好きを仕事ディスプレイ会社に勤めていた会社員時代に「雑貨ディスプレイをしている時が一番楽しい」と発見。ほぼ思い込みで雑貨店を開業〈雑貨店店主／トノイケミキさん〉

雑貨と絵画と絵本を通して、人と会話をし繋がりを作ること。またそれを販売すること。

好きなことの延長線上です。得意なことと感じることはごく一部ではありますが、活かせています。

会社員時代は、ショップディスプレイの仕事をしていました。ディスプレイツールの開発から百貨店での商品のディスプレイの仕事、ショーウィンドウの施工営業。その仕事の中で雑貨をディスプレイしている時が一番楽しいと思ったこと、そう思ったらほぼ思い込みで会社を辞めました。同じ会社に勤めていた同僚と2002年に大阪で開業し、2007年に独立してネットショップを、2011年に京都に実店舗を構えました。

コロナ禍で人が全然来なくなった時と、家族の体調が悪くなった時にあります。

「ここへ来てよかった」と感想をいただいた時や、雑貨店おやつで購入できてうれしいなどの手紙をいただいた時、「よかった！」と走り回りたくなります。

こんな立地（人通りが全くない住宅街）でもきっと好きな人は来てくれるはず、今までも大阪でやってきた自信があったけれど、実際にはなかなか厳しかったです。今も厳しい。

まずは１年稼がなくても食べていけるだけの貯蓄、いろんな店のリサーチ、開業する土地を決める、賃貸物件を見て回るなど。また会社を辞めたあと、店のフライヤーを自分で作れたら良いなと思い、厚生労働省の教育訓練給付制度を利用してスクールに通い、平面デザインとホームページを作るスキルを半年で身につけました。

開業する人は、自分とは別の世界の人と思ってしまうことが一番妨げると思います。会社を辞めてからは個人事業主の友達を作ったり店を手伝ったりしているうちに、自然と開業は特別なことではないと思えるようになり、不安がなくなりました。また家族や周りの理解を得るために話をするということも大切。

「どうせ趣味でやってるんだろうから」。主婦の遊びという感じで言われたことに、カチンときました。

「書面は大切。契約は双方がわかる形で残せ」と。以前作家さんの作品を普通郵便で返却し、届かないことがありました。送料は作家さん負担だったのでお安い方が良いだろうと私が判断したのですが、作家さんからは弁償して欲しいと。それなら宅配便で送ったら良かったと後悔したことが。予期せぬ出来事は起こるので、細いことでも書面で確認し合った方が良いと思いました。

確か1日の売り上げが4万円くらいでした。たった4万円だけど4万でも大変だなと。そしてありがたかった。会社員での給料よりも価値のある4万円だと思いました。

かなり減りました。

1ヶ月の売り上げで180万円が最高だと思います。

以前より「言葉」が生活の中に重要な位置を占めると思っていました。心地よい会話をするためのメソッドがあるなら学びたいなと。接客業に活かせるのではと思い、コーチングのスキルを身につけるのに120万円くらい使いました。今は相手がどのように感じているかはわかりませんが、自分の会話に関するストレスがなくなったところがよかったと思います。

いつも悩みますし、作家さんからも相談を受けます。雑貨店おやつのオリジナルの商品ではなく、販売しているものの80%は作家さんによる作品が多いので、価格決定は常に一緒に携わる人と決めています。

「これが」がわかればもっと稼げてるかな？と思います。

休みやゆとりは自分で欲しければ作れますし、感じません。それができるから自営でやっていると言っても良いと思います。

最初の店舗では1年、今の店舗では2年かかったと思います。最初の店舗では1日16時間働こうと思い、5年間休みもほとんど取らずに働きました。今は家族もいますので週に１回は休んでいますし、1日8時間以上働きません。

最初の年は、1ヶ月間ほとんど人が来ない、売り上げがほぼないことがありました。今もずっと引きずっています。お客様の量が読めないですし、不安定になりました。

法人ではありません。業態を変えたら法人の可能性もあると思います。近い将来、何かに変えようという具体的なプランにはなっていませんが、このまま雑貨の販売がメインの店で良いのかどうかは常に考えています。このまま同じ感じでずっと続けることはないと思いますから、常に色々と検討中。