タニタ研究員の「ダイエットで人生変える」授業集中力・記憶力を高めるカフェイン。でも1日何杯までOK? タニタ研究員が教える過剰摂取の対処法
コーヒーをたくさん飲んだ時、どれくらいならカフェインの過剰摂取にならないのか。そしてちょっと摂りすぎが心配な場合、どんな対処法があるのか、エビデンスをもとに紹介します。
目次
カフェインを摂りすぎてしまった場合に抜く方法
眠気を我慢して頑張るあまりに、ついエナジードリンクを飲んだうえに、コーヒーもたくさん飲んでしまった!!なんて状態になってしまったら……
水分をたくさん摂る
水分は体内のカフェイン濃度を薄め、排出してくれますので、水分を積極的に摂りましょう。ただし、一気にガブ飲みはダメです。腎臓の排泄処理機能が追いつかず、かえって悪影響になってしまうこともあるからです。こまめに回数を多く飲むようにしてください。
カリウムやマグネシウムを摂る
過剰なカフェインは体外にカリウムやマグネシウムを排出してしまいます。こうしたミネラルの減少が、イライラや不安、動悸急上昇を引き起こす要因の一つであると言われています。
カフェインの摂りすぎが気になったら、水分とともに果物、野菜、豆、海藻、キノコをたくさん食べてミネラルを補給しましょう。手っ取り早く食べられるバナナやきゅうり、ワカメたっぷりの味噌汁などがおすすめです。
また、カリウムやマグネシウムを含むミネラルウォーターですと、水分とともに一緒に補給したい成分が簡単に摂れるのでおすすめです。
気になる症状の場合は早めの受診を
一般的には、水を飲んで安静にすれば時間の経過とともに回復しますが、カフェインを摂って動悸や心拍数の急上昇、震えなど少しでも気になる異変を感じたら、早めに病院を受診しましょう。
【カフェインの健康効果】飲めば飲むほど言語記憶の成績アップ
眠気が辛くて、つい栄養ドリンクに助けを求めたり、コーヒーをたくさん飲んでしまう。仕事で忙しいあなた、デスクにずらりと栄養ドリンクや缶コーヒーが並んでいませんか?
では、どのくらいの量ならカフェインの過剰摂取にならないのでしょうか。
カフェインには覚醒作用、倦怠感の抑制、血管拡張、利尿作用、むくみ改善、脂肪燃焼や基礎代謝の向上など多くの作用があります。注意力・集中力を向上させる作用も確認されており、イギリスにおける調査でもカフェインの継続的な摂取量が多いほど反応時間が短く、言語記憶などの成績が良くなることが示されています1)(図1)。
(図1)カフェイン摂取と認知機能(横断調査)
カフェインを多く含む飲料としては、栄養ドリンクやエナジードリンクのほか、コーラ飲料、ココア、お茶、コーヒーなどがメジャーですね。私自身はコーヒーが好きで、眠気覚ましの効果も期待して朝や午後2時前後の「睡魔の時間帯」に、いつも2~3杯くらい飲んでいます(何度か紹介していますが、タニタにはクロロゲン酸というポリフェノールの濃度を高めた「タニタコーヒー」があり、社内ではこれが自由に飲める有難い環境なのです)。
カフェインを摂りすぎるとどうなるか?
しかーし!近年カフェインの過剰摂取が問題になっています。カフェインは上手に利用すればコンディションの調整に役立つさまざまな効果が期待できるのですが、やはり摂りすぎは危険です。
過剰なカフェインの摂取は中枢神経系を過度に刺激してしまうので、「めまい」「心拍数の増加」「興奮」「不安」「震え」「不眠」を誘発してしまいます。さらに、消化器官も刺激するので下痢や吐き気が起きることも。極端な過剰摂取による死亡事故の報告もあるのです。やっぱりこれは怖いですよね。
1日にコーヒーは何杯まで飲める? カフェインの許容量
では、いったいどれくらいの量が「許容量」なのでしょうか?カフェインを摂取し続けても、健康に悪影響が生じない1日当たりの摂取許容量については、実は「個人差が大きい」などの理由から、日本においても国際的にも現状、ハッキリとは設定されていないのです。ううむ……。こりゃ困った……。しかし、アメリカには基準がありました!
米国FDAは、健康な大人では、1日あたり400 mg(コーヒーでは4〜5カップ程度)までであれば、カフェインによる健康への危険な悪影響はない、としています2)。
飲み物のカフェイン量について、何杯くらいで400mgになるかをまとめました(図2)。
カフェインが入ったエナジードリンクや栄養ドリンク、サプリメントなどの場合は、必ず1日あたりの摂取量が決められ記載されているはずですので、その量をきちんと守って摂るように気をつけましょう。
【図2】飲み物のカフェイン量
各飲み物のカフェイン量を表にすると分かりやすいが、インスタントコーヒーのカフェイン量は圧倒的に多いのが分かります。スプーン1杯で80mg。抽出液のコーヒーでもコーヒーカップ1杯(100ml)で60mg。せん茶はその半分になります。ウーロン茶はコーヒーカップ1杯で20mgですので基準値となる400mgに達するには約14杯となり、相当飲んでもカフェインの摂りすぎにはなります。
それに比べるとコーヒーは5杯でカフェイン量が400mgに達するので、よく朝早くから夜遅くまで仕事をでコーヒーを飲む人は摂取過多になる可能性があります。
体力回復には休息がいちばん
さて皆さま、この時期は、季節の変わり目&下期への切り替わり時でもあり、忙しさに拍車がかかっている方が多いと思います。疲れた自分を奮い立たせ、気力をふり絞ってドリンクやコーヒーの力を借りながら家事や仕事をこなしていらっしゃる皆様の頑張りは本当に尊いものだと思います。
本当はもう、断念して寝た方が良い、休んだ方が良いこともわかっている……。しかし、わかっちゃいても、なかなか難しい時もありますよね(そんな状況、大変よーーーくわかります)。だからこそ、頑張り屋の皆様に少しでもご自身のからだへの影響を考慮していただきたい……と願いを込めて書かせていただきました。
どうか皆さまの尊い頑張りがご自身の健康を害することのないよう、決して全否定するわけではありませんが(自分も頼ってしまいますし)、あまりナチュラルではない成分の摂取で頑張り続けることはできれば避けてるよう、心にとめてくださいますようお願いいたします。
たまにはゆっくり、月でも眺めながら……自分を休ませてあげてくださいね(自分への戒めも込めて書かせていただいています!)。
◆参考文献
1) Nestlé, Coffee & Health (Vol.10) 2015 Nov.
2)Spilling the Beans: How Much Caffeine is Too Much?
(執筆/タニタ研究員・西澤美幸)
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この記事を書いた人
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1968年生まれ。横浜国立大学在学中よりタニタの体脂肪計のプロジェクトチームに参加。入社後は、世界初の乗るだけではかれる体脂肪計や体組成計、活動量計などの開発に携わり、機器の要となる計測の回帰式や判定アルゴリズム作成を担う。
29歳で社内初の技術系女性課長に就任し38歳で出産。栄養士の資格も有し文部科学省の食育有識者会議委員を務めるなど、さまざまな計測データを健康づくりに活かす提案を行い、栄養士と技術者の2つの視点から多数のセミナーの講師も担当している。