Interview
インタビュー

移住を夢見て、地域おこし協力隊から起業「失敗は成功の基」をリアル体現した「深海魚直送便」。起業のビジネスアイデアさえも失敗から生まれる?〈深海魚直送便/青山沙織さん〉

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起業に失敗はつきものというが、実際にはどんな失敗があるのか?またどうやってビジネスアイデアを見つけるのか?

プロフィール

起業家青山沙織

「深海魚直送便」代表。大学を卒業した後、OL、留学、オーストラリアでのワーキングホリデーを経験した後、2018 年 4 月に沼津市の地域おこし協力隊に就任。日本で唯一の深海魚専門の地域おこし協力隊として、「駿河湾の深海魚アートデザインコンテスト」や「深海魚フェスティバル」などのイベントを企画。さらに、深海魚の皮を使った特産品の開発にも関わっています。

深海魚の通信販売を行う青山沙織さん。静岡県沼津市戸田町での地域おこし協力隊から生まれた「深海魚直送便」。起業してからは失敗の積み重ねによってブラッシュアップされるという。

起業は「やるかやらないか」

ライター顔写真

起業するにあたって、インプットは大事だと思います。日々のインプットはどうされていますか?

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「こうしたらいいな」って思うことって、日常の中にあると思うんです。例えばインスタを見ていれば、ビニール袋保管する便利なアイデアがわかるとか。私がやっていることは、そういうちょっとした思いつきを形にしてるだけの話だと思うんです。もちろん、思いつくのは簡単ですけど、形にするのは難しいです。

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その難しさをどう乗り越えてますか?

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口に出して「こうした方がいい」って言ってしまうと、やるしかなくなるって感じですね。
「やるかやらないか」なので、行動するだけだと思います。

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やるかやらないか、ですか……。

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そうです。掃除もそうじゃないですか。家が綺麗で羨ましいっていうけど、掃除をやるかやらないかなんです。家が綺麗な人は、家を綺麗にするために、当たり前で難しくはないことを毎日続けているんだと思います。

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では、アイデアが浮かばない人はどうしたらいいのでしょう?

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知識を持っている人の話を聞きに行けばいいと思います。
私は、漁協さんや市役所の方に話を聞きに行きました。

失敗によってより良いサービスが生まれる

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起業後の印象に残っている失敗ってありますか?

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全部が成功というわけではないので、失敗はもちろんあります。例えば、深海魚直送便では、痛んでいるわけではないんですけど、頭がすぐ黒くなるエビを送ったら、黒いエビが来たってクレームが来たんですね。それから、そのエビを入れるのはやめることにしましたね。

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やりながら改善しているんですね。

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食用に向かない深海魚を詰め合わせたヘンテコ便も失敗から生まれたんです。ヘンテコな魚は、初めは食用の魚のセットのおまけとして、希望者にだけ送っていたんですよ。でも、いっぱい注文がきて、漁協の人にも手伝ってもらっていた時に、どの箱におまけが入ってるかわからなくなってしまったです。
1 人でやる時はいいけれど、人に協力してもらう時に個別対応は難しい。それに、1つ1つに手間がかけれないので、おまけはやめて、ヘンテコな魚ばっかり入れたヘンテコ便を新たに作ることにしたんです。

ヒトデが入っているヘンテコ便
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すごい!失敗から人気商品が生まれたんですね。

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注文を取る方法も、最初は今とは違う注文フォームでとっていたんですけど、ややこしかったので新しく EC サイトを shopify で立ち上げました。
今は shopify で販売しているサメも、最初はツイッターで欲しい人を募集していたんです。
そしたらいっぺんに連絡が来てしまって。誰が一番かわからないし、それぞれに売り切れましたって返事するのがややこしくなったので、shopify にアップして、サイトにアップしてますよって伝えるようにしていますね。

やってみて、ダメならやめる

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失敗をその都度解決することで、ビジネスが広がっていくんですね。

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生魚だけを扱っていると、船が出たり出なかったりして、毎日発送するのが難しいんです。
夏は禁漁期間で発送ができないですしね。生魚なので当日に受け取ってもらいたいのですが、お客さんも土日じゃないと受け取れない、逆に平日の方が受け取りやすいとか、結構要望があって。なので、日にちに左右されないように、加工品や冷凍品とかを充実していけたらいいなと思っています。

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加工品を出すのも大変そうです。

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そうですね。内臓を取ってないと嫌とか、あとは焼くだけっていう方がいいって言う人もいるので、自分 1 人では難しいなと思います。そうなると、加工ができる人を雇わないとですし。あとは、夏場は禁漁期間になるので、深海魚の料理の体験教室であったり、魚の選別体験であったり、直送便以外のことにも力を入れていきたいなと思ってます。

深海のサメ革を使った革小物の制作も行っている
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自分でビジネスを始めていてなかなかうまくいかない人へのアドバイスをいただけますか?

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やってみて、駄目ならやめて違うことやればいいと思います。どうしてもやりたかったら、もっと頑張る。無理だなと思ったら新しいことやるかのどっちかです。別に無理してやる必要はないじゃないですか。

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青山さん自身も、深海魚直送便が難しいなと思ったらやめるという選択肢はある?

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私はやれると思ってやってるので、やります。つまずくことはいっぱいあるんですけど、やるしかない。だから、自分の中でやれると思うことは、多分やれると思うのでやったらいいと思うんです。やってみて駄目ならやめたらいいと思います。

アクセサリー販売で失敗した経験を活かす

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地域おこし協力隊になるまでは何をされていたんですか?

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大学で服飾の勉強をしていて、卒業後は企画販売の仕事や事務職をしていました。30歳の時にオーストラリアにワーキングホリデーに行ったんです。

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ワーキングホリデー!帰国後はどうされていたんですか?

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自分でアクセサリーを売って起業しようかなと思ったんですよ。3 か月くらいアルバイトをしながら、マルシェで海外で仕入れたものを売ったり、自分で作ったものを売ったりしていました。でも、やっぱり食べていくのがすごい大変で。

モノ作りの経験を活かして、深海魚グッズの開発も行っている
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また就職したんですね

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はい。縁があって、メーカーで働きました。でも、やっぱり自分で何かやりたいと思っていた時に、兵庫県の豊岡でカバンの縫製の職業訓練を見つけたんです。縫製を学べる学校はどこも学費が高くて諦めていたんですが、これならお金もらいながら勉強ができると思って、会社を辞めて職業訓練校で勉強をしました。でもそこを卒業しても、工場でカバンの縫製をする仕事にしか就職できなそうだったんです。自分がやりたかったのはオリジナルのカバンをデザインして作ることだったので、少し違うなと思って。それで戸田にきて地域おこし協力隊になったんです。

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行動力すごいですね!

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やろうと思ったらすぐやるタイプだったので。まずやってみて、難しいなと感じたら辞めたらいいと思うんです。

取材、文、写真/I am 編集部

この記事を書いた人

I am 編集部
I am 編集部
「好きや得意」を仕事に――新しい働き方、自分らしい働き方を目指すバブル(の香りを少し知ってる)、ミレニアム、Z世代の女性3人の編集部です。これからは仕事の対価として給与をもらうだけでなく「自分の価値をお金に変える」という、「こんなことがあったらいいな!」を実現するためのナレッジを発信していきます。

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