100 Questions
経験を仕事

経験を仕事生きる希望を持てない日々の中で観た映画に勇気づけられ、今度は自分が誰かを勇気づけられたらと映画監督に(映画監督/岸本景子さん)

ログインすると、この記事をストックできます。

どうやって自分の仕事を確立したのか。家族の喪失と再生をテーマに、関わりのできた地域に根差した作品を撮り続ける映画監督の岸本景子さんに聞きました。 

プロフィール

映画監督岸本景子

1979年大阪府出身。監督作として『ある夏の送り火』『家族の肖像』などがある。家族の喪失と再生というテーマを中心に、地域に根ざした映画制作に取り組む。また、子ども向けの映画ワークショップを行ったり、大人の映研部を立ち上げたりなど、映画の裾野を広げる活動もしている。

仕事内容と自分らしいビジネスアイデアの見つけ方

どんな仕事をしていますか?

インタビュアー顔写真

映画監督をしています。

祖母の終の棲家でご縁が繋がった岡山や、送り火という行事を復活させたことを知り、それを映画でおさめたいと思った香川をはじめ、大阪を中心に、地域で根差し、家族の物語をテーマにした作品を撮っています。

作品の舞台に共通することは、地域や家族のつながりというものが残っていることです。家族の物語をテーマにする理由は「愛の反対は憎しみではなく無関心です」というマザー・テレサの言葉を知り、とても考えさせられたからでした。

人と人とが関わり合いながら、人は日々生きているけれど、その中から漏れてしまう人が存在しています。だからこそ、そこに焦点を当てた映画を制作しています。

また、スキルを活かして、動画を必要としている行政やNPOなどのYouTube動画の制作も請け負ったりしています。

今の仕事のキャリアは?

インタビュアー顔写真

映画を撮り始めて12年目になります。また、受注で映像を制作し出してから2年目になります。

なぜ、今の仕事を「自分の仕事」にしたのですか?

インタビュアー顔写真

進学を控えた高校3年生のときに私は不登校になりました。進学は絶望的で、生きることに希望が持てなかった。その時に観た映画で勇気づけられた私は映画で人々を勇気づけたいと思い、専門学校を卒業して12年目の秋に家族間のわだかまりなどに焦点を当てた『HEAVEN』という映画を制作しました。

今の仕事は好きや得意なことですか?

インタビュアー顔写真

映画の専門学校に進み、映画制作をしていくことになるのですが、もともと、自身のこころの棚卸しをするためのものでした。学生時代に書いていた脚本は、生きることに疲れてしまった主人公が、前を向いて歩いて行くものが多かったように思います。

なぜ、今の仕事がビジネスとして成り立つと思ったのですか?

インタビュアー顔写真

自身の悩みや、こころの傷なども映画に投影していくことで、観てくれたひとたちが、「私もこういうことについて悩んでいました」など、想いを伝えてくれたりして、改めてひとのために作りたいと思ったことがきっかけです。

「自分の仕事」としてやっていくと決めてから、やったことはなんですか?

インタビュアー顔写真

映画は1人ではできません。キャスト、スタッフ、ロケ地、そして制作面でサポートしてくれる人々が必要です。まずは、制作する映画のテーマにかかわりのある分野のNPOや行政、ロケ地でお願いしたいお店などを訪れては、映画の説明をして協力してくださる方の輪を広げていきました。

あなたの「強み」「弱み」は?

インタビュアー顔写真

強みは、人が好きということ。だけれど、高校のときは不登校で引きこもりを経験し、30歳まで半分引きこもりの生活は続きました。人は1人で生きられない。引きこもりのときは人と会うことすら出来なかった。けれど、友人がずっと、私がそとに出るように働きかけ、待っていてくれた。それに気づいた時、お返しがしたいと思いました。周りに困っているひとなどいたら、おせっかいを焼きたくなるところ。ただ、たまに、引きこもりが解消されていない部分もあります。それが、弱みです。

自分の強みをどう仕事に活かしてますか?

インタビュアー顔写真

映画制作は、先ほど話しました通り、たくさんの人たちが関わってくださいます。人が好きということもあって、出会って、色んなひとたちと一緒に制作していくことは、とてもワクワクします。

自分の弱みをどう克服していますか?

インタビュアー顔写真

人が好きという反面、まだ引きこもりというのは克服できていないところもあるので、3日出て、3日休む。みたいなことをすることで、自身のバランスと折り合いをつけながらやっています。

ビジネスを立ち上げる時の最大の壁は?

インタビュアー顔写真

最大の障壁。それは資金面です。長編映画ならば最低2週間は撮影日数かかり、その日数分キャストスタッフを拘束します。ですので、協賛金を集めたり、長い期間制作資金を貯めて挑んでいます。

ビジネスを立ち上げる前に何を準備した?

インタビュアー顔写真

人と出会うこと。インプットを増やすこと。そして、あらゆることに興味を持つことです。一つ一つの点が関係ないことでも、きっとその点がつながって一本の線につながることがあったからです。

ビジネスを立ち上げてぶつかった壁は?

インタビュアー顔写真

いざ公開というとき、自身の住む場所、映画を制作した場所以外の所縁のない地域に、作品をどうひろめていくか。今も悩み中ですが、少しずつ他地域での、応援してくださるひとの輪を拡げているところです。

1人社長ですか? それともチームですか?

インタビュアー顔写真

制作はチームで行いますが、ひとりでの作業も多いです。

仕事に求める優先順位は?

インタビュアー顔写真

自分のやりがいというのもありますが、まずは人や地域のためになっているかどうかです。香川県さぬき市で『ある夏の送り火』という映画を制作した時、送り火という行事を拡めたいということから始まりました。

法人化してますか?

インタビュアー顔写真

いずれ出来たらと思っています。やはり、多くの人たちを巻き込むため、法人化することが信用につながる場合もあるからです。

会社員を辞めてから今の仕事をはじめましたか?

インタビュアー顔写真

まだまだ映画・映像制作で暮らしていくには十分ではないということもあり、副業をしながら頑張っております。

はじめての仕事はどのように獲得しましたか?

インタビュアー顔写真

初めて受注の仕事を請け負ったときは、ちょうどコロナのときで映像を用いた講座の撮影・編集でした。映画制作で大変お世話になっている方からお話をいただいたのですが、縁に助けられました。

最初に自分の力で稼いだお金を得たときの感想は? また、その額はいくら?

インタビュアー顔写真

ここでは金額は言えないですが、自身のスキルをこうやって活かしてくださること。そして携わったことが、相手方の自己実現へつながったことは本当に嬉しかったです。

価格はどのように決めましたか? 価格設定で悩んだことは?

インタビュアー顔写真

動画編集などの作業には素材の尺によって、時間がかかります。ですので、ある程度の金額になってしまうのですが、それでは相手方は持続することが出来ません。ですので、無理のない金額を最初に聞くようにしました。

ビジネスが軌道に乗るまでの期間とその間のやりくりは?

インタビュアー顔写真

資金面では軌道に乗っていませんが、受注面においては、映像制作するならというのでお声がけいただけることが増えました。コロナの影響もあったと思います。期間はすぐだったように思います。

ログインすると、この記事をストックできます。

この記事をシェアする
  • LINEアイコン
  • Twitterアイコン
  • Facebookアイコン