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40代はキャリアの転換期。セカンドキャリアに必要な「ふりかえり」と「取るべき資格」

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セカンドキャリアとは本来「第2の職業」の意味ですが、今後のキャリア展開を考える上での新たなキャリアの構築も表します。40代からのセカンドキャリアを検討中の方に、成功のポイントや取るべき資格を解説します。

40代からのセカンドキャリアが注目される理由

40代は働き盛りともいわれますが、これからの自分のキャリアを考えたときに、このままでよいのだろうかと悩む人も少なくありません。

新卒で入社した場合、40代は定年までの折り返し地点です。定年退職が目標とされた時代もありましたが、今は「人生100年時代」。定年退職後も活動的に過ごしたいと望む人が増えています。

40代というタイミングで、セカンドキャリアはどのように進めるべきなのでしょうか。

今求められている40代からのセカンドキャリアについて、成功させる4つのコツや重視すべきポイント、おすすめの資格を解説します。

はじめに、40代からのセカンドキャリアが注目されるようになった背景を見ていきましょう。「人生100年時代」や女性の管理職登用の推進など、さまざまな要因がありますが、ここでは「キャリアの転換期」と「働き方の多様化」の2つについて解説します。

40代は「キャリアの転換期」

40代は、自分のキャリアを見直す「キャリアの転換期」だといわれます。

人材育成の視点から、20代は主に知識や技術を習得し、30代は実践を通して経験を蓄積。40代では組織のマネジメントへと、徐々に職務が移行します。

プレイヤーからマネージャーへと立場が変わる中で、組織の統括ではなく現場での活躍を望む気持ちに気付く一方で、培ってきた経験や人脈を生かし、新たな活躍の場としてのセカンドキャリアを目指す人が多いです。

働き方の多様化

近年のリモートワークの急速な普及に伴い、場所にとらわれない働き方や仕事と家庭の両立を目指す考えが主流になりました。令和5年度7~9月期平均の労働力調査によると、役員を除く雇用者のうち、非正規の職員・従業員数は全体の37.1%を占めており、望んで非正規雇用を選択する人も増えています。

なお、非正規の職員・従業員が現在の職業を選んだ主な理由は、以下のとおりです。

理由割合
「自分の都合の良い時間に働きたいから」35.3%
「家計の補助・学費等を得たいから」18.4%
「家事・育児・介護等と両立しやすいから」11.6%
「正規の職員・従業員の仕事がないから」8.9%
参考:総務省統計局「労働力調査(詳細集計)2023年(令和5年)7~9月期平均」

注目すべきは「正規の職員・従業員の仕事がないから」というマイナスの理由が、全体の8.9%と低い点です。

感染症の影響で若干の増減はありつつも、「正規の職員・従業員の仕事がないから」という理由は、2020年7~9月期以降ゆるやかに下降を続け、今回の調査で過去最低値を記録。

一方で「自分の都合の良い時間に働きたいから」という理由は年々増加を続け、仕事にとらわれない生き方が主流になっています。

フリーランスや個人事業主といった働き方も徐々に広まる中、新たな活躍の場を探す活動的な40代のニーズと働き方と選択肢の多様化がマッチし、40代からのセカンドキャリアを後押ししているのです。

40代からのセカンドキャリアを成功させるための4つのコツ

ここからは、人材育成で用いられる「Will-Can-Must」の考え方を使って、40代からのセカンドキャリアを成功させる4つのコツを解説します。

「Will-Can-Must」はリクルート社が発祥ともいわれ、考えを整理するための考え方で、人材育成の場面で取り入れられる考えを整理するための枠組みです。

目標をたてる

セカンドキャリアを成功させるために、まずは目標をたてましょう。

独立起業といったビジネス目標でも、世界一周するといったプライベート目標でも構いません。

大切なのは「自分は何をしたいのか」という目標(Will)の確認です。

目標が明確になれば、それを達成するために自分には何ができるのか、という次の思考フェーズに移れます。

自分の強み・弱みを把握する

目標が具体的になったら、続いて今の自分にできること(Can)を考えます。

今の自分にできることを、強み・弱みを含め、すべて洗い出しましょう。

目標に続いて自分の強み・弱みが明確になれば、次に何をすべきか(Must)が浮き彫りになります。

積極的に学ぶ

Will-Can-Mustの最後は、自分のなすべきこと(Must)の実践です。

自分の強みを高め、弱みを補うために、積極的に学んでスキルを身につけましょう。

たとえば独立起業が目標ではあるものの、会計知識に乏しいなら、最低限の知識をつけるために簿記を勉強するのもおすすめ。どのような状況でも、自分に足りないと気付いた時点で積極的に学ぼうとする姿勢が、セカンドキャリアの成功には不可欠です。

謙虚さと柔軟な姿勢を意識する

Will-Can-Mustの考え方とあわせて意識したいのが、謙虚さと柔軟な姿勢です。

セカンドキャリアで転身を図る場合、人間関係を含め、新しい環境で一からのスタートになります。

今までは指導する立場でも、教えを受けるケースや、新たなことを始めるので失敗することもあるはず。

謙虚さを忘れず、柔軟な姿勢で物事にあたりましょう。

40代からのセカンドキャリアで重視すべきポイント

具体的にどのようなセカンドキャリアを積むかを考えるときには、重視すべきポイントが3つあります。

これまでの経験を活かせるか

1つめのポイントは、これまでの経験が活かせるかどうかです。

セカンドキャリアを考えたとき、今までできなかったことにチャレンジしたいという気持ちから、未経験の分野に飛び込んでいく人もいます。  

人生の充実という面では確かに選択肢の1つですが、40代の大きな強みは、今まで培ってきた知識と経験です。

趣味の延長ではなく、セカンドキャリアを自身の糧として育てるなら、これまでの知識や経験が活かせる分野を選びましょう。

専門性は高いか

求められる人材には、専門性の高さも欠かせません。

転職支援サイトdodaによると、転職成功者の年代別割合で、40歳以上の割合が最も高かったのは「企画/管理系」で24.3%。

次に「コンサルタント/不動産専門職」で21.7%、「金融系専門職」で18.7%、「建築/土木系エンジニア」で17.5%と続きます。

40歳以上の転職市場で求められているのは、これまでの経験を活かしたマネジメント力や、専門的な知識や技術など、即戦力として活躍できるスキルです。

セカンドキャリアとして挑戦する今だけでなく、10年後・20年後も変わらず活躍し続けるために、専門性の高さにはこだわって活躍の場を考えましょう。

参考:doda「転職成功者の平均年齢調査【最新版】」

家族の理解を得られるか

40代からのセカンドキャリアを考えるときは、家族への配慮を忘れず理解が得られるように努めましょう。

40代は仕事一筋に勤めてきた人、仕事と家庭の両立に苦心してきた人、家族のために家庭一筋で過ごして人など、さまざまな立場からのセカンドキャリアがあります。

特に、今後セカンドキャリアを通じて生活スタイルを大きく変えようとしているなら、必ず同居している家族に相談してください。

たとえばほとんどの家事を自分が行っている場合、適切にパートナーに分担しなければ家事は滞り、お互いのストレスになりかねません。

また両親世帯と同居している場合は、今後の生活のサポートなど、何かしら期待されている部分があるかもしれません。

後々のトラブルを防ぎセカンドキャリアを成功させるためにも、家族には自分の希望をあらかじめ話しておくことをおすすめします。

40代からのセカンドキャリアにおすすめの資格

ここからは、40代からのセカンドキャリアの専門性を高めるのにおすすめの資格を紹介します。

資格を選ぶときは、これまでの自分の経験が活かせるかどうかも重視して選びましょう。資格の取得を目的にするのではなく、資格をもとにどのようにセカンドキャリアを組み立てていくかを考えてください。

中小企業診断士

中小企業診断士とは、中小企業の経営課題に対する診断・助言を行う立場で、経営コンサルタントでは唯一の国家資格です。

中小企業の成長戦略の策定や実行に対するアドバイス、さらには中小企業と行政・金融機関を繋ぐパイプ役としての役割も担います。コンサルティング企業に勤める人のキャリアアップをはじめ、独立開業も視野に入れて活動できるため、社会人の取得したい資格として常に上位に位置する人気資格です。

受験者は特に40代が多く、令和4年度の第1次試験申込者では、全体の30%近くを占めていました。

決して簡単に取得できる資格ではありませんが、これまで培ってきた経験が生かせる、40代からのセカンドキャリアにふさわしい資格です。

参考:中小企業診断士協会 令和4年度 第1次試験

社会福祉士

社会福祉士とは、高齢者をはじめ、心身に障害があるなどの理由から福祉サービスを必要とする方の相談に応じ、助言や支援をする立場です。活躍の場は有料老人ホームや在宅ケアサービスをはじめ、児童相談書や福祉事務所など多岐にわたります。

相談者の話に耳を傾け適切なサービスや制度を提示する仕事内容から、これまでの人生経験が活かされる面も多く、積極的に受験する40~50代の方も多いです。

福祉系の4年制大学で指定科目を履修していること、一般の4年制大学の場合は卒業後に一般養成施設等に通っていることなど、受験資格には細かな規定が設けられています。

受験を考える方は、受験資格を満たしているか、必ず確認しておきましょう。

参考:公益財団法人社会福祉振興・試験センター「社会福祉士国家試験 受験資格」

衛生管理者

衛生管理者は、労働安全衛生法により定められた国家資格で、事業所の「衛生管理業務従事者」として職場の労働災害や健康障害の防止に努めます。常時50人以上の従業員が働く事業所では、衛生管理者を必ず1人以上おかなければならないと定められているため、企業からの需要も高く、将来性のある資格です。

職務内容は職場の衛生管理だけでなく、労働者の健康管理や衛生教育、衛生委員会の運営も行います。

第一種と第二種のいずれも受験者の約半数が合格しており、衛生管理者は国家資格の中でも比較的とりやすいといわれる資格です。

参考:厚生労働省「衛生管理者について教えてください」

ファイナンシャルプランナー

ファイナンシャルプランナーとは、収支状況の見直しをはじめ、住宅ローンや教育資金などの幅広い資金計画で、相談者を経済的な側面からサポートする専門家です。

FP技能検定には3つのレベルがあり、転職やキャリアアップに生かしたければ2級以上が求められます。

ファイナンシャルプランナーの活躍の場は多岐にわたり、金融業界やハウスメーカーなどの不動産関連企業、介護・福祉業界などさまざま。

税制や家計改善の知識をつけつつ、将来的なキャリア展望も見込める人気の資格です。

参考:日本FP協会「ファイナンシャル・プランナー(FP)とは」

【事例紹介】40代からのセカンドキャリアで参考にしたい資格を活かした働き方

管理栄養士・中田恵津子さん(写真/本人提供)

自分のスキルを一目で掲示できる資格があれば、働き方の選択肢はさらに広がります。

40代からのセカンドキャリアを考える参考として、資格を活かして柔軟な働き方を叶えた、2つの事例を見ていきましょう。

定年後フリーランスに転身した管理栄養士・中田恵津子さんの事例

「管理栄養士」の資格をもつ中田恵津子さんは、児童福祉施設をはじめ、保健所での栄養改善業務やがん専門病院での勤務を経験、定年まで勤め上げたあとフリーランスとして活動をはじめました。

フリーランスの管理栄養士になってからは、『人の栄養管理をする』管理栄養士の価値を高めるため、コンサル的な仕事にも力を入れています。

中田さんの活躍からは、自分のもつスキルを対価に変えて、依頼者に役立つ成果をきちんと出すことの大切さが感じられます。

ママ×女優×ファイナンシャルプランナーで活躍する茂中瑛子さんの事例

子育て中のママであり女優であり、ファイナンシャルプランナーとしても活躍する茂中瑛子さんは、家計術講座の講師として活躍中。

資格を活かしながら自分の強みを最大限活用する姿には、セルフブランディングの大切さや自分のスキルを売り出す強さが感じられ、セカンドキャリアで自分の在り方を考える際の参考になります。

40代からのセカンドキャリアで考えるこれからの人生

40代からのセカンドキャリアは、現在の仕事が順調であるほどあえて挑戦する人は少なく、無理にキャリアチェンジを考えたり、キャリアの転換を急ぎすぎたりもするでしょう。

しかし40代からのセカンドキャリアは、周りに流されて行うものではなく、自分自身のタイミングで行うべきです。

ぜひ自分のキャリアをじっくりと振り返り、これから何をしたいのか、どの資格を取得すべきなのか考えてみましょう。

構成・文/渡邊真理

この記事を書いた人

I am 編集部
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「好きや得意」を仕事に――新しい働き方、自分らしい働き方を目指すバブル(の香りを少し知ってる)、ミレニアム、Z世代の女性3人の編集部です。これからは仕事の対価として給与をもらうだけでなく「自分の価値をお金に変える」という、「こんなことがあったらいいな!」を実現するためのナレッジを発信していきます。

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