中高年のビジネスパーソンほど関心の高いリスキリング。でも誤解も多い?
40代、50代でも遅くはない!リスキリングでキャリア再構築を。日本のデジタル競争力向上と経済再生のための切り札として注目されるリスキリング。誤解を解き、具体的なステップと成功のコツを、リスキリングの第一人者が明かします。
「リスキリング」と「学び直し」の違いとは?
日本はデジタル競争力ランキングが29位。GDPも下がり続けて国力低下は深刻な事態に。打開策の一つとして「リスキリング」がクローズアップされていますが、「具体的に何から何を始めていいかわからない」と悩んでる人も少なくありません。
報道や調査からはまだら模様の印象。大企業の多くはリスキリングに積極的ですが、中小企業の過半数は関心がないという調査結果も。実際のところ、リスキリングはどれほど受容されているのかを、リスキリングの専門家の一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ代表・後藤宗明さんに聞きました。
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「リスキリングに関する調査は、どの団体がどういう人たちに聞くかで全然違った結果が出ているのが実情です。例えば、中小企業はリスキリングに監視がないという調査結果とは逆行しますが、NHKがこの間、リスキリングに関する放送をしていました。そこでは、8割の企業はリスキリングに前向きに取り組んでいるという回答でした。メディアの報道だけでは、正しく伝わっていない面はあるでしょう。
また、リスキリングに一家言があって情報発信をされている方々でも、海外でなぜリスキリングが定着したのかといった、深い情報に基づいていない例が見受けられます。それで、かなり誤解されて伝わってしまってるところがあると思います。
地域で言えば、東京の人たちはリスキリングに関心が高いですね。地方でも、自治体が一生懸命にリスキリング支援の取り組みをしているところでは結構な認知率です。なので、地域によっても、ばらつきはかなりあります。
年代によっても意識は全然違います。中高年のビジネスパーソンだと、ベテランになるほどリスキリングを自分ごととして捉えています。20代だと、「それって自分には関係ない。おじさんのためのものでしょ」という感覚が多いです。
ただ、各方面でこれだけ取り上げられているので、リスキリングの基本的なところは、現場のビジネスパーソンには、かなり浸透はしているかと思います。
とはいえ、リスキリングの概念や意図が正しく伝わってないという現状もあるわけです。通常の「学び直し」と混同して、「何か新しいことを学ぶのがリスキリング」といった認識が少なくありません。成長事業を担う人材が育っていき、還元されてこそのリスキリングという点まで理解されている方は、少ないと思います。」
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リスキリングという言葉は浸透してきているとはいえ、実態としてはまだまだ浸透しているとは言えないようです。次回は、企業がリスキリングを取り入れる場合のメリット・デメリットについてお伝えします。
《プロフィール》
後藤宗明
一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブの代表。早稲田大学政治経済学部卒業後、1995年に富士銀行(現みずほ銀行)入行。2002年、グローバル人材育成を行うスタートアップをNYにて起業、卒業生約2,000名を輩出。2008年に帰国し、米国の社会起業家支援NPOアショカの日本法人を2011年に設立後、米国フィンテック企業の日本法人代表、通信ベンチャーの国際部門取締役を経て、アクセンチュアにて人事領域のDXと採用戦略を担当。2021年、一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブを設立。著書に『自分のスキルをアップデートし続ける リスキリング』などがある。
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この記事を書いた人
- 都内出版社などでの勤務を経て、北海道の老舗翻訳会社で15年間役員を務める。次期社長になるのが嫌だったのと、寒い土地が苦手で、スピンオフしてフリーランスライターに転向。最近は写真撮影に目覚め、そちらの道も模索する日々を送る。