好きを仕事ニーズに囚われて見失いそうなときは、原点に立ち帰る(出版社・編集者/西川俊充さん)

多様な働き方のリアルを聞きました!起業のトライ&エラー。起業したあとすべてが順風満帆にいくとは限らない。一番知りたい失敗談と成功のコツを西川俊充さんに聞きました。

プロフィール
出版者、編集者西川俊充
失敗談を教えてください!
忘れられない大失敗はありましたか?

最初に仕掛けた「ペーパーバック絵本」事業が大失敗で大赤字。4作出版してペーパーバックからは撤退しました。乗り越えたというよりはフタをしただけですが大きな学びでした。
仕事と家族(プライベート)のバランスは?

未だ独身なのでありません。
これまでどんなクレームがありましたか?

クレームではありませんが、赤ちゃん絵本を出版しているとボードブック(厚紙絵本)化のご要望は時々いただきます。でもどうしても採算が取れなくて実現できないことが多く心苦しいところです。
絵本の場合、顧客は手にとる大人と読者の子どもに分かれます。仮に大人からのクレームがあった時は、子どもにとって確かなことかどうかをみて対応すると思います。
「あの時、やってよかった!」ことは?

作家さんとの巡り合わせはいつも幸運だと思っています。全てのアタックがうまくいくわけではないので、幸運の積み重ねが今のラインナップそのものです。
「あの時、やればよかった」ことは?

失敗も成功のもとだと思うので特にありません。
「あの時、やらなきゃよかった」ことは?

書店流通を始めたての頃は、それまでの失敗の怖さがあって初版部数をかなり控え目にしていました。控えず堂々と勝負していたらもう少し利益が残ったのに、とは思います。これも学びですね。
「集客ができない」「案件が取れない」時どうする?

ECでの集客はずっと課題ですが、今年は原点に戻ってリアル書店への働きかけを意識してやろうと思っています。
今、困ってることは?

脱東京をしたくて拠点を移す計画をしていますが物価高騰の影響で延び延びに。
「辞めたい」と思ったことは?

辞めたいと思ったことはありません。
仕事で騙されたことがある?

ありません。
失敗してもうまく行く方法は?
実は起業するのが不安だった

何も知らないが故の自信と不安の半々でした。
うまくいかない時、どうやって乗り越える?

作品としてつまらないものを出版したことはないので、やがて機はくると思って次の企画へ移ります。きちんと仮説を立ててチャレンジすると、結果が出ないことも学びとしては大きな収穫。次はやらない判断ができるように。
コレをやったら「うまくいった」ことは?

エンブックスとしてのミッションや、絵本づくりのコンセプトを言語化できた瞬間。
コレをやったら「うまくいかなくなった」ことは?

企画段階の話ですがニーズに囚われて動機づけを考えすぎた時。「教育的にしない、教訓的にしない」ことはエンブックスの絵本づくりのモットーのひとつで、絵本は子どもにとっての楽しみであることは常に意識しています。
優れた絵本は「ベストセラーよりもロングセラー」と言うことがあります。瞬間的にヒットしてもやはり子どもに愛されなければ続かない。何十年も読み継がれるものが本当に良い絵本であることは間違いありません。エンブックスではそういう絵本を作りたいと思っています。
それでも油断するとつい(実際の買い手である)大人のニーズに合わせてしまいそうになることが……
効果的だった投資、効果がなかった投資は?

「赤ちゃん絵本」のカテゴリーに投資したことでしょうか。タイミングは良かったと思います。
SNSでは何に力を入れてる?

インスタでは絵本の紹介ばかりになってしまっていて、もう少し作り手が見える楽しい発信ができたらなあと考えています。
webサイトは持ってる?

ワードプレスで自前のものがありますが、EC強化のサイトへ移行したいです。
集客の何割くらいが知人からの紹介?

95%は書店で購入されるお客様なので分かりませんが、全く広告を出していないエンブックスの絵本を知る機会はやはりSNSが少なくないとは思っています。絵本は40年来のロングセラーが強い特殊なジャンルで、そもそも優れた絵本は読者から読者へ口コミで広がっていく土壌があるものです。
人脈と戦略、どっちが大事?

戦略というか企画を考えて、その企画を実現できる最適な作家さんを探し、依頼を受けていただけたら仕事になるという流れです。
凹んだ時に救ってくれた言葉は?

座右の銘として「人生のピークが分かったらつまらない」。