「映画ってそういうものだったよねという気持ちを思い出せる映画」で、湯の心を感じた濱田岳
映画「湯道」に出演する俳優・濱田岳さんが感じた湯の道。
プロフィール
俳優濱田岳
2月23日に公開される映画「湯道」に出演する俳優・濱田岳さんに、映画の見どころについて聞きました。
――映画「湯道」では銭湯「まるきん温泉」の店主・三浦悟朗を演じています。
濱田:悟朗は兄の史朗(生田斗真)の勝手な行動で、銭湯を継ぐことになった男。でも古いものを守って行こうという熱意もあるし、まるきん温泉を愛してくれる人のことはもちろん、毎日お客さんのためにお湯を立てる(沸かす)ことも大好き。真っ直ぐな人間だから、筋が通らないことをしている兄のことを許すことができないんです。廃れてしまう稼業と思いつつも、まるきん温泉を大切にしているお客さんと繋がりを持ったことで、仕事に前向きになっていく。この心の変化は、悟朗を演じていて楽しかった部分です。
――自由気ままな兄史朗を生田斗真さんが演じていますね。
濱田:今作で久しぶりに共演した斗真さんは、何でも受け止めてくれる優しい人。兄弟げんかの場面では、信頼して全力でぶつかっていきました。演じた悟朗は寡黙な男ですが、自然に色々な表情を出すことができました。
――銭湯に続く街並み、番台、浴室、ボイラー室など190平米を越える広さのセットが、京都の撮影所に組まれたと聞きました。
濱田:偉大なセットの中にいると、本当に「いらっしゃい」という気持ちになりました。セットの力で、悟朗にしてもらったと感謝しています。CGを駆使するなど、派手な映画が多くなりましたが、僕が大好きな「昭和」の映画に出演することができました。夢が叶いましたね。
――お気に入りのシーンはありますか。
濱田:悟朗が手で湯をすくいあげて、愛でている場面です。ボイラー室にはお湯の温度が分かる機械もありますが、悟朗は浴室に入り、湯の中に手を入れて確認をしている。火の番人としての儀式です。悟朗は水を温めているのではなく、わかすことによって心を通しているんです。
――濱田さんご自身は、銭湯での思い出がありますか。
濱田:「麻布十番温泉」(2008年に廃業)という名の銭湯がありました。幼稚園ぐらいから連れて行ってもらっていて、そこには麻布十番商店街の人たちがたくさんいて、「湯船に入る前は、身体を洗ってから」などのマナーを教わりました。小学校に上がってからは、お小遣いを手に、友だちと一緒に銭湯に行きました。帰り道にたい焼きを買ったり、振り返ると大人への第一歩だったと思います。
――映画の中では、湯に入る前の作法、身体を清めた後に心身が整う姿を「湯道」としています。濱田さんは入浴時にこだわりをお持ちですか。
濱田:朝と晩。1日に2回入浴しています。湯船に入るかはその日次第ですが、飲んで遅くなった夜でも必ずお風呂に入って、記憶を流すようにしています。
――最後に映画を楽しみにされている方に、メッセージをお願いします。
濱田:観終えた後に温かい気持ちになれる。映画ってそういうものだったよねという気持ちを思い出せる作品になりました。
取材・文・写真/翡翠
編集/MARU
公開情報
『湯道』
日時:2023年2月23日(木・祝)全国東宝系にて公開
企画・脚本:小山薫堂(『おくりびと』)
監督:鈴木雅之(『HERO』シリーズ、『マスカレード』シリーズ)
音楽:佐藤直紀
出演:生田斗真、濱田岳、橋本環奈 ほか
公式サイト:https://yudo-movie.jp/
公式twitter:https://twitter.com/yudo_movie
公式instagram: https://www.instagram.com/yudo_movie/
この記事を書いた人
- 音楽や映画、舞台などを中心にインタビュー取材や、レポート執筆をしています。強み:相手の良いところをみつけることができる。弱み:ネガティブなところ。