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夫の扶養に入っている50代女性が103万円の壁を超えて稼ぐための4つのステップ

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育児が終わって「フルで働きたい」とセカンドキャリアを考える既婚の4、50代女性の足枷となっている「103万円の壁」について50代の女性弁護士で女性の人生やキャリアなどについてもアドバイスを行う「人生開花コンサルタント」として活躍している中原都実子さんが伝授する、自分人生の軸を取り戻す方法とは?

「夫の扶養に入っているので年間103万円以上働けません」というような声を聞いたことはありませんか? いわゆる「103万円の壁」は、4、50代女性の可能性に蓋をしてしまっていることがあります。弁護士で女性のキャリアなどについてもアドバイスを行っている中原都実子さんに聞く50代女性がセカンドキャリアを成功させる方法の前編。「103万円の壁」を超えられない理由と超えた方がいい理由、超えるための一歩の踏み出し方を教えてもらいました。

50代女性が103万円の壁が越えられない理由を知る

こんにちは。弁護士で人生やキャリアのコンサルタントをしている中原都実子です。私は大学卒業後大手金融会社に勤務し、28歳で法律家を志しました。32歳で弁護士になり、様々なカウンセリング手法やゲシュタルト療法などを学び、現在は、法律知識や弁護士としての経験や知識、自分自身が働き方や生き方を模索した経験、心理療法の手法などを組み合わせて多くの女性のキャリア相談にも乗っています。

今回は、私が法律相談やカウンセリングの場で見てきた女性たちの独立や自己実現への道を妨げている「103万円の壁」についてお話ししたいと思います。

共働きが当然で、女性も自由に仕事が選べる現在とは違い、今の50代というと、一般職で会社に入って結婚して仕事を辞めて長らく専業主婦だったという人も多いですよね。だから、「夫の扶養に入っています」という人も多いのですが、一度扶養に入ってしまった人は不思議と扶養控除の範囲が縮小されることへの恐怖心に苛まれる傾向があります。実は私も20代半ばで結婚した時は夫の扶養に入っていましたから、この感覚はよくわかります。

あくまで私の肌感覚ですが、40代以上の既婚者で、パートで働く人のうち6割くらいはこの103万円の壁に囚われているという感覚があります。そういう人は個人で起業して「開業届」を出すことにも戸惑いがあることが多いように思います。その理由を掘り下げていくと、「確定申告が怖い」に行き着くことがほとんど。「やったことがないことが怖い」というのは誰にでもある感覚ですが、「お金を稼ぎたい」「好きなことで成功したい」を妨げるのが「税金払うのが怖い」だと本末転倒。税金が払えると言うことは、それだけ稼いでいると考える方が前向きです。

50代女性が103万円の壁を超えたほうがいい理由を知る

では、ここで、改めて103万円の壁について考えてみましょう。

パートで働く人の配偶者控除は、2018年の税制改正によって「103万円を超えると扶養控除が適用されなくなり手取りが減るという従来問題視されていた事象」が解消されています。そして、配偶者特別控除の満額が適用されるのは年収150万円までなのですが、これを知らない方も少なくないと思います。

実は収入に対する壁というのはいくつも段階があるのですが、税金の仕組みを調べる前に、とにかく「103万円以上働いちゃダメ」、というイメージを持ってしまっているのではないでしょうか。

多くの女性の自立や心のサポートをしてきた経験から、私は、個人起業関連の広告によくある「月収100万円を超えるには!」という売り文句に飛びついてしまう背景にはこの「103万円の幻の壁」があると思っています。「100万円」が、配偶者控除の枠という壁を一撃で壊してくれそうな、つまり、自分が出るに出られない「100万円」の安全地帯を出るための魔法の杖が手に入りそうな、甘い期待を持ってしまうのですね。

では、配偶者特別控除から自由になるためにいくら稼げばいいのかというと、パート先の社会保険に加入する場合はパートの給与収入が130万円を超えると手取り額が減少しますから、150万以上を目指す。国民保険と国民年金に自身で加入する必要があるなら給与収入約170万円以上を目指すことが目標となります。月収14万2000円程度を稼げるなら扶養から飛び出してOKですし、それ以上稼げるのなら、税金を払うことを怖れなくてよいでしょう。

50代女性が103万円の壁を超えるために気づくべきことがある

実は、103万円の壁についてもっと掘り下げていくと「夫婦の一体感が崩れてしまうのでは」という漠然とした不安を抱えている人が多いように思います。妻がバンバン働かなければ、扶養手当や住宅控除など、手厚い保護が受けられる。それが安心して暮らすための命綱であり、夫との絆のように感じてしまうーーー。そういう女性は少なくありません。

でも、ご夫婦のお話を聞くと、実は夫の方は、長い間、家族を支えるために大黒柱であり続け、人知れず弱音を吐きたい気持ちを我慢していることもあれば、「家にいていつもイライラしているくらいなら外で好きなことをやってニコニコしてくれている方がいい」と思っていることもあります。そう、実は、妻が一人で勝手に「夫は家にいて欲しいと思っている」と思い込んでいることもよくある話なのです。

さらに、相続や離婚など、さまざまな法律相談をお受けしていると、その悩みの根底に「自分の人生の軸を自分以外の誰かに明け渡してしまっている」という課題があるように思います。

もし「103万円の壁」に阻まれてしまっているのなら、一度、自分自身のことを振り返ってみてください。「自分の力で稼ぐことができない」「自分の力で生活するのは難しい」と思っていないでしょうか。さらに言うなら「私が自分をこの程度の年収に抑えているから、家庭がうまくいっている」と、勝手に自分で自己価値を下げて我慢していると言うことはないでしょうか。

セカンドキャリアを成功させるためにまず「安心感」を得る

では、もし、そんな自分に気づいたらどうしたらいいかーー。

それは、自分の人生のイニシアチブを取ることです。親の世代から染み込んだ家庭環境や、自身が歩んできた夫婦生活の中で、「妻」とか「嫁」とか「母親」などに役割が固定化されていた場所から、少しだけ意識を切り替えてみると突然視界が開けることはよくあります。

例えば、こう呟いてみてください。

「私の体験で、社会に貢献できる」と。

そして、それに続けて「なぜなら…」と、その理由について、ノートに書き出してみてほしいのです。

これまでのキャリアから、「小さな会社の経理なら全てこなせるから」というものでも構いませんし、「メルカリの使い方がうまくて、購入者にいつも喜んでもらえているから」とか、「DIYで生活をちょっと豊かにするのが得意だから」というような趣味や日常生活の知恵の延長でも構いません。「育児で苦労したから」というような苦労した経験でももちろん大丈夫です。

何かしら、自分自身の経験、人生の中で得たものが社会に還元できるかもしれない、と思えれば、次にやることは「それがどうやったら、仕事になるか」「それを使ってどう転職するか」「それによって年収170万円は稼げるだろうか」と、突然考えが前向きでかつ現実的になります。現実的になった時点で「103万円の壁」は幻想になります。

103万円の壁は、ある意味で自分のセルフイメージの象徴のようなもの。それを解決する術はいくらでもありますが、私は、女性が幸せな人生を生きるためには、「安心」がすごく大事だと思っています。ですから、キャリアのことを考える前に、最優先に手当てをするべきは「不安」の方なのです。

なぜ今自分が不安なのか、何をすれば自分が安心を感じるのかーー。

ぜひ一度ゆっくり考えてみてくださいね。

後編では、50代の女性がキャリアや人生を諦めず、安心して生きていくために必要なことについてお伝えしたいと思います。

取材・文/MARU

中原都実子
弁護士。人生開花コンサルタント。1966年東京都生まれ。 津田塾大学を卒業し、大手金融会社に就職後結婚を機に25歳で転職。 様々な職場を経験するうちに「専門知識を身につけたい」と思うようになり、たまたま手に取った民法学者の書籍に感銘を受け、28歳のときに法律家を志し、32歳で弁護士に。著書に『いつもの自分がやらないほうをやってみる』(鳥居ミコ名義・サンマーク出版)がある。

この記事を書いた人

MARU
MARU編集・ライティング
猫を愛する物書き。独立して20年。文章で大事にしているのはリズム感。人生の選択の基準は、楽しいか、面白いかどうか。強み:ノンジャンルで媒体を問わずに書けること、編集もできること。弱み:大雑把で細かい作業が苦手。

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