと解釈しています。

「この人がいてくれると助かる」「この依頼はこの人に頼みたい」という頼れる存在へと変わっていくこと、小さな世界でも良いので存在価値を認められることこそが、世に出る=「出世」なのではないかなと思います。

……なーんて、ちょっとカッコつけて書きましたが、実は私自身が変わり者のマイペース人間で、マネジメントが得意ではなく、苦しんだ時期が長かったのです。そこで、自分に合わない立場でいることはやめて「世の中にとって『頼りになる』を目指そう!」と、個人事業主になり……この言葉も自分に都合よく捻って解釈するようになった、というのが本当のところなのですが(笑)。

今の世の中、組織での役職や社会的地位だけが評価基準ではありません。それらを目指してスキルを磨き努力することはいつの時代も素晴らしいですが、軽やかにさまざまな世界に関わり、周囲に良い影響を与える力を身につけることは、時代に合ったスタイルと言えるところもあるのではないかなぁ、とも考えています。

そのため、今回私が「出世」と書いているのは、役職や地位のことだけを指すのではなく、周囲から頼れる存在として一目置かれるようになる「存在感の価値UP」のことだとイメージしながらこのコラムを読んでみてくださいね。

出世魚を食べると出世に繋がる?

出世魚とは、成長するにしたがって呼び名が変わる魚のこと。江戸時代までの武士の慣習(元服を迎えると、幼少期の名から大人の名前に変える習わし)がそのいわれとされています。

ただ、成長とともに呼び名が変わればそれはすべて出世魚、というわけではありません。呼び名が変わるごとに「価値が上がる」「縁起が良く痛みにくい」ということも大事な条件のようです。

例えば寿司ネタとしてなじみのある「コハダ」は、「シンコ(関西ではツナシ)」→「コハダ」→「ナカズミ」→「コノシロ」と成長にしたがって呼び名が変わります。しかし、小さい時の方が柔らかくておいしいとされており、成長にしたがって小骨が多くなって扱いにくくなり、価値が下がってしまう印象があることから「出世魚」ではない、とう説もあります。

私の大好物、イワシも呼び名が変わりながら成長しますが、鮮度が落ちるスピードがはやいことから「長持ちしない」ということで出世魚の仲間には入れてもらえないようです。

「出世」が努力や実力によって周囲から一目置かれる存在感になることと同様に、ただ単に大きくなって名前が変わるだけではダメなんですね。

気分を盛り上げたい時やおもてなしにも。季節ごとの代表的な出世魚と栄養

成長とともに呼び名を変えながら価値を上げる縁起の良い「出世魚」。ちょっとした節目に自分自身を勇気づけるため、あるいは、お客様をもてなすときなどに上手に取り入れて場を盛り上げる小道具のように使っても良さそうですよね。

季節ごとに旬の出世魚をご紹介しますので、「気分を盛り上げたい」と思い立ったそのときに、季節に合わせて活用してみてください。今なら断然、寒ブリですね!

冬:ブリ

 出世魚として良く知られた魚なのではないでしょうか。幼魚から成魚ブリに向かってどんどん脂ののりがよくなり、旨みも増します。「寒ブリ」と言われるように冬がもっともおいしいとされています。

呼び名については地域によって色々あるようですが

関東では… 「モジャコ」 → 「ワカシ」 → 「イナダ」 → 「ワラサ」 → 「ブリ」

関西では… 「モジャコ」 → 「ツバス」 → 「ハマチ」→ 「メジロ」 → 「ブリ」

 という変化が一般的です。「ハマチ」は関東でも使いますね。

脂ののったブリはお刺身がとっても美味しいですが、お刺身だけでなく、照り焼き、バター焼き、煮付け、ブリしゃぶも絶品ですよね。

【ブリの栄養】 筋肉・骨量UP、貧血予防、血行促進、動脈硬化予防、肝機能強化、認知症予防

春:サワラ

サワラは漢字で「鰆」……まさに春の魚。春を告げる祝い魚として古くから重宝されてきたそうで、俳句の世界では「春の季語」として登録されています。冬の鰆も脂がのっていて美味しいので、冬から春にかけて良く食べられるお魚です。

サワラの呼び名の変化は

関東では…「サゴチ」→「ナギ」→「サワラ」

関西では…「サゴチ」→「ヤナギ」→「サワラ」

サワラの美味しい食べ方で有名なのはなんといっても西京味噌を使った西京焼きです!シンプルに塩だけで焼いた塩焼きもふっくらしてとってもおいしいですし、もちろんお刺身も「刺身の王様」と言われるほどのおいしさです。

【サワラの栄養】 むくみ改善、高血圧予防、美肌効果、血行促進、動脈硬化予防、認知症予防

夏:スズキ

スズキもブリと同様、出世魚としては良く知られていますよね。冬のヒラメ、春のマダイと並ぶ、夏を代表する魚。あっさりした白身がとても美味しいですよね。

呼び名の変化は

関東では… 「コッパ」  →  「セイゴ 」 →  「フッコ 」 → 「スズキ」

関西では… 「コッパ」 → 「セイゴ 」→「 ハネ」 → 「スズキ」

釣りをする人達の間では「シーバス」という名前でも親しまれています。

夏のスズキはそのままでじゅうぶん美味しいので、もちろんお刺身もおすすめですが、さっぱりしていてクセが無いのでいろんな料理と相性が良いのです。香ばしく焼いて野菜と煮込むアクアパッツァにしたり、ホイル焼きやムニエルにしてお好みのソースをかけるのも美味しいですよね!!なんといっても低脂肪・高たんぱくなので、ダイエットやボディメイクの強い味方になります。

【スズキの栄養】 肌のターンオーバー促進(しわ・たるみ予防)、免疫機能サポート、眼精疲労回復、脂肪燃焼、筋肉・骨量UP

秋:クロダイ

関西では「チヌ」という呼び名が一般的ですね。秋から冬までが美味しいとされています。成長につれて呼び名が変わることでも知られていますが、最終的な呼び名も関東と関西では違っています。

関東…「チン」→「チンチン」→「カイズ・ケイズ」→「クロダイ」

関西…「チン」→「ババタレ」→「チヌ」→「オオスケ」

旬の時期のお刺身はもちろん、炙って「炙りたたき」にしても美味しいです。塩焼きや煮つけ、ムニエルやカルパッチョにしても良いですね!スズキと同様、低脂肪・高たんぱくなのでダイエットやボディメイクのおともに美味しく役立ててください。

【クロダイの栄養】 肌のターンオーバー促進(しわ・たるみ予防)、免疫機能サポート、眼精疲労回復、脂肪燃焼、筋肉・骨量UP

縁起の良いものを食べて気分高めよう

皆さま、これから「年度末」という恐怖の多忙シーズンが待ち受けていますが……新たな年度への切り替わりを見据え、「なりたい自分」へと一歩でも近づくべく、栄養価が高く縁起の良いものを食べながら気分も軽やかに乗り越えて行きましょう!

大丈夫!食べた栄養はしっかりあなたの身体の土台を作ります。その健やかな土台はきっとあなたの努力が実を結ぶことを助けるはずです。

執筆/西澤美幸

参考:釣り情報&釣りニュースサイト「FISHING JAPAN」

https://fishingjapan.jp/fishing/10777

この記事を書いた人

西澤美幸
西澤美幸株式会社タニタ 開発部主席研究員 栄養士
1968年生まれ。横浜国立大学在学中よりタニタの体脂肪計のプロジェクトチームに参加。入社後は、世界初の乗るだけではかれる体脂肪計や体組成計、活動量計などの開発に携わり、機器の要となる計測の回帰式や判定アルゴリズム作成を担う。
29歳で社内初の技術系女性課長に就任し38歳で出産。栄養士の資格も有し文部科学省の食育有識者会議委員を務めるなど、さまざまな計測データを健康づくりに活かす提案を行い、栄養士と技術者の2つの視点から多数のセミナーの講師も担当している。

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